ふわふわなパンは強力粉で作ろう!|強力粉と薄力粉の違いとは?

どうも、現役パン職人のけん(@pansyokunin_ken)です。

今回は、なぜパン作りでは強力粉を使うのか、強力粉と薄力粉にはどんな違いがあるのかを説明していこうと思います。

「パン作りに使う小麦粉と言えば、強力粉」

そんなイメージありますよね。実際、強力粉は多くのパン作りで使われています。

パンは強力粉で作るイメージが強いのではないでしょうか?

実は強力粉以外の小麦粉を使ったパンはたくさんありますが、日本人好みの「ふわっと膨らんだ柔らかいパン」は強力粉を使います。

なぜかというと、強力粉で作ったパンはふわっと膨らみやすくなるからなんですね。

ではもう少し掘り下げて、なぜ強力粉で作ったパンは膨らみやすいのか、薄力粉で作るとパンとはどんな違いがあるのか、そういったことを詳しく説明していきます。

なぜ強力粉で作ったパンは膨らみやすい?

なぜ強力粉で作ったパンは膨らみやすいのでしょうか?

それは、強力粉を使ってパン生地をこねると、薄力粉を使って作ったものと比べてグルテンがたくさんできるからです。

小麦粉と水を合わせてこねると、小麦粉に含まれるグルテニンとグリアジンというたんぱく質が絡み合い、パン生地の中にグルテンという物ができあがります。

強力粉にはグルテンの材料となるたんぱく質が比較的多く含まれているので、強力粉でパン生地を作ると、グルテンが多く含まれる生地を作ることができるんです。

このグルテンというのは網目状になっていて、イーストが作り出す炭酸ガスをキャッチする働きがあります。

グルテンがたくさんあった方が炭酸ガスをより多くキャッチしてくれるので、パン生地もしっかりと膨らむんですよ!

それでは薄力粉はどうなのかというと、グルテンの材料となるたんぱく質は含まれていますが、強力粉と比べると少ないです。

こういった理由から、食パンやコッペパン、テーブルロールや菓子パンなどのふわっと膨らんだ柔らかいパンを作るには強力粉が適しています。
【参考記事】パン屋さんが教える基本の食パンの作り方・レシピ

強力粉の代わりに薄力粉を使った場合の違い

先ほど、強力粉と薄力粉ではグルテンの材料となるたんぱく質の量に違いがあるということを説明しました。

ふわっと膨らんだ柔らかいパンを作る場合は強力粉が適していますが、強力粉の代わりに薄力粉を使うとパンにはどんな違いがあらわれるでしょうか。

強力粉で作るパンを薄力粉で作ると、強力粉で作ったものと比べて

  • ボリュームがでない(膨らまない)
  • 硬くなる
  • パサパサしやすい

こういった違いがあらわれます。

ボリュームがでない(膨らまない)

先ほど説明した通り、パンはイーストが作り出す炭酸ガスをグルテンがキャッチすることで、ふんわりと膨らみます。

薄力粉は強力粉に比べてグルテンの原料となるたんぱく質が少ないため、薄力粉で作ったパン生地はグルテンの量が少なくなります。

そのため薄力粉で作ったパンは強力粉で作ったパンほど炭酸ガスを生地中に留めることができず、ボリュームがでません。

たとえ発酵の時間を長く取ったとしても、強力粉で作ったパンほど膨らまないんですよ。

硬くなる

薄力粉で作ったパンは強力粉で作ったパンと比べて、食感が硬くなります。

これには理由が2つあって、

  • パンのボリュームがでないから
  • 強力粉ほど水を吸わないから

なんですね。

パンのボリュームがでない理由は先ほど説明した通りです。

パンのボリュームがでないということは、みっちりと詰まったパンになるということです。ふわっとしていないので、食感は硬くなりますね。

後者の理由についてですが、薄力粉は強力粉と比べて吸水性が悪いので、強力粉と薄力粉にそれぞれ同じ量の水を入れると、薄力粉の方がゆるい生地になります。

言い換えると、薄力粉を使って丁度良い硬さの生地にするためには、強力粉で作る場合よりも水の量を減らさないといけないということになります。

薄力粉生地は含んでいる水分量が強力粉生地よりも少ないので、焼き上がったパンの食感はみずみずしさが少なく、硬さを感じる食感になってしまいます。

パサパサしやすい

薄力粉で作ったパンは強力粉で作ったパンと比べて、乾燥しやすくパサパサした食感になりやすいです。

その理由は先ほど説明した内容とほとんど同じで、薄力粉生地は強力粉生地よりも抱えられる水分量が少ないからです。

水分の少ないパンは乾燥しやすいため、保存方法に気を付けないとすぐに乾燥し、パサパサした食感になっていしまいます。

強力粉でふわふわなパンを作るための4つのポイント

ここまで、なぜ強力粉で作ったパンは膨らみやすいのか、そして強力粉の代わりに薄力粉を使ってパンを作るとどうなるのかを説明してきました。

説明の通り、ふわふわなパンを作るには強力粉が適しています。

ただし、強力粉さえ使えばふわふわなパンが作れるかというと、そうとは限りません。

強力粉を使うのは必須として、それに加えて

  • しっかりこねる
  • 油脂(バター・マーガリン・ショートニング)を入れる
  • 発酵を十分にとる
  • 生地を傷めない

この4つのポイントに気を付けてパン作りをしましょう。

しっかりこねる

強力粉にはグルテンの材料となるたんぱく質が比較的たくさん含まれていますが、パン生地を作る際にしっかりこねないと十分な量のグルテンが作られません。

グルテンは小麦粉と水を合わせて、こねることで作られます。

いくら材料が豊富にあっても、しっかりこねないとグルテンになってくれないんですよ。

パン生地を手ごねで作る場合は、十分すぎるほどこねないとふわふわなパンになりません。

なかなか重労働ですが、生地が滑らかになるまで頑張ってこねましょう!

スタンドミキサーやニーダー、ホームベーカリーがあれば機械の力で自動的にパン生地をこねてくれるのでとても楽です。

頻繁にパン作りをする方や、手ごねが大変だと感じる方にはおすすめの機械です。

油脂を入れる

ふわふわななパン作りに強力粉は欠かせませんが、同じくらい欠かせない材料が油脂です。

パン作りで使う油脂には主にバター、マーガリン、ショートニングがあります。

パン生地に油脂を練り込むことで、生地が伸びやすくなり、ふわっとパンが膨らみます。

これは油脂に、グルテンの隙間に入り込んで伸びやすくする潤滑油のような働きがあるからなんですよ。

油脂にはバター、マーガリン、ショートニングなどの常温で固体の物の他に、サラダ油やオリーブオイルなどの常温で液体の物がありますよね。

気を付けて欲しいのは、常温で液体の油には潤滑油の働きがないということです。

もしかしたら「健康面に気を使って、バターの代わりにオリーブオイルを入れたい」という方もいるかもしれません。

それはそれでOKですが、ふわふわのパンを作る場合には適していないということを覚えておいて下さい。

ふわふわのパンを作りたい場合は、バターやマーガリン、ショートニングを使いましょう。

発酵を十分にとる

生地を十分にこね、油脂も入れたら次に気を付けてほいのは発酵です。

どんなに良い生地でも、上手に発酵させないとふわふわなパンになってくれません。

特に発酵が足りないとみっちりと詰まった硬いパンになってしまうので注意が必要です。

基本的には、レシピに書かれた発酵温度、発酵時間をきっちり守るようにしましょう。

ちゃんとしたレシピには「一次発酵○○℃□□分」「二次発酵○○℃□□分」と書かれているはずです。

発酵温度は30℃前後、40℃前後が多いので、できるだけ近い温度になるような環境を用意してあげましょう。

生地を傷めない

パンを成形する際に、生地を触り過ぎたり、生地に強い力をかけすぎてしまうと生地が切れたり、潰れたりしてしまいます。

こういった状態を「生地が傷む」と呼んでいます。

ふんわりと発酵した生地はとても繊細で、生地が傷みやすい状態になっています。優しく優しく扱ってあげてくださいね!

生地が傷んだ部分は上手く膨らまなかったり、ダマのようなかたまりになっていまい、ふわふわ食感にならないので注意が必要です。

おすすめの強力粉

ふわふわなパンを作るには強力粉が向いていますが、強力粉はどれも同じではなく、製品ごとにできるグルテンの量や入る水の量、色味や香り等の違いがあるんですよ!

そんな強力粉の中から、特におすすめの強力粉を紹介していこうと思います。

カメリヤ

カメリヤは日清製粉が販売する強力粉で、最もスタンダードな強力粉と言っても良いと思います。

私も15年以上カメリヤを使ってパンを作り続けていますが、とても安心して使うことのできる強力粉です。

食パンやコッペパン、菓子パン、テーブルロールなど、ふわっと焼き上げたいパンを作る場合はこのカメリヤを使えばまず間違いありません。

一般的なスーパーで普通に売っているので、簡単に手に入るのも魅力的なポイントですね。

スーパーカメリヤ

スーパーカメリヤはカメリヤ同様日清製粉が販売する強力粉です。

スーパーカメリヤはカメリヤと比べて灰分(小麦に含まれる無機質)が少ないので、中身は白く、粉の風味があっさりとしたパンを焼くことができます。

粉の風味があっさりとしている分、副材料の味や風味をより強く感じるパンを作ることができます。

例えばこだわりのバターを使ったパンや、こだわりの卵を使ったパン、生クリームを入れたパンなど、副材料を活かしたいパンに向いている強力粉です。

春よ恋

国産小麦でパンを作りたい!国産小麦にこだわりがある!という方におすすめなのが春よ恋です。

一昔前は国産小麦はパン作りには向かない、扱いづらいと言われていましたが、今ではふわふわのパン作りに向いた国産小麦が市場に出回るようになりました。

その中の一つが春よ恋です。

春よ恋は北海道産の強力粉で、食パンやテーブルロール、菓子パンやコッペパンなどをふわっと焼き上げることができます。

ふわふわなパンは強力粉で作ろう!

今回の記事では、ふわふわなパンを作る時に強力粉を使う理由や、強力粉と薄力粉の違いはどのようなものがあるのかを説明してきましたがいかがだったでしょうか。

ふわふわなパンを作るには、生地をしっかりこねてグルテンを十分に作り出すことが重要なポイントです。

そしてふわふわパンを作るために欠かせないもう一つの材料である油脂を必ず入れ、発酵と生地の痛みに十分注意してパンを作りましょう。

これがふわふわなパンを作るために知っておいて欲しいポイントです。

ぜひこの記事を参考に、ふわふわで柔らかく、美味しいパン作りにチャレンジしてみて下さいね!