どうも、パン職人Kenです。
今回はパン作り初心者に知って欲しい基本の「設備」のお話をしていきます。
今までパン作り初心者に知って欲しいシリーズとして「温度」、「計量」、「時間」の基本的なお話をしていきましたが、今回の設備のお話をすると美味しいパン作りの4大ポイントを全て押さえたことになります。
ぜひ最後の一つである「設備」についても知っておいて下さいね。
目次
パン作りに必要な基本的な「設備」とは
プロのパン作りの現場の場合、必要になる主な設備は
- ミキサー
- 分割機
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 発酵室(ホイロ)
- オーブン
この5つです。
家庭でのパン作りの場合は、
- ミキサー→手で捏ねればなくてもOK
- 分割機→家庭で作る量なら手で分割すればOK
- 冷蔵庫・冷凍庫→家庭用の冷蔵庫・冷凍庫を使えばOK
- 発酵室(ホイロ)→ちょっとしたアイデアや工夫でなんとかなる
- オーブン→家庭用のオーブンが必要
となります。
パン作りの設備はあると作業が楽になるだけでなく、パンの美味しさにも影響するんですよ。
基本の設備①ミキサー
ミキサーはパン生地を仕込む際に使う機械です。
家庭用ミキサーだとケンミックスやキッチンエイドが有名ですね。
家庭用ミキサーは無くてもパン生地を仕込むことはできます。ですから必須の設備ではありません。
ただ、あると非常に楽なのは間違いありません。また、ふわふわとボリュームのあるパンを作りたい場合はあった方が良いです。
パンをふわふわに膨らませ、ボリュームをしっかり出すためにはパン生地をしっかりと捏ね、グルテンをたくさん作らないといけません。
パン生地を手で捏ね続けるのは結構手間ですし、グルテンをたくさん作るには手捏ねでは限界があります。
また、油脂(バターやマーガリン)をたくさん入れる菓子パン生地などは生地がまとまりづらく、手捏ねではどうしても捏ねが不十分になりがちです。
こういったことから、家庭用ミキサーは「無くてもそれなりのパンは作れるけど、それなり以上の出来を求めるなら必要」と言えるでしょう。
ただ家庭用ミキサーはそれなりの価格がしますので、使用頻度や懐具合と相談しながら検討してみてはいかがでしょうか。
基本の設備②分割機
プロの現場ではたくさんのパン生地を扱うので、パン生地を全て手で分割するのは生産性が悪いです。
ですから、分割機(デバイダー)と呼ばれる自動的にパン生地を分割してくれる機械を導入しているお店が多いです(お店の規模によっては全て手で分割しているお店もあります)。
また、生地によっては手で分割した方が良いものもあるので、そういった場合はさおはかりというはかりを使って分割します。

家庭でのパン作りではこれらの設備は全く必要ありませんが、パン生地を分割する際にはカードやデジタルスケールは必要なのでそろえておきましょう。
基本の設備③冷蔵庫・冷凍庫
冷蔵庫・冷凍庫は材料の保管だけでなく、パンを冷蔵して一晩寝かせる製法(オーバーナイト法・冷蔵中種法など)でパン作りをする場合や、作った生地を冷凍保存する製法(生地玉冷凍法)でパン作りをする場合にも使います。
家庭でもこういった製法でパンを作ることもあるかもしれませんが、量が少なければお使いの家庭用冷蔵庫で十分代用可能です。
基本の設備④発酵室(ホイロ)
発酵室(ホイロ)は一次発酵、二次発酵、最終発酵の際にパン生地を入れる部屋です。
プロ用の発酵室は温度、湿度が設定でき、天板が10枚近く入るので非常に便利であり、パン工房には必須の設備です。
家庭でのパン作りの場合は、
- 家庭用の発酵室を購入する
- オーブンの発酵機能を使う
- 工夫して自作する
この3通りの中で予算と使用頻度を考えて決めると良いでしょう。
家庭用の発酵室を購入する場合
家庭用の発酵室を購入する最大のメリットは温度と湿度を一定に保つことができるところです。
また、ある程度量を作る場合は複数の段がある発酵室を買えば一度にたくさんのパンやパン生地を発酵させることが出来ます。
家庭用の発酵室は洗えたりたためたりする機種もあり、家庭でも便利に扱える様に工夫されていますね。
デメリットはそれなりに高価なことです。
安い買い物ではないので、頻繁にパン作りをする方やたくさんパンを作る方であれば活用できると思いますが、パン作り初心者であればいきなり用意しなくてもいいのではと思います。
オーブンの発酵機能を使う場合
お使いのオーブンレンジに発酵機能があればそれを使うのが一番お手軽です。
オーブンレンジの発酵機能でも一次発酵と二次発酵は問題なく行うことが出来ますよ。
注意が必要なのは乾燥対策と最終発酵です。
パンは乾燥に非常に弱く、特に空気が乾燥している冬場は要注意なのですが、オーブンレンジの発酵機能には加湿機能はついていないものがほとんどなので、ただ入れておくだけでは生地が乾燥してしまいます。
濡れ布巾をかぶせたり、頻繁に霧吹きを吹きかけてやる等の工夫が必須になります。
また、最終発酵の後は焼成なので、工程の都合上オーブンレンジの発酵機能を使って最終発酵を最後までとることが出来ません(焼成の準備で温度を上げなければいけないため)。
最終発酵を早めに切り上げて、室温で調整するなどの工夫が必要になってきます。
工夫して自作する場合
実は発酵室はちょっと工夫すれば自作することが出来ます。
発酵させたいパンやパン生地の近くに沸かしたお湯を置き、それらをまとめてビニールで覆ってやれば簡易発酵室の完成です。
ここで気を付けないといけないのが温度ですね。
お湯を置いているだけなので細かな温度調整はできませんから必ず一緒に温度計を置いておき、温度が下がったらお湯を足したり、温度が上がったらお湯を出すといった一手間が必要になってきます。
ただしっかりと加湿されるので、簡単な作りながら乾燥対策が出来ておすすめです。お金もかかりませんしね。
基本の設備⑤オーブン
オーブンはパンの美味しさに大きく関わる重要な設備です。
オーブンに関しては専用のものとなると高額になり過ぎて、趣味のレベルではとても手の出るものではありません。
ですから普段お使いのオーブンレンジでパン作りを楽しみましょう。家庭用のオーブンレンジでも十分美味しいパンを焼くことが出来ます。
ただ、オーブントースターやフライパンでは残念ながらパンは焼くことが出来ません。
一部焼くことのできるパンもあるのですが、決して多くはないのでオーブンレンジを用意した方が良いです。
ちなみに私が家でパンを焼く時に使っているのは10年以上前に購入したオーブンレンジですが、十分きれいにパンを焼くことが出来ますよ。
設備を整えることは美味しいパン作りにつながる
ここまでに紹介した基本的な設備はパン作りを楽にするだけでなく、美味しさにも大きく関わっています。
ミキサーを用意すればしっかりとグルテンの繋がった生地を作ることが出来ますし、デジタルスケールを用意することで生地重要を揃え、焼きムラを減らすことが出来ます。
また、発酵室があることで安定した発酵状態を得ることが出来ますし、オーブンの性能が良ければパンをきれいに焼き上げることが出来ます。
ただ、一通りそろえるにはお金がかかってしまうのも事実です。
すべて揃えようと思うと敷居が高くなってしまいますから、今ある環境で工夫してパン作りを楽しんでみましょう。
何度もパン作りをやるうちに必要性を感じたら少しずつ買い足していくのもいいと思います。それも楽しみの一つですよね!