オートミールを混ぜ込んだ【ハーファーブロート】の作り方

どうも、パン職人けん(@pansyokunin_ken)です。

今回はハーファーブロートを焼いたのでその作り方を紹介していこうと思います。

ハーファーブロートというパンはあまり聞きなれないかもしれませんが、ドイツパンの一つです。

ハーファー(Hafer)とはドイツ語でオート麦のことです。ドイツパンではパンに小麦やライ麦以外の穀物を混ぜ込むレシピがたくさんありますが、ハーファーブロートもその一つですね。

ただ今回焼いたハーファーブロートは本場ドイツのレシピとはかなり違っています。本場だともっとライ麦比率が高かったり、ライ麦サワー種を入れたりするんですが今回は食べやすさ重視にしてみました。

「ドイツパンのハーファーブロート」というよりは、どちらかというと「フランスパンのカンパーニュ(オートミール入り)」という感じです。

実はオートミール入りのカンパーニュは以前にも作っていて、そちらもブログで記事にしています。かなり被っている部分もありますが、微妙に製法が異なっていますのでよかったらそちらもご覧いただけると嬉しいです。
超しっとり&もちもち!米化オートミール入りのカンパーニュを作ってみた

本場のハーファーブロートを知っている方がいたら「これはハーファーブロートじゃない!」と言われてしまいそうなレシピですが、良かったら最後までご覧ください。それでは紹介していきますね!

ハーファーブロートのレシピ

ハーファーブロートの配合

  • 中力粉もしくは準強力粉:175g(70%)
  • 全粒粉:50g(20%)
  • ライ麦粉:25g(10%)
  • 塩:5g(2%)
  • インスタントドライイースト:0.75g(0.3%)
  • モルトシロップ:0.75%
  • 水:120g(48%)
  • 硬水:30g(12%)
  • オートミール:60g(24%)
  • オートミール米化用水:100g(40%)

※カッコ内はベーカーズパーセント

上記のレシピでハーファーブロート1個分です。生地量が約560gになるので結構大きめサイズですね。家庭用オーブンだと一度に2個は焼けないくらいのサイズ感です。

小麦粉は中力粉もしくは準強力粉としていますが、今回使っているのは日清製粉のリスドォルという粉です。これは準強力粉になります。

フランスパン用の粉なら基本的になんでもOKですが、激安の粉だとあまり水が入らなくて生地がゆるくなることがあるので要注意(経験談)!

インスタントドライイーストは定番のサフインスタントドライイースト赤。

頻繁にパン作りをしない方は小分けタイプが便利ですね。

レシピではインスタントドライイーストは0.75gとなっていますが、そんなに細かく量れないよ!という場合はキリ良く1gでもOKです。その場合は発酵が若干早くなるので状態をしっかり見てあげて下さいね。

ハーファーブロートの製パン工程

ハーファーブロートの製パン工程は

  1. オートミール米化
  2. 生地仕込み
  3. 一次発酵
  4. パンチ
  5. 冷蔵発酵
  6. 復温
  7. 成形
  8. 二次発酵
  9. 仕上げ
  10. 焼成

という流れで進んでいきます。

それぞれの細かい内容はこの後で説明していきますが、注意してほしいのは⑤の「冷蔵発酵」です。

今回のレシピでは出来上がった生地を一晩冷蔵庫で寝かせる製法(冷蔵オーバーナイト法)で作っています。

そのため基本的には生地を仕込んだ日にパンは焼き上がらないので気を付けて下さいね!
(早朝仕込んで夜に焼くなら当日に焼き上がるけど…)

ハーファーブロートの作り方

1.オートミール米化

ハーファーブロートはオート麦入りのパンですが、今回はオートミールを使います。

オートミールはそのまま混ぜ込むのではなく、米化させてから混ぜ込むことにしました。というわけでオートミールの米化を最初に済ませておきましょう。

オートミールと米化用の水を耐熱容器に入れ、500Wのレンジで1分チンします。たったこれだけ。

熱々の米化オートミールを生地に混ぜ込むわけにはいかないので、最初に米化を済ませて粗熱をとっておきましょう。

2.生地仕込み

続いて生地を仕込んでいきます。

中力粉(準強力粉)、全粒粉、ライ麦粉、水、硬水、モルトシロップを合わせてこねていきます。

粉っぽさが無くなったら生地の上にインスタントドライイーストを振りかけて30分置いておきましょう。イーストは振りかけるだけで、この段階では混ぜません。

この工程をオートリーズといいます。オートリーズを行うことで滑らかで伸びの良い生地になります。

オートリーズ中の生地。イーストは振りかけるだけで混ぜない。

30分経ったらイーストが見えなくなるくらいまで軽く混ぜ、塩を入れてこねていきます。

べたつきがおさまり、ある程度生地がまとまったら米化オートミールを入れ、均一になるまでこねれば生地の完成です。

こね上がった生地。

今回はオーバーナイト法で作っていきますが、オーバーナイト法の場合はねかせている間も生地がつながっていきます。

更にこの後2回パンチを入れますが、その工程でも生地に力がつくため完全になめらかになるまでこねなくてもOKですよ!

上の画像では生地温度が25℃になっていますが、目標こねあげ温度(生地が出来上がった時の温度)は24℃です。できるだけ24℃に近づけられるように水の温度を調整しましょう。

3~5.一次発酵&パンチ&冷蔵発酵

生地がこね上がったら30分間一次発酵をとります。一次発酵は30℃の環境を用意出来ればベストですが、温かい季節は室温でも構いません。冬場はできるだけ温かいところに置きましょう。

30分経ったらパンチをします。パンチというのは生地のガスを抜いて折りたたみ、生地に力をつける工程です。

生地を正方形になるように優しく押し広げ、左右から1/3ずつ折りたたんで3段重ねにします。更に3段重ねにしてパンチ完了!

言葉だけだと分かりづらいと思うので、動画を見てもらった方が良いかもしれません。

パンチが終わったら再び30分間一次発酵をとり、もう一度パンチをします。更に30分間一次発酵をとれば一次発酵は完了です。

まとめると、一次発酵30分→パンチ①→一次発酵30分→パンチ②→一次発酵30分という流れですね。計90分間一次発酵をとります。

ここまで終われば1日目の作業は終わりです。生地をタッパー等の容器に入れ、乾燥に気を付けて一晩(12~20時間)冷蔵庫でねかせましょう。

6.復温

冷蔵庫から出したての生地は冷えているので、生地温度が上がるまで待ってあげる必要があります。この工程を復温と言います。

生地の中心温度が15℃前後になるまで生地を温めましょう。

お使いのオーブンに発酵機能があれば30℃設定で約40分温めると大体15℃前後まで生地温度が上がります。

無ければできるだけ温かいところに置いて生地温度が上がるのを待ちましょう。

7~8.成形&二次発酵

温度が上がったら成形をしていきます。

成形方法はいろいろありますが、先ほどのパンチと同じように生地のガスを抜いて折りたたみ、生地を張らせて楕円形にまとめるのがやりやすいと思います。

成形が終わったら布を敷いたかごに入れて発酵させます。

発酵かごは製パン用の物を使ってもいいですが、私はカインズホームで買ったかごを使っています。たしか600円くらいだったと思いますが、問題なく使えますね。

かごに布を敷き、粉をしっかりと振って閉じ目を上にして生地を入れます。

この後は二次発酵です。約60分間発酵させますが、理想は30℃の環境が用意出来ればベストです。

とはいえなかなか難しいと思うので、できるだけ温かいところで発酵させましょう。発酵場所の温度によって二次発酵にかかる時間は変わるので要注意!

9.仕上げ

二次発酵が終わったら焼成前に最後の仕上げをしていきます。

まずはパン生地をひっくり返してベーキングシートの上に出します。布巾にしっかりと粉を振っていれば布巾は問題なくはがれるはずですが、発酵の終わったパン生地はデリケートなので優しく外してくださいね。

パン生地を出したらナイフやカミソリを使って一本カットを入れましょう。

専用の「クープナイフ」というものもありますが、私は片刃のカミソリを愛用しています。問題なくカットを入れることができますよ。

カットを入れたら表面を霧吹きで濡らし、オートミール(分量外)をまぶします。

仕上げ後の状態。

10.焼成

オーブンを事前に250℃に予熱しておき、スチーム機能があればスチームが出せるようにしておきます。

予熱する際には裏返した天板を一番下に入れた状態で予熱して下さい。多少ですが下火を補うことができます。

仕上げが終わったパンをベーキングシートごと滑らせるようにオーブンに入れます。私は100円ショップで売っている薄い木の板の上にパンをのせ、そこから滑らせるように移しています。

オーブンにパンを入れたら230℃に落として約30分間焼成します。スチーム機能があればスチームを入れて焼きますが、ない場合は霧吹きで水分を補ってから焼きましょう。

最後は焼き色を見て焼き時間を調整してあげて下さいね!

焼き上がったハーファーブロートの断面はこんな感じです。

米化オートミールを入れているため水分が多く、もっちりしっとりした食感です。そのまま食べてももちろん美味しいですが、個人的にはサンドイッチがおすすめ!

断面にバターを塗り、ハムとチーズをはさめばそれだけで最高です!ぜひお試しあれ!

パン作りにおける発酵時間は様々な要因(温度、湿度、計量の精度等)によって変化するため、レシピ通りに作っても発酵状態が異なることがあるのでご注意ください。
また焼成温度や時間はオーブンの性能によって異なるため、レシピ通りに作っても焼き足りなかったり焼きすぎることがあります。こちらも併せてご注意ください。