どうも、パン職人Kenです。
今の世の中、パンに限らずお菓子や料理でもレシピはネットで検索すればすぐに手に入って便利ですよね!
でもこれってレシピを公開しているのはプロではなく、お料理上手な主婦だったり、パン作りやお菓子作りが上手な一般の方の場合が多いと思います(クックパッドとかそうですよね)。
ではプロがお店で出している料理やお菓子のレシピはどうかというと、門外不出的なイメージがあると思うんですよね。
職人の世界では後輩は先輩からレシピを教えてもらうことはできず、先輩が料理しているさまを見て盗んで覚える。そんな職人の世界のイメージを持っている方もいらっしゃると思います(私が経験してきた職場はもっとゆるい雰囲気でしたけどね)。
でも実はパンのレシピって、たとえプロのレシピであったとしてもお菓子や料理よりも比較的簡単に手に入れることが出来るんです。
今回はそんなパンのレシピのお話と、それにまつわる「お菓子とパンの決定的な違い」についてお話していきますね!
パンのレシピはメーカーや同業者からもらうことが出来る
パン屋さんが新商品を開発する時、何度も何度も試作を繰り返して納得できる品質になったらお店に並べます。そうして最終的なレシピが出来上がるわけですね。
ではお店に並べている商品は全て一から試作を繰り返して作り上げたレシピなのかというとそうとは限りません。
パン屋さんは製パン材料メーカーさんの材料を使っているので、少なからずメーカーの営業さんと関わる機会があるのですが、営業さんは自社の食材を使ってもらいたいので、自社の食材を使ったパンのレシピを提案してくれることがあります。
その中で気に入ったものがあれば試作をしてみて、美味しければお店に並べることもあります。
この様にパンのレシピはメーカーさんからもらうことが出来るんです。
これはおそらく菓子業界や料理業界でもあることなんじゃいかなと思います。
それとは違うパターンとして、実は同業者の間で売れ筋商品のレシピを共有することがあります。
例えばオーナー同士が知り合いだったり、同じパン屋さんから独立した仲間だったり、パン業界の勉強会のメンバーだったりですね。
同じ業界で戦う仲間同士、売れ筋商品のレシピを共有して売上を上げていこうという思いがあるんです。
でも、「同業者には自分のお店の人気商品のレシピは知られたくないんじゃないの?」って思いませんか?
確かにそういう考え方もあるんですが、実はパンの場合は「レシピを知られても困らないある理由」があるんです。
これが「お菓子とパンの決定的な違い」にもつながってくるんです。
プロのパン職人がパンのレシピを知られても困らない「ある理由」
お菓子とパンの決定的な違いとは何かというと、「発酵」という工程が含まれるかどうかです。
私はお菓子作りはそれほど詳しくありませんが、発酵菓子ってそれほど多くないんじゃないかなと思うんですよね。
それに対し、基本的に発酵させないパンはありません。
発酵の力のおかげでパンはふっくらと膨らみ、パン独特の香りや風味、旨みを味わうことが出来ます。パンは発酵するからこそ美味しくなります。
ただその反面、発酵を完全にコントロールすることは至難の業です。
イーストなどの発酵種の量、発酵種の種類、天然酵母ならば酵母自体の発酵具合、パン生地の捏ね上げ温度、発酵させる温度、時間、湿度、分割するタイミング、乾燥対策、パンチの有無など、発酵に影響を与える要素はいくつもあります。
つまり、いくらレシピを知っていてもレシピを作った人が作ったパンと全く同じパンを焼くことはほぼ不可能なんです。
これこそがプロのパン職人がパンのレシピを知られても困らない理由なんですね。
実際には何度も試作を繰り返し、レシピを作った人にも見てもらって、まったく同じ品質は無理でも誤差範囲に収められるようになったところでお店に並べています。
というわけで、今回はパンのレシピが簡単に手に入る理由と、お菓子とパンの決定的な違いについてお話してきました。
私の師匠は「パンは発酵の食べ物」と言っていましたが、まさにパンにとって発酵はとっても重要なものなんです。ぜひパンを作る時は発酵に最大限注意を払ってパン作りを楽しんでみて下さいね!
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