どうも、パン職人のけんです。バターチキンカレーが食べたい気分になったので、今回はおうちでナンを焼いてみました。
ちなみに、本場のナンはタンドールという窯で焼いたものを指すようです。今回のナンはホットプレートで焼いているので、正確には「ナン風のパン」ということになりますが、皆さん恐らく気にしないと思うので、以降もナンと呼ばせていただきます。
最近はスーパーでもナンは買えますが、おうちでもオーブン不要で比較的簡単に、かつパンにしては短時間でナンを焼くことができます。
買うのに比べたら時間も手間もかかりますが、焼き立てのナンにカレーを付けて食べると最高ですよ!
今回のレシピだと、合計作業時間は約2時間となります。ほとんどが発酵時間と、生地が緩むのを待つ時間なので、ずっと手を動かしているわけではありません。
カレーを作りながらでもできますので、自家製ナン&カレーの組み合わせを楽しんでみてはいかがでしょうか。
なお、今回のナン作りは動画でも紹介しています。
動画では長さの都合上、詳細な説明を省いている部分もあり、こちらの記事の方が詳細に説明していますが、動画の方が分かりやすい部分もあると思うのでよろしければ併せてご覧ください。
それでは作り方を紹介していきますね!
目次
ナンのレシピ(材料)
まずはナン作りに必要な材料・レシピを紹介します。
【レシピ(6個分)】
- 強力粉:150g
- 中力粉:150g
- 砂糖:6g
- 塩:6g
- 無塩バター:6g
- インスタントドライイースト:3g
- 水:204g
※無塩バターは有塩でもOK。マーガリンやショートニングでもOK。
強力粉
ナン作りでは強力粉と呼ばれる小麦粉を使います。
強力粉はスーパーで売っていますし、手に入りやすい食材ですよね。
強力粉はいろいろなメーカーのものがあり、それぞれ微妙な違いがありますが、基本的には強力粉であればどれでもOKです。
一番メジャーな強力粉と言えば、日清製粉のカメリヤです。
スーパーでもよく見かけると思いますが、プロのパン職人も使う強力粉なので、強力粉で迷ったらカメリヤを選んでおけばまず間違いはありません。
中力粉
ナンは強力粉100%でも作れますが、それだとふわふわ感が強く、引きのある食感になります。
それでもOKですが、今回は歯切れの良さも欲しかったので中力粉をブレンドしています。
ネットでナンのレシピを調べると、薄力粉をブレンドしているものもありますよね。薄力粉をブレンドしても同じような効果が得られます。
好みの問題なので、一度レシピ通りにやってみて、それから好みに応じて調整してみるのもいいんじゃないかなと思います。
砂糖
砂糖はおうちにあるものを使ってもらえればOKです。
私は普段、パン作りに限らず料理でも三温糖を使っているので、今回は三温糖を使っています。
塩
塩もおうちにある塩を使ってもらえればOKです。
こだわりたい方は、フランス産のゲランドの塩はいかがでしょうか。私も以前使っていたことがありますが、美味しい塩です。
正直なところ、ナンで塩の違いを感じられるかは微妙なところですが、フランスパンなどのシンプルな配合のパンを作る機会があるのなら持っていてもいいと思います。
無塩バター
今回のレシピでは無塩バターを入れていますが、少量なのであまりバターの風味は感じられないと思います。
ではなぜ入れるのかというと、生地の伸びをよくするためです。
パン生地に油脂を入れると、生地の伸展性が増し、伸びのある生地にすることができます。味や風味のためではないので、マーガリンやショートニングで代用してもOKです。
今回は無塩バターを使っていますが、有塩バターでもOKです。少量なので、あまり影響はありません。
インスタントドライイースト
イーストには顆粒状の(インスタント)ドライイーストと、しっとりとした生イーストがありますが、おうちでパンを焼く場合はインスタントドライイーストが便利です。
生イーストには生イーストの良さがありますが、手に入れづらく価格が割高で、更に期限が短いため、おうちでのパン作りでは扱いづらいと思います。
インスタントドライイーストはスーパーで売っているものを使ってもいいですが、今回使っているのは「サフインスタントドライイースト赤」という、プロのパン職人も使うイーストです。
こちらは小分けタイプもあるので、頻繁にパン作りをしない人にもおすすめです。
水
水は水道水でも十分ですが、こだわりのある方はミネラルウォーターを使ってもいいでしょう。
ただ、硬水はパン生地を引き締める効果があるため、入れすぎには注意が必要です。コントレックスなどの超硬水を使う場合は、水全体の20%程度にしておきましょう。
ナンの作り方(工程)
ナンのレシピ・材料を確認したら、さっそく作り方を見ていきましょう。
ナンは以下の工程で作ります。
- 生地仕込み
- 一次発酵
- 分割・まるめ
- ベンチタイム
- 成形
- 焼成
成形したらすぐに焼くので、他のパンと違って二次発酵が無いのが工程上の特徴だと思います。
生地仕込み~一次発酵
まずはナンの生地を仕込みます。
今回のレシピでは強力粉と中力粉で合わせて300gですが、この程度の量なら手ごねで十分作れます。
材料を全てボウルに入れ、こねていきます。水は夏場なら冷水、それ以外はぬるま湯を使います。
材料を入れる順番はあまり気にしなくてOKですが、塩とイーストが直接触れ合わないように気を付けましょう。
塩とイーストが直接触れ合うと、イーストが弱って発酵力が落ちる可能性があります。ちょっと触れるくらいなら問題ありませんが、長時間触れ合ったままにならないように気を付けてください。
10分程度こねます。生地がまとまり、滑らかになれば生地の仕込みは完了です。

生地がこね上ったら温度を測っておきましょう。この時の温度(こね上げ温度)は27℃がベストです。27℃より生地温度が高い、もしくは低い場合、発酵スピードが変わってくるので一次発酵の時間を調整する必要があります。
こね上がった生地はバットやタッパーなどの容器にあけます。この時、容器に油を塗っておくと生地がべったりとくっつかなくて作業しやすいですよ。

この後は一次発酵です。できるだけ30℃に近い環境で60分発酵させます。
オーブンに発酵機能があればそれを使うのが便利です。無い場合はできるだけ温かい所に置きましょう。
なお、60分というのはこね上げ温度が27℃だった場合の目安になります。もし27℃よりも高ければ少し短めに、低ければ少し長めに一次発酵をとってください。
発酵中は生地が乾燥しないように注意します。ラップやフタをしたり、濡れふきんを被せるなどの乾燥対策をしましょう。
分割・まるめ~ベンチタイム
一次発酵が終わったら、生地を作業台にあけ、分割をします。

今回はナン6個分のレシピなので、生地を6等分します。材料を全て合計すると、生地は525gになりますが、これを6等分するので1個あたり87.5gになります。
実際には多少のロスがあるはずなので、1個当たり80g強あればOKです。
分割する時はデジタルスケールがあると便利です。大きさをそろえたい場合、でるだけ同じ重さに分割しましょう。

大きさがそろっていなくてもいいなら、ナンの場合はきっちり量らなくても(1個1個の大きさに違いがあっても)OKです。デジタルスケールが無ければ、目分量で切ってもいいでしょう。
ちなみに、オーブンで焼くパンの場合はデジタルスケールできっちりと量り、大きさをそろえた方が良いです。なぜなら、あまりにズレが大きいと焼いた時の色付きにムラが出てしまうからです。
焼き色にムラができると、色付きの早いパンから出さなければいけなくなります。
そうすると、一度にまとめて出せないのでオーブンの開閉が多くなり、庫内温度が下るため後から出すパンの焼き時間が長くなり、カチカチになってしまう可能性があります。
今回のナンはホットプレート(フライパン)で焼くため、そのあたりをあまり気にする必要がないので、大きさに差があってもOKです。
分割はプラスチック製のカードを使うのがおすすめです。金属製のスケッパーは切れ味は良いのですが、作業台に傷がつきやすいので、私は使っていません。
できるだけ細切れの生地を作らずに分割できるといいのですが、全てドンピシャで分割するのはさすがに無理なので、「できる限り」細切れにならないように意識しましょう。
分割が終わったら生地をまるめます。
「まるめ」というのは単に生地を丸くするだけではなく、生地の断面や細切れの生地を内側に隠し、表面を張らせる作業です。
やり方は文字で説明するのが難しいので動画を見ていただくのが分かりやすいと思います。
いまいちよく分からないという場合は、生地を手のひらで優しく押さえてガスを抜き、細切れ生地を内側に入れ、端を一箇所に集めて指でつまんで閉じればそれでOKです。
次の成型がしやすくなるように生地を休ませる時間のことをベンチタイムと言いますが、丸めが終わったらベンチタイムを30分間とります。
生地が乾燥しないように注意してくださいね。
成形~焼成
ベンチタイムが終わったらナンを焼いていきます。事前にホットプレートを250℃に設定して温めておきます。
お使いのホットプレートが250℃まで上がらない場合でも、220℃程度まで上がれば焼けると思います。
その場合、温度が低い分焼き時間が長くなり、食感が少し硬くなるかもしれません。
フライパンで焼く場合は強めの中火でフライパンを温めておきます。油は不要です。
成形はとても簡単で、手で生地を引っ張って伸ばすだけです。三角形の、ナンっぽい形に伸ばしましょう。

生地を伸ばすときに、フチの部分のガスはできるだけ抜かないように伸ばすのがコツです。そうすることで、ガスが残っている部分は膨らむのでふわっとした食感になり、ガスが抜けた部分はカリッと焼き上がります。
もし生地があまり伸びない場合、生地を休ませる時間が足りていません。もう少し時間をおいてから焼きましょう。

ホットプレート(フライパン)に生地を乗せたら、フタをして3分半焼きます。フタをすることで蒸し焼き状態になり、しっかりと火が入ります。
3分半経つとガスが残っている部分は膨らみ、ふわっとした見た目になっています。

上面はまだ焼けていないので、ひっくり返します。

焼き色はこんな感じ。温度が違う場合やフライパンで焼く場合は、これくらいの焼き色になるように焼き時間を調整してください。
ひっくり返したら再びフタをして3分半焼きます。

このくらいの焼き色になればナンの完成です。
ナン作りの注意点
ここまでナンの作り方を説明してきましたが、改めて注意すべきポイントを挙げていきます。
温度管理はきっちりと
ナンに限らず、パン作りでは温度管理がとても重要です。
パン作りでは、
- こね上がった生地の温度(こね上げ温度)
- 一次発酵の温度
- 二次発酵の温度
この3つの温度をできるだけレシピに近づけられるようにすると、上手にパンを焼くことができます。
ナン作りでは二次発酵が無いので、こね上げ温度と一次発酵の温度をできるだけレシピに近づけられるようにできるといいですね。
乾燥対策を忘れずに
これもナンに限ったことではありませんが、パン生地はとても乾燥しやすいので、パン作り全体を通して乾燥対策を忘れずにしましょう。
何もせずにそのままパン生地を置いておくと、すぐに表面がカサカサになり、パン生地が膨らまなくなってしまいます。
パン生地の入ったボウルやバットにはラップをかけたり、濡れふきんを被せるなどの乾燥対策をしてくださいね。
発酵時間は目安として考える
温度管理はできるだけきっちりやりたいところですが、正確に管理し続けるのは難しいですよね。
そのため、実際には多少のズレができてしまうわけですが、温度にズレがあると発酵スピードが変わります。温度が高ければ発酵は早くなりますし、温度が低ければ発酵は遅くなります。
レシピに書かれている発酵時間は「こね上げ温度がレシピ通りで、かつレシピ通りの温度で発酵させたときに適正な発酵状態になる時間」です。
そのためレシピの発酵時間はあくまでも目安として考え、実際の温度に合わせて調整をする必要があることを覚えておきましょう。
焼成温度・焼成時間は目安として考える
今回のナンはホットプレートで焼いていますが、同じ温度に設定しても機種によって焼き時間が違う可能性があります。
また、フライパンで焼く場合はホットプレートと全く同じ温度に設定はできないでしょうし、フライパンの素材によっても火の入り方が違う可能性があります。
そのため、今回のレシピでは焼き時間を「片面3分半ずつ、合計7分」としていますが目安として考えていただき、焼き時間は焼き色を見ながら調整してください。
さいごに
今回はナンの作り方を説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
ナンはオーブンを使わず、ホットプレートかフライパンがあれば焼けるのが良いですよね。オーブンを使わなくていいというのが、気軽に「ちょっと焼いてみようかな」という気にさせてくれます(くれますよね?)。
ちなみに、ナンが焼き上がったら上面にシュレッドチーズをのせてフタをし、チーズを溶かせば簡単にチーズナンにアレンジすることもできます。
記事冒頭でもお伝えしたように、ナンは発酵時間こそかかるものの成形が簡単で、手を動かす時間はそれほど長くないのでカレーが食べたくなったらカレーを作る合間にナンも作ることができます。
もちろんカレーライスでもいいのですが、たまには気分を変えて、ナンとカレーを楽しんでみるのもいいんじゃないでしょうか?
ぜひナン作りにチャレンジしてみてくださいね!