どうも、現役パン職人のけん(@pansyokunin_ken)です。
今回は、基本のテーブルロールの作り方とレシピを紹介していきます。
テーブルロールはとてもシンプルなパンで、そのまま食べてももちろん良いですし、メインの料理とともに食べたり、サンドイッチにしても美味しく頂けます。
作り方も簡単なので、パン作り初心者の方や、初めてパンづくりにチャレンジする方にぴったりのパンだと思いますよ。
テーブルロールは食パンなどと違って専用の型を用意しなくても作れるので、チャレンジするハードルも低いと思います。
【参考記事】パン屋さんが教える基本の食パンの作り方・レシピ
ぜひこの基本のテーブルロールの作り方を覚えていって下さいね!
この記事の前半では、初めてテーブルロール作りにチャレンジする方向けに、道具や食材の説明をしています。
何度もパン作りをしていて、レシピや作り方の注意点を知りたいという方は、下の目次の「基本のテーブルロールレシピ」から読み進めて頂ければと思います。
目次
基本のテーブルロール作りに必要な道具
基本のテーブルロールを作り始めるにあたり、道具や材料など、最初に用意しておかないといけないものがあります。
まずは必要な道具から紹介していきますね!
テーブルロール作りをする上で、絶対に必要な道具と、無くても作れるけれどあった方が便利な道具があります。
絶対に必要な道具は、文字通り基本のテーブルロールを作る上で絶対に必要になるので、パン作りを始める前に用意しておきましょう。
あった方が便利な道具は、最初は無理に用意する必要はないかもしれません。
パン作りをしてみて、「楽しい!もっとやりたい!ハマりそう!」と感じたら、用意すると次からは便利になると思います。
テーブルロール作りに絶対に必要な道具
テーブルロール作りに絶対に必要な道具は、以下の6つです。
- ボウル
- デジタルスケール
- 料理用温度計
- 料理用刷毛
- ベーキングシート
- オーブン
1.ボウル
ボウルは、量った材料を入れたり、材料を合わせてこねたりするのに使います。
普段お使いのボウルがあればそれで十分ですし、材料の計量に使う場合はボウルでなくても問題ありません(お皿など)。
ただし、全ての材料を合わせてこねる際にはそれなりの大きさのものが必要になるので、ボウルの方が良いでしょう。
2.デジタルスケール
デジタルスケールは、材料を計量したり、生地を計量するのに使います。
美味しいパンを作るためには、正確な計量は欠かせません!
レシピ投稿サイト等に提供されてるレシピの中には、材料が大さじ小さじの表記になっているものも見かけますが、正確にグラム単位で計量することをお勧めします。
出来上がった生地をパン一つのサイズに分割する時も、デジタルスケールでしっかり量った方が良いですね。
パンの大きさが揃っていた方が発酵状態の見極めもしやすくなりますし、焼きムラも少なくなります。
ちなみに、もし新たにデジタルスケールを買う場合は、0.1グラム単位まで計量できるものがおすすめです。
少し割高ですが、インスタントドライイースト等のちょっとしか使わない材料を正確に計量することができます。
3.料理用温度計
料理用温度計は、パン生地の温度を測るのに使います。
パンの発酵スピードは温度によって大きく変わるので、特にパン生地がこね上がった時の生地温度はしっかりとチェックしておく必要があります。
ちゃんとしたレシピには「目標こね上げ温度」というものが書かれています。
レシピに書かれている一次発酵や二次発酵の時間は、「目標こね上げ温度ピッタリだった時にこれくらいにの時間になりますよ」という目安なんですね。
そのため、実際のこね上げ温度は何度だったのかを確認しておかないと、発酵をコントロールすることができません。
そういった理由から、料理用温度計が必要になります。
4.料理用刷毛
料理用刷毛はテーブルロールを焼く直前に行う「塗り卵(ぬりたま)」という作業で必要になります。
塗り卵というのはパンの表面に溶き卵を塗る作業で、これをすることでパンにきれいな焼き色とツヤがでます。
塗り玉は二次発酵が終わったパン生地に塗るため、できるだけ力がかからないようにしないといけません。
二次発酵が終わった生地はとてもデリケートで、力がかかったり衝撃を与えたりすると、ガスが抜けてつぶれてしまうからです。
料理用刷毛を使って塗り卵をすることで、優しくきれいに溶き卵を塗ることができます。
塗り卵用の刷毛は、毛が細いものを用意しましょう。毛の部分が太いシリコン製のものもありますが、そちらはパンに力をかけずに上手に塗るには向いていません。
5.ベーキングシート
ベーキングシートはパンを焼く際に天板の上に敷きます。これを使わないと、せっかく焼いたパンが天板にくっついてしまいます。
プロが使う天板はくっつかないような加工がされていて、何も敷かなくてもくっつきませんが、家庭用オーブンの天板はくっつきやすいです。
ベーキングシートを敷いておけばパンがくっつくことはまずないので、安心してパンを焼くことができます。
チーズやマヨネーズ、具材や油が天板に流れ出るような総菜系のパンの場合は、洗う手間も省けるのであったほうがいいですね。
ベーキングシートは使い捨てのものと、繰り返し使えるものがあります。
使い捨てタイプは100円ショップで売っていますし、便利なので私も良く使っています。
繰り返し使えるタイプは、長い目で見ると経済的ですね。ものによりますが、はさみでカットできるタイプのものはお使いの天板に合わせてカットできるので便利です。
6.オーブン
オーブンはテーブルロールを焼く際に必要になります。電子レンジやトースターでは基本的なテーブルロールを焼くことはできません。
テーブルロールは約180℃で10分程度焼くので、180℃の設定ができるオーブンが必要になります。
「電子レンジしか家にないよ!」という方は、オーブンレンジかコンベクションオーブンを購入していただく必要があります。これが一番の出費になってしまうかもしれません。
とはいえ、オーブンレンジは大体どのメーカーさんの物でも250℃までは設定できますし、最新機種や高性能なものである必要もありません。パン作りをするにしても、スタンダードモデルで十分です。
ただ、フランスパンなどのハード系のパンも作ってみたい場合は、スチーム機能がついているものがいいですね。
ちなみに私が普段使っている自宅のオーブンレンジは15年以上前に買ったものですが、十分美味しいパンが焼けますよ!
出費を抑えたい場合はこちらのコンベクションオーブンがおすすめです。
電子レンジ機能はありませんが一万円を切る価格なので、「電子レンジは有るけどパンが焼けるオーブンは無い」という方は検討してみても良いかもしれませんね。
あった方が便利な道具
次に、無くても基本のテーブルロールは作れるけど、あった方が便利な道具は以下の4つです。
- ミキサー・ニーダー・ホームベーカリー
- こね台
- ドレッジ
- 発酵器
- 霧吹き
1.ミキサー・ニーダー・ホームベーカリー
ミキサー・ニーダー・ホームベーカリーは、全てパン生地を自動でこねてくれる便利な機械です。
これらがない場合は手ごねでパンを作ることになりますが、これがなかなか重労働なんですよね。
テーブルロールのようなふわふわっとした柔らかい食感のパンは、パン生地をしっかりとこねてやる必要があります。
しっかりこねることで生地の中にグルテンができ、そのグルテンがイーストの出す炭酸ガスをキャッチすることでパンはふわっと膨らみます。
もちろん手ごねでもテーブルロールは作れますが、ミキサー・ニーダー・ホームベーカリーがあればこねる作業を機械にやってもらうことができるので、楽にテーブルロールを作ることができます。
ミキサーはスタンドミキサーとも呼ばれ、パン生地をこねる機能の他に、(機種によりますが)お菓子作りや料理にも活用できます。
パン作りもするけどお菓子作りもするよ!という方はスタンドミキサーがあると便利かもしれませんね。
ただし、スタンドミキサーはそこそこのお値段がする(安くて約15,000円、高いものだと50,000円以上)のと、高速で回したときに騒音と振動が出てしまうのが気になる所です。
ニーダーは「ねる」作業に特化した機械です。
ニーダーはパン生地をこねたり、そば、うどん、パスタを作ることもできるので、パン以外にもそういったものを作ってみたい方に向いています。
ただ、個人的にはあまりニーダーはお勧めしません。
なぜかというと、スタンドミキサーに比べて、できることが限られている割にお値段が高い(30,000円以上)からです。
パン作りしかしないからもっと安いものが欲しい!という方はこの後紹介するホームベーカリーを使えばいいですし、お菓子作りにも使いたければスタンドミキサーをお勧めします。
ホームベーカリーは手軽にパン作りができるので、一時期流行りましたよね。もしかしたらお持ちの方も多いかもしれません。
多くのホームベーカリーは「こね機能」がついているので、生地をこねる作業だけホームベーカリーを使うと、とても楽にテーブルロール生地を作ることができます。
ホームベーカリーの良いところは、スタンドミキサーやニーダーに比べて安い機種がたくさんあることです。
私が持っている機種は当時セールで8,000円程で買いましたが、こね作業専用機として今も活躍しています。
ただ、注意点としてホームベーカリーはスタンドミキサーやニーダーと比べてパワーが控えめで、一度に作れるパンの量は食パン2斤分(テーブルロールに換算すると約20個分)程度が限界です。
もちろん機種によって差はありますが、覚えておいて下さいね。
2.こね台
こね台は手ごねでパン生地を作る時や、その他の作業全般であると便利な作業台(シート)です。
こね台は生地がくっつきにくくなる加工がされていたり、くっつきにくい素材を使って作られています。
お菓子作りにも使えるので、パン作りだけでなくお菓子作りもする方は一つ持っていると便利だと思いますよ。
こね台には種類があり、使わない時はまるめてしまっておけるシートタイプのものと、安定感のある板状のものがあります。
お好みで選んでもらえればいいと思いますが、私はこちらのこね台を使っています。
人工大理石でできた板状のこね台で、生地がくっつきにくく安定感もあり、便利に使っています。
それなりの大きさと重さがありますが、そこが問題にならなければお勧めのこね台です。
3.ドレッジ
ドレッジはパン生地をカットしたり、作業台の掃除に使う小さな板状の道具です。カードと呼ばれたりもしますね。
ドレッジは無くてもパンは作れますが、あった方がはるかに便利ですし、高いものでもないので用意しておいた方が良いと思います。
注意点としては、同じような見た目で金属製の「スケッパー」というものがありますが、こちらはお勧めしません。
スケッパーは生地をカットすることに特化した道具です。
なぜスケッパーをお勧めしないのかというと、金属製のスケッパーで生地をカットすると作業台を傷つけてしまうからです。
パン屋さんのように大量に生地をカットする場合はスケッパーの方が良いのですが、家庭でのパン作りではそこまで大量にパンをカットすることは無いと思うので、ドレッジで十分です。
4.発酵器
発酵器は名前の通り、パンの一次発酵や二次発酵に使う機械です。
発酵器内の温度を一定に保ち、更には加湿も行ってくれるので、安定した発酵を行うことができます。
とはいえパンは発酵器に入れなくても勝手に発酵するので、上手く工夫して発酵をコントロールしてやれば、発酵器を使わずにパンを作ることができます。
例えば
- オーブンレンジの発酵機能(30℃~40℃設定)を使う。
- 予熱中のオーブンの上など、温かいところに置いておく。
- お湯を沸かし、お湯を入れた容器と一緒にパンにビニール袋を被せて保温、保湿する。
こういった方法があります。
発酵器はあればもちろん便利ですがそれなりのお値段がしますし(20,000円~)、上記の工夫で乗り切ることができるので、私は持っていません。
ただし、上記の2番目と3番目の方法に関しては注意が必要です。これらは一定の温度を狙って保つことができないので、発酵が不安定になるかもしれません。
特に冬場や寒冷地にお住まいの方は、パンが冷えてうまく発酵しない場合があるので要注意です。
発酵機能の付いたオーブンレンジをお持ちでない方は、ゆくゆくは購入を検討しても良いかもしれませんね。
さて、ここまではあまり発酵器を推してきませんでしたが、発酵器をおすすめしたいケースがあります。
それは、天然酵母パンを作ると心に決めている場合です。
天然酵母を起こす場合、数日にわたって種を一定の温度で発酵・熟成させる必要があります。
これを室温でやる場合は温度が一定でないので酵母の成長度合いが分からず、なかなか難易度が高くなってしまいます。
特に冬場は温度管理が難しくなるため、自分で天然酵母を起こして天然酵母パンを作るんだ!という方は発酵器の購入を検討してみてはいかがでしょうか?
5.霧吹き
霧吹きは、乾燥対策でパン生地に水分を補う時にあると便利です。
パン生地は乾燥に弱いので、乾燥しやすい環境(冬場や、エアコンの風が当たってしまう等)でパン作りをする場合はあると良いでね。
霧吹きは100円ショップでも売っているので、それで十分です。
基本のテーブルロール作りに必要な材料
次は基本のテーブルロール作りに必要な材料を紹介していきます。
全てスーパーで手に入る材料なので、足りないものがあったら用意しておいてくださいね!
基本のテーブルロール作りに必要な材料は以下の6つです。
- 強力粉
- 砂糖
- 塩
- イースト菌
- バター(もしくはマーガリン)
- 脱脂粉乳(スキムミルク)
1.強力粉
強力粉はふわふわに膨らんだ柔らかいテーブルロールを作るためには欠かせない材料です。
小麦粉は薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉、超強力粉に分けられています。
これは小麦粉中のたんぱく質含量によって分けられていて、薄力粉が最もたんぱく質含量が少なく、超強力粉が最も多くなっています。
パンはグルテンがしっかりできないとふわふわに膨らみませんが、グルテンはたんぱく質からできているので、ふわふわに膨らませたいテーブルロールの場合はたんぱく質の多い強力粉を使いましょう。
【参考記事】ふわふわなパンは強力粉で作ろう!|強力粉と薄力粉の違いとは?
2.砂糖
砂糖はパンに甘味をつけるだけでなく、砂糖を入れることでパンにきれいな焼き色がつき、香ばしい風味が生まれます。
また、パン生地中のイーストがしっかりと活動するためのエサにもなっているんですよ!
砂糖はどの種類の砂糖を使って頂いても構いません。自宅にあるものでOKです。
3.塩
塩はパンに塩味をつけるだけでなく、パン生地を引き締めたり、イーストの発酵スピードを抑える働きがあります。
塩も自宅にあるものを使ってもらえればOKですよ。
4.イースト菌
イースト菌はパンを膨らませるために絶対に必要な材料です。イースト菌を含む発酵種が入っていないと、パンとは呼べません。
実はイースト菌にはいくつか種類があって、
- 生イースト
- ドライイースト
- セミドライイースト
- インスタントドライイースト
この4種類があります。
自宅でパン作りをする場合はインスタントドライイーストをお勧めします。
インスタントドライイーストは顆粒状で冷蔵保存でき、予備発酵という作業が不要なので便利に使うことができます。
【参考記事】パン作りに欠かせないイースト菌について|イースト菌の働き・種類・おすすめのイースト菌
5.バターもしくはマーガリン
バター(マーガリン)はパンに風味を付けるだけでなく、生地の伸びを良くする働きがあります。
パン作りには無塩タイプを用意しましょう。有塩でもできますが、その場合は有塩バターに含まれる塩分を計算して、レシピからその分を引くという手間があるので、少し面倒です。
ちなみにパンに塗るマーガリンは、マーガリンとは呼ばれているもののパッケージをよく見てみるとファットスプレッドと書かれているものがありますよね。
スーパーで売られているファットスプレッドはマーガリンに比べて水分量が多く、有塩タイプなのでパン作りには向いていないように思います。
6.脱脂粉乳(スキムミルク)
脱脂粉乳はパンの風味を良くし、栄養価を改善するとともに、発酵によってパン生地がブリブリになり過ぎるのを抑制する働きがあります。
パン生地は発酵するとふわっと膨らみ、伸びやすくなりますが、必要以上に発酵させるとブリブリに引き締まり、扱いづらくなってしまいます。
脱脂粉乳を入れることで、それを抑制することができるんですよ!
脱脂粉乳とスキムミルクは同じようなものなので、スーパー等に売っているスキムミルクでOKです。
基本のテーブルロールレシピ
必要な道具と材料をそろえたら、早速テーブルロール作りを始めていきましょう!
まずは基本のテーブルロールレシピを紹介します。
材料(テーブルロール7個分)
- 強力粉・・・200g
- 砂糖・・・14g
- 塩・・・3g
- インスタントドライイースト・・・3g
- 脱脂粉乳(スキムミルク)・・・4g
- 全卵・・・20g
- バターもしくはマーガリン・・・16g
- 水・・・112g
工程(作り方)
- ボウルにバター以外の材料を全て入れ、滑らかになるまでこねる。
バターを加え、再び滑らかになるまでこねる(仕込み)。
生地がこね上がったら生地温度をチェックする。目標こね上げ温度は27℃。 - 生地が乾燥しないようにボウルにラップや濡れ布巾をかけ、30℃で約50分間発酵させる(一次発酵)。
- 生地を作業台に出し、7等分する(1個あたり約53g)。分割した生地は断面や細切れになった生地を隠すように中に入れ、表面をきれいに張らせる(まるめ)。
- 生地が乾燥しないようにビニール袋や濡れ布巾を被せ、20分間生地を休ませる(ベンチタイム)。
- 手で軽く押さえるようにしてガスを抜き、まるめて表面をきれいに張らせる。裏側の閉じ目を手でつまんで閉じる。
まるめが難しい、もしくはよく分からない場合はガス抜きの後に生地の裏面を上にして端から巻いていき、90℃向きを変えて再び端から巻いていく。
その後、生地の四隅を一カ所にまとめてつまんで閉じれば同じ状態になるのでこの成形でもOK。
天板にベーキングシートを敷き、パン生地同士がくっつかないように均等に間を離して並べる。 - 乾燥に注意しながら、38℃で約60分発酵させる(二次発酵)。
およそ2倍近い大きさまで膨らめばOK。 - 刷毛を使って表面に溶き卵を塗る(塗り卵)。
二次発酵が終わった生地はとてもデリケートで、刷毛で突っついたり潰したりしてしまうとガスが抜けて膨らまなくなってしまうので注意して優しく塗る。 - 180℃に予熱したオーブンで約10分焼成する。
- 焼き色を確認し、問題なければオーブンから取り出す。
天板ごと10cmくらい持ち上げて木の板などの上に軽く落とす(ショック)。
基本のテーブルロール作りの注意点
基本のテーブルロール作りの工程をざっと紹介しましたが、上手にテーブルロールを作るためにはおさえておいて欲しい注意点がいくつもあるので、工程についてもう少し詳しく説明しますね。
イーストと塩は直接触れないようにする
一番最初の生地作りの際に、ボウルにバター以外の材料をすべて投入しますが、この時にイーストと塩が直接触れないようにしましょう。
イーストと塩が直接触れている状態が長い時間続くと、イーストが死んで発酵が鈍くなる可能性があります。
ちょっと触れる程度では問題ありませんが、長時間直接触れ続けないように注意しましょう。
テーブルロール生地はしっかりこねる
パン作りの最初の工程である「仕込み」ですが、パンの美味しさの8割は仕込みで決まると言われるくらい、重要な工程です。
テーブルロールはふわっと膨らんで柔らかい食感の方が良いですよね!
こういったテーブルロールを目指す場合、パン生地はしっかりこねる必要があります。
ミキサーやニーダー、ホームベーカリーを使ってこねる場合は機械の力を使えるので比較的楽ですが、手ごねの場合は十分すぎるほどこねないとふわっとしたテーブルロールにはなりません。
さらに、上記の工程1で説明した通り、まずはバターを入れずにしっかりこねて、そこからバターを入れて再びしっかりこねる必要があります。2段階になっているわけですね。
バターを入れると一度まとまった生地が一旦バラバラになります。心配になるかもしれませんが、更にしっかりこねると、バターを入れる前よりも滑らかな生地になるのでそこまで頑張ってこねましょう。
理想のこね具合は、生地の一部をちぎってゆっくり伸ばしたときに、薄い膜状になって反対側の指の指紋が透けて見えるくらい滑らかに伸びる状態です。
ただ実のところ、ここまでの状態にするには、業務用の力の強いミキサーを使わないと難しいんですよね。
私はテーブルロールを作る時はホームベーカリーのこね機能を使いますが、それでも理想のこね具合にはなりません。
さすがに自宅に業務用機材は設置できませんし、多少こねが足りなくても美味しいテーブルロールは作れるので、生地が滑らかになりツヤが出てくればOKです!
できるかぎり目標こね上げ温度に近づける
工程1で「目標こね上げ温度は27℃」と書きましたが、生地がこね上がった時の温度(こね上げ温度)は非常に重要で、パンの品質に大きく影響します。
できるかぎり目標こね上げ温度の27℃に近づけられるように生地を仕込みしましょう。
具体的には、水の温度を調整してこね上げ温度をコントロールします。
ここで難しいのは、一概に「〇〇℃の水で仕込めばOK」と言えないところです。
こね上げ温度は水の温度の他に、室温や材料の温度、こねる時間やこね方(手ごねなのか機械ごねなのか)の影響を受けてしまうので、誰がいつどこでやっても同じ、とはならないんです。
なので実際には一度やってみて、その結果を記録しておいて次回に活かすと徐々に狙った温度で生地をこね上げることができます。
初めてテーブルロール作りをする方は、目安として夏場は冷水(約5℃)、冬場はぬるま湯(約30℃)、春と秋は常温の水で仕込むと良いと思います。
この上げ温度がズレた時の対処法
できるだけこね上げ温度を目標に近づけたくても、上手くいかないことも多いと思います。
生地温度のコントロールは難易度が高めなので、特に初心者の場合は上手くいかなくて当たり前かもしれませんね。
では、こね上げ温度がズレてしまった場合はどうしたらいいかというと、その後の一次発酵と二次発酵の時間を調整することで対処します。
目安としては、こね上げ温度が目標よりも1℃高かったら一次発酵を10分短く、反対に1℃低かったら一次発酵を10分長くとります。
これはあくまでも目安なので、実際の生地状態を確認しながら調整することになります。
生地温度が高い、もしくは低いと、一次発酵で調整したとしても二次発酵にかかる時間が変わります。
生地の膨らみ具合を見ながら、焼くタイミングを調整しましょう。
乾燥対策をする
パン生地は非常に乾燥しやすく、裸で放置しておくとすぐに表面がカサカサになってしまいます。
パンは乾燥すると、その部分は上手く発酵せず、焼き上がったパンの表面に小さなブツブツが出てきてしまいます(これを専門用語で「梨肌」と言います)。
これを防ぐために、一次発酵、ベンチタイム、二次発酵の間は必ず乾燥対策をして下さい。
具体的にはラップや濡れ布巾、ビニール袋を被せます。この時生地にくっつかないように注意して下さいね。
季節や環境により、特に乾燥が激しい場合は霧吹きで水分を補ってあげると良いでしょう。
発酵時の温度管理は工夫で乗り切る
工程2の一次発酵と、工程6の二次発酵はちょうどいい温度が決まっています。一次発酵は30℃で、二次発酵は38℃ですね。
これはイーストが熟成する温度(30℃・一次発酵)と、発酵してどんどんガスを作り出す温度(38℃・二次発酵)に合わせた温度設定になっています。
ですから理想としては30℃の部屋と38℃の部屋を用意できればいいのですが、なかなか難しいですよね。
発酵機を買えば問題ないのですが、それなりに高価なので、できれば上手く工夫して乗り切りたいところです。
その工夫というのは、簡単に言えば「できるだけ温かいところを探したり、作り出したりして、そこに置いておく」というやり方になります。
一次発酵に適した温度は30℃なので、夏場は室温でも問題なく発酵します。エアコンをつけている場合は、冷気の当たらないところや、エアコンを使っていない部屋があればそこに置いておくのが良いでしょう。
それ以外の季節は、一番お手軽なのはオーブンレンジの発酵機能を使うことですね。
他には、お湯を沸かし、お湯を入れた容器と一緒にパンにビニール袋を被せて保温、保湿するという方法もあります。
暖房を使う季節なら、その近くでも良いかもしれませんね。
二次発酵に適した温度は38℃なので、予熱中のオーブンの上に置いておくのが一番簡単だと思います。
ただし予熱中のオーブンは熱くなるので、直置きはできません。
私はいつも予熱中のオーブンの上に金属製のケーキクーラーを置き、その上に木の板を乗せ、更にその上にパン生地をのせた天板を置いて二次発酵を行っています。
いずれにしても、発酵させる場所の温度を温度計で測っておいた方が良いですね。
適度に手粉(打ち粉)を使う
工程3以降は分割やまるめ、成形など、パン生地に手を加えていくことになります。
十分にこね、適度に一次発酵させたパン生地はこね上がり直後に比べてべたつきは収まります。
ですが、それでもパン生地は手やドレッジにくっつきやすいので、適度に手粉(打ち粉)を使って扱うようにしましょう。
手粉はパン生地仕込みに使った粉を使うのが基本ですが(今回は強力粉)、少量使う分にはどんな粉でもOKです。
私は某業務スーパーで売っている安い中力粉を使っています。高い粉だともったいないですからね!
手粉は使いすぎると粉が残ってしまうので要注意ですが、使わな過ぎて生地が傷むのも良くないです。
手粉の使用量は「生地が傷まない範囲でできるだけ少なく」と覚えておきましょう。
パン生地の分割時はデジタルスケールを使う
工程3で生地を5等分しますが、この時はデジタルスケールを使って正確に5等分して下さい。
レシピ通りに作ると生地全量で372gになるので、1個当たり約53gになるはずです。
「正確に」といっても、1~2gの誤差は問題ありません。ですが、量らずに目分量で分割して大きな差ができてしまうと、パンが均一な焼き色で焼けない可能性があります。
パン生地中のガスはしっかり抜く(生地が痛まないように注意)
工程5でテーブルロールを成形していますが、パン生地のガス抜きをする時は、大きなガスが残らないようにしっかりガス抜きをして下さい。
ここで均一にしっかりとガスを抜くことで、焼き上がったパンの中身が目の細かいしっとりしたものになります。
ではガス抜きが足りないとどうなってしまうかというと、パンの中にガスの気泡が残り、「焼き上がったパンを切ってみたら中に穴が開いていた」ということが起こる可能性があります。
また、大きな気泡がパンの表面に残っていると、そのままの状態で焼き上がってしまいます。
それを防ぐためにもしっかりとガス抜きをして欲しいのですが、しっかりガスを抜こうとして生地を潰し過ぎてしまうと、生地が切れて傷んでしまいます。
そうすると傷んだ部分の生地が上手く膨らまず、その部分だけ硬くなったり、パンを切った時に膨らまなかった部分が模様のように残ってしまうことがあります。
やり過ぎても、やらな過ぎても良くないので難しいところですが、ガス抜き不足と生地の痛みを意識して成形していきましょう。
ショックのやり忘れに注意
工程9でテーブルロールが焼き上がったら、天板ごと10㎝くらい持ち上げ、木の板などの上に落として下さい。この作業を「ショック」と言います。
これをすることでパンの中の熱い蒸気が外へ逃げ、代わりに外気が入るので、冷めた時にパンがしぼんでしまうのを防ぐことができます。
ショックは忘れずにやるようにして下さいね!
ショックは強い力をかける必要はありません。何度も強く衝撃を与えるとパンが潰れてしまうので気を付けましょう。
テーブルロール作りにチャレンジしてみよう!
ここまで基本のテーブルロール作りについて、必要な道具や材料、そしてレシピや作り方を紹介してきましたがいかがだったでしょうか?
パン作りは言葉や数字で説明しづらいことが多く(生地のこね具合や発酵具合、焼き色等)、作り方を読んだだけでは上手くいかないこともあるかもしれません。
ですが、何度かチャレンジしているうちに少しづつ上手に焼けるようになってくるので、どんどん楽しくなってくると思いますよ!
ぜひパン作りを楽しみ続けて欲しいと思います。