どうも、パン職人Ken(@pansyokunin_ken)です。
「パン職人やってます」って言うと、大概「朝早いんでしょ?」って聞かれます。皆さんそのイメージが強いみたいです。
今回は私がパン職人として経験したことのある働き方と言うか、一日のスケジュールをざっくりと紹介してみようと思います。
知ったからどうということも無いでしょうが、気になる方はお付き合いください。
※これから紹介する一日のスケジュールはあくまでも私の経験です。お店が違えば働き方はいくらでも変わるので、一例としてお楽しみください。
目次
1. 2:50起床
私が働いているパン屋さんはいわゆる「町のパン屋さん」的な形態のお店ですが、そこそこの規模があるので従業員数もそれなりにいます。
なので出勤時間も差がつけられていて、早出遅出があります。私は基本早出担当だったので、3:45には業務を始める必要がありました。
いつも私は2:50までには起床します。最近は歳のせいか2:50に目覚まし時計をかけていてもそれより前に自然と目が覚めるようになりました…
ちなみにパン職人は朝が早いので常に寝坊のリスクと戦っています(笑)。さすがに最近はしなくなりましたが、20代前半の頃は寝坊しまくってよく怒られました。
遅刻する度に寝坊防止のために試行錯誤してきましたが、「大音量目覚まし+スマホのアラーム+6時間以上の睡眠時間」が必要だというのが私のたどり着いた答えです。
2. 3:00出勤
起きたら10分で準備を整えて自宅を出発します。普通のサラリーマンなら考えられないかもしれませんが、スーツに着替える必要もありませんし、10分あれば出発できます(笑)。夜中なので誰に見られるわけでもないので、服装も適当です。
私は片道30分程度かけて通勤していますが、通勤手段は原付です。昔は車で通勤していたこともありましたが、車通勤は危険です。マジで寝ます。
今まで数えきれないくらいの居眠り運転をしてきました。時には優しい後続車が蛇行運転する私をハイビームで起こしてくれたこともありました。
幸いにも事故を起こしたのは一度だけで、更にその時も車が壊れただけでケガや物損は一切ありませんでした。不幸中の幸いです。
その点、原付は眠くならないので最高です。身体で風を切るのと、事故ったらおしまいという危機感からか、眠くなることはほとんどありません(ないとは言ってない)。
3. 3:30職場到着
いつも一番乗りで職場に到着します。
お店の鍵を開けて、警備のアラームを解除するのですが、「〇〇〇(警備会社の名前)が、警備を解除します」という機械音声に対して「いや、警備を解除したのは俺だから」と一人さみしくツッコむのが毎朝の私のルーティンです。
職場に到着したらすぐにコックコートに着替えて仕事を始めます。
4. 3:45~仕事開始
まずはパン生地を仕込みます。
今のパン屋さんは大概どこでも前日に仕込んだ生地を冷蔵したり冷凍したりして仕込みの手間を減らし、労働時間短縮に努めています。
またドゥコンディショナー(通称ドゥコン)という機械を使い、「前日のうちにパンを成形して天板に並べてドゥコンに入れておけば、朝来たらパンの発酵が進んですぐに焼ける」という状態を作っています。
ただ全てのパンがその製法で作れる訳ではありません。また冷凍庫や冷蔵庫、ドゥコンの容量の問題もあるので、朝早くにパン生地を仕込む必要があります。
先ほど説明した通り、私が勤めているパン屋さんはそれなりの人数がいるので、作業分担がされています。
パン生地仕込みやパンの成形をする人、パンを焼く人、パンを加工してサンドイッチやコッペパンを作る人、レジ打ちをする人などに分かれ、基本的にはそれぞれの担当作業を一日中行います。
数人のパン職人で業務を回しているような小さな個人店では一通りの作業を一人で行う必要が出てきます。
技術を高めるという点ではそちらの方が色々できるようになって良いと思います。ただ、なかなかに過酷な労働環境であることが予想されます。
5. 7:00~休憩
休憩は時間をずらしながら交代でとります。
パン屋さんは(立地にもよりますが)基本的にはお昼が来客のピークになることが多いので、お昼を避けて休憩をとります。なので朝早い時間に休憩をとり、その後仕事が終わるまで休憩なしということもざらにあります。
ただ、数年前から労働環境改善や残業時間短縮のために、朝休憩をとって昼過ぎにもう一度休憩をとることも増えてきました。
6. 8:00~ひたすらパン作り
休憩を終えたらお昼のピークに向けてひたすらパンを作ります。
商品数が多いので、予め決められた工程通り、数量通りにパンを作り続けます。
ただ、商品ごとの売れ行きは日によって違いますし、急な大量購入で一つのパンだけが急に品切れになることもあるのでお店の様子を見ながら作っていきます。
パンは品切れになってもいけないし、作り過ぎて冷めたパンが大量にお店に残っているのもよくありません。そうならないように、基本は決められたとおりに作りつつも調整をかけていくわけです。
7. 10:30~パン作り一旦終了・接客
総菜パンや菓子パンなどの小型のパンは、発酵室に入れてから一時間ちょっとで焼き上がるため、10:30頃までに予定数を作り終えておけばちょうどお昼のピークまでにパンが焼き上がってきます。
10:30以降はお店の様子をうかがって足りなくなりそうなパンの追加をしつつ、接客をします。
お店によっては製造担当は売り場に一切出てこないという所もあるんでしょうが、私が勤めるパン屋さんは製造担当もレジ打ちをしたり、昔は試食を切ってお客さんにおすすめしたりしていました。
担当している作業によっては売り場に出てこれない人もいます。パンを焼く人やパンを加工してサンドイッチやコッペパンを作る人はお昼も忙しいので作業に集中していることも多いです。
8. 13:00~数量調整・翌日準備
お昼のピークが終わったら閉店までに必要なパンの量を計算し、追加していきます。
これがなかなか難しい作業で、ここで追加し過ぎるとパンが余りまくって悲しいことになりますし、追加が足りないと閉店前にパンが無くなってこれもまた悲しいことになります。
昼過ぎからは当日焼くパンの追加と並行して翌日準備が始まります。
翌日準備はもう使わない道具や設備の掃除や、翌日用にパンを作ってドゥコンに入れる作業などがあります。
9. 17:00仕事終了
順調に作業が進んでいれば、17:00頃には早出の仕事が終了します。残りの作業は遅出の人に託し、早出の人は上がります。
順調に作業が進めばいいんですが、そううまくは行かない日も多いです。
- 売上が急に上がって更に追加のパンを作る必要が出てきた
- 普段より人数が少ないシフトで作業が進んでいない
- 急な欠員が出た
- 機械や設備に不具合が出た
- 製造ミスでロスが出たのでパンを作り直した
こういったことがちょこちょこ起こり、「ちょっと仕事伸びてくれる?」ということがざらに起こります。
おそらくですが、3:45~17:00の勤務で休憩1回1時間、時には休憩2回あって労働時間11時間前後というのは、パン職人としてはそこまで長くない方だと思います。
小さなパン屋さんだと作業分担ができずに最初から最後まで全部の作業を終わらせないと帰れない状況にあったりするので、そうすると労働時間は比べ物にならないくらい長くなりますね。
10. 17:00~退勤準備・退勤
仕事が終わったらさっさと着替え、光の速さで退勤します(笑)。
プライベートの時間も必要ですし、睡眠時間もしっかり確保したいので、無駄な時間は過ごせません!
11. 18:00帰宅
家に帰ったらプライベートの時間を満喫します。とはいえ、食事をしたりシャワーを浴びたり、その他家事をやるとそこまで時間はありませんが、翌日に向けて英気を養います。
12. ~20:00睡眠
遅くとも20:00には寝ます。20:00に寝て翌2:50に起きると6時間強の睡眠時間が確保できます。
20代前半の頃は「睡眠時間は時間の無駄」「睡眠時間は短ければ短いほどいい」なんて思っていましたが、決してそんなことはありません。今は6時間睡眠でも少ないと思っていますが、プライベートの時間との兼ね合いもあり、6時間程度の睡眠にしています。
というわけで、あるパン職人の一日紹介でした。需要ある?とも思いますが、他業種の方にとってはなかなか想像もつかない勤務スケジュールだと思うので、楽しんでいただけたら幸いです。
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