全粒粉の香りが香ばしい【全粒粉塩バターロール】の作り方

どうも、パン職人けん(@pansyokunin_ken)です。

今回は全国のパン屋さんで大人気のパン「塩バターロール」を作っていきますが、ただ塩バターロールを作るだけじゃ面白くないので、全粒粉入りの生地で作ってみようと思います。

全粒粉を配合したパンって独特の香ばしさや甘さがあるんですよね。個人的には大好きなんですが皆様はいかがでしょうか?

それでは早速作っていきましょう!

全粒粉塩バターロールのレシピ

全粒粉塩バターロールの配合

  • 中力粉もしくは準強力粉:80g(40%)
  • 全粒粉:120g(60%)
  • 砂糖:4g(2%)
  • 塩:3.6g(1.8%)
  • インスタントドライイースト:0.8g(0.4%)
  • モルトシロップ:1g(0.5%)
  • 無塩バター:12g(6%)
  • 水:150g(75%)
  • 無塩バター(成形時に使用):50g
  • 岩塩(もしくは粗めの塩,仕上げ用):少々

※カッコ内はベーカーズパーセント

上記のレシピで全粒粉塩バターロール5個分です。家で使っている家庭用オーブンの天板は大体30cm×30cmの大きさですが、今回のレシピで作った場合一度に焼けるのは5個まで(成形の形によっては6個までいけるかも?)です。

小麦粉は中力粉もしくは準強力粉としていますが、今回使っているのは日清製粉のリスドォルという粉です。これは準強力粉になります。

インスタントドライイーストは定番のサフインスタントドライイースト赤。

頻繁にパン作りをしない方は小分けタイプが便利ですね。

岩塩はあら塩タイプがおすすめ。

パウダータイプだと溶けちゃいますし、小粒タイプだとミルが必要です。

全粒粉塩バターロールの製パン工程

全粒粉塩バターロールの製パン工程は

  1. 生地仕込み
  2. 一次発酵
  3. 分割・まるめ
  4. ベンチタイム
  5. 成形準備
  6. ベンチタイム
  7. 成形
  8. 二次発酵
  9. 仕上げ
  10. 焼成

という流れで進んでいきます。

全粒粉塩バターロールの作り方

1.生地仕込み

まずは生地を仕込んでいきます。

成形用バターと仕上げ用岩塩を除くすべての材料を合わせてこねていきます。

食パンやコッペパンなど伸びの良い生地を作る場合はこね始めはバターを入れず、ある程度グルテンがつながってから後入れします。

ですが、今回の様にボリュームはそこそこで歯切れのいい食感を出したい場合はバターは最初から入れます。この様に最初から油脂を混ぜ込む製法をオールイン法と言います。

こね上がった時の目標生地温度(目標こね上げ温度)は27℃です。目標とのずれがある場合はこの後の一次発酵の時間を調整します。

ちなみに今回は生地仕込みのみホームベーカリーを使っています。手ごねでも問題なく作れますのでお持ちでない方ご安心を!

2.一次発酵

生地がこね上がったら一次発酵を行います。

理想は30℃の環境を用意し、乾燥しないように加湿しながら60分間発酵させます。

しかし温度と湿度をばっちり調整してくれる発酵機をお持ちの方はそう多くないと思うので、乾燥しないように注意しながらできるだけ温かいところで一次発酵を行いましょう。

お使いのオーブンレンジに発酵機能があれば30℃に設定し、庫内に霧吹きで水を吹きかければ発酵機代わりになりますよ!

生地のこね上げ温度が27℃にならなかった場合は一次発酵の時間を調整します。具体的には1℃高かったら10分短く、1℃低かったら10分長くを目安にして調整して下さい。

調整時間はあくまでも目安なので、最終的には生地の膨らみ具合を見たり、指穴試験をして一次発酵の終わりを判断します。

一次発酵が終わった生地。

3.分割・まるめ

一次発酵が終わったら生地を分割していきます。今回のレシピでは生地を5等分します(1個約74g)。

目分量で5等分しても構いませんが、きっちりとデジタルスケールで量って分割した方が大きさが綺麗に揃います。

分割した生地は断面や細切れになった生地が隠れるようにきれいにまるめておきましょう。

まるめ終わった生地。

4~6.ベンチタイム→成形準備→ベンチタイム

生地をまるめたら成形前に生地を休ませる時間(ベンチタイム)が必要になります。

まるめた状態(丸い生地)から成形するパンなら30分間休ませれば成形できますが、塩バターロールは縦長の三角形に生地を伸ばしたいので、丸い生地から直接成形するのではなく事前に成形に適した形に整えてやる必要があります。

ベンチタイムを15分間取ったら生地をしずくのような形に伸ばしましょう。これで成形準備はOKです。

生地に力をかけると締まって伸びなくなるので再び15分間ベンチタイムをとります。

ベンチタイムの間に、成形に使うバターをカットしておきましょう。バターは1個10gで、細長い形になるようにカットします。

7~8.成形→二次発酵

ベンチタイムが終わったら成形していきます。今回は3種類の成形をしていきますね。

まずは生地を逆三角形になるように均一な厚さに伸ばしていきます。めん棒を使いましょう。ここまではどの成形でも一緒です。

上部に事前にカットしておいたバターを乗せ、生地で包み込みます。

バターを包んだ部分を軸にして、生地を締めないように優しく転がせば成形完了です。これが一番簡単な成形方法です。

2つ目の成形はバターを包み込むところまでは一緒ですが、その後の作業が違います。右手は生地を締めるように上方向へ力を入れ、それに合わせて左手は下方向へ生地を引っ張ります。

このように成形すると巻き数が多くなり、見た目も食感も一つ目の成形とは違ったものになります。

この成形は難易度が高めです。上級者向けですね。

3つ目の成形はほとんど2つ目の成形と同じですが、成形が終わったパンを三日月形に整えます。

2つ目の成形よりも長さがあった方が三日月形にしやすいので、最初に逆三角形に生地を伸ばす時に多少横幅を広めに伸ばした方がやりやすいです。あとはバターがカチカチだと曲げられないので室温で多少もどしておきましょう。

言葉だけだと上手く伝わらないかもしれませんので、成形は動画を見てもらった方が分かりやすいと思います。

全ての成形が終わったらベーキングシートを敷いた天板の上に並べ、約70分間二次発酵を行います。

30℃の環境が用意出来ればベストですが、難しければできるだけ温かいところに置きましょう。生地が乾燥しないようにビニール袋を被せるなどの対策をして下さいね。

今回のパンは中にバターが入っているので、「できるだけ温かいところ」と言っても30℃を超える場所はNGです。バターが溶けて流れ出てしまいます。特に夏場は注意しましょう。

9~10.仕上げ→焼成

二次発酵が終わったら仕上げをして焼いていきます。

約70分経つと生地はこれくらい膨らんでいるはずです。

一回り大きくなったくらいでしょうか。あまりふっくらと膨らませるパンではないのでこんなもんでOKです。

軽く霧吹きを吹きかけ、岩塩を一つまみまぶします。塩の量はお好みでどうぞ。これで仕上げは完了です。

予め210℃に予熱設定しておいたオーブンに入れ、スチームを入れて約15分間焼きます。スチーム機能がないオーブンレンジをお使いの場合は、霧吹きで水分を補ってから焼きましょう。

焼き上がった全粒粉塩バターロールはこちら!

さて、全粒粉塩バターロールが焼き上がりました!

まぁまぁいい感じでしょうか。

塩バターロールはバターが10gも入っているので、焼くとバターが流れ出てきます。それは失敗というわけではなく、バターが流れ出てくることで底面が揚げ焼き状態になりカリカリの食感になるんです。

というわけでベーキングシートを敷いても天板はバターまみれになってしまいますが、敷かないとくっついてしまうのでベーキングシートは敷いた方が良いですね。

画像の下二つは1つ目の成形方法で作った塩バターロールです。ゆるく巻いているので底面はカリカリ、パンはふっくらした食感を楽しむことができます。

上二つは2つ目の成形方法で作った塩バターロールです。こちらはきつく巻いているのでふっくら感はあまりありませんが引きのある食感で、噛み応えがありますね。

真ん中のものは3つ目の成形方法で作った塩バターロールです。こちらもきつく巻いているので引きの強い食感ですが、先端部分がカリカリしていて香ばしいです。

成形方法によって見た目だけでなく、食感の違いも楽しむことができます。

普通の塩バターロールもいいですが、全粒粉生地を使った塩バターロールは独特の風味や香ばしさがあり、こちらもおすすめですよ!ぜひお試しあれ!

パン作りにおける発酵時間は様々な要因(温度、湿度、計量の精度等)によって変化するため、レシピ通りに作っても発酵状態が異なることがあるのでご注意ください。
また焼成温度や時間はオーブンの性能によって異なるため、レシピ通りに作っても焼き足りなかったり焼きすぎることがあります。こちらも併せてご注意ください。