どうも、パン職人Kenです。
色んな種類のパンを作った経験のある方なら分かるかもしれませんが、パンによっては焼く際にスチーム(蒸気)が必須のものがあります。フランスパンなんかが代表的ですね。
このスチーム、レシピに「スチームを入れる」と書いてあるから入れていると思いますが、何でスチームが必要なのか気になったことってありませんか?
今回はパンを焼く際にスチームを入れるとどんな効果があるのか、なぜフランスパンを焼く際にはスチームが必須になるのか、その理由について説明していきますね!
スチームにはどんな効果がある?
まずはスチームにはどんな効果があるのかについて説明します。
パンはオーブンで焼いている最中も膨らみ続けます。パンは発酵によってゆっくり膨らみますが、焼く際は高温のオーブンに入れるので急激に膨らみます。
オーブンで急激にパンが膨らむことを「窯伸び」、「オーブンスプリング」、「オーブンキック」なんて呼んだりします。
オーブンの中でパンは窯伸びしようとしますが、同時にパンの表面が焼けて固まり、ある程度のところでパンの膨らみは抑えられます。
ここでスチームが入っているとパン表面が糊化(アルファ化)し、それによって表面が焼き固められるのが遅くなり、スチームが入っていない場合と比べてパンが窯伸びしやすくなります。
簡単に言えば、スチームの効果とは「パンが窯伸びしやすくなる」ということです。
フランスパンがスチーム必須な理由
パンを焼く際にスチームを入れることでパンが窯伸びしやすくなり、ボリュームが出るようになります。
それならどんなパンでも焼く際にはスチームを入れた方が良いように思うかもしれませんが、実はそうではありません。スチームを入れた方が良いパンと入れない方が良いパンは明確に分かれています。
ではスチームを入れるor入れないは何によって決まるのでしょうか?
答えはパンの「配合」です。
コッペパン、食パン、菓子パンといった日本人が好むソフト系のパンはスチームを入れません。なぜかというと、こういったパンには砂糖や油脂が多く含まれているからです。
砂糖や油脂が多く含まれる配合、いわゆる「リッチな配合」と呼ばれるような配合の場合、パン生地は滑らかでとても伸びやすいです。
こういったパンはスチームを入れなくても十分窯伸びするため、スチームを入れる必要がありません。
むしろスチームを入れてしまうと火通りが悪くなり、パンの表面にしわが寄った状態になってしまいます。
それに対し、フランスパンのようなハード系のパンの場合はスチームが必須になります。
こういったパンの配合は非常にシンプルで、小麦粉・発酵種・塩・水・モルトしか入れない場合が多いです。
そういったシンプルな配合、いわゆる「リーンな配合」の生地はリッチな配合の生地と比べて伸びにくく、スチームを入れないと窯伸びしきる前に表面が固まってしまうのでボリュームが出なかったり、パンの底や側面が裂けたり、破裂したような見た目に焼き上がってしまいます。
フランスパンなどのハード系のパンは、十分に窯伸びさせるためにスチームが必須になるんですね。
まとめ
今回はパンを焼く際に入れるスチームにはどんな効果があるのか、そしてなぜフランスパンにはスチームが絶対に必要なのか、その理由について説明してきました。
まとめると、
- スチームの効果→パン表面を糊化(アルファ化)させることでパンが窯伸びしやすくなる
- フランスパンにスチームが必須の理由→シンプルな配合のパンはスチームを入れないと窯伸びしきる前に表面が固まってしまい、きれいに焼き上がらないから
ということです。
特にハード系のパンを焼く際にはスチームが必須になりますから、ぜひスチームの効果や入れる理由を知っておいてくださいね!