パン屋さんが教えるくるみパンの作り方・レシピ

どうも、現役パン職人のけん(@pansyokunin_ken)です。

今回はくるみの食感や香ばしさがたまらない、くるみパンの作り方とレシピを紹介していきます。

シンプルな食事パンとしてそのまま食べても美味しくいただけますし、意外かもしれませんがサンドイッチ用のパンとしても適しています。

くるみパンといえば独特な形が特徴的ですよね!

どうやってこの形を作っているの?と思うかもしれませんが、実は成形はとても簡単なんですよ!

くるみパンは食パンなどと違って専用の型を用意しなくても作れるので、チャレンジするハードルも低いと思います。
【参考記事】パン屋さんが教える基本の食パンの作り方・レシピ

これからくるみパンの作り方やレシピ、必要な道具・材料や注意点などを紹介していきますので、くるみパンの作り方に興味のある方はぜひ最後までお付き合いください!

くるみパン作りに必要な道具・材料

くるみパン作りに必要な道具や材料は、別の記事で紹介している「基本のテーブルロール」とほとんど同じです(使う材料は同じでも配合は異なります)。

パン作り初心者で、必要な道具や材料が分からない!という方はそちらの記事をご覧いただき、まず必要な道具や材料をそろえて頂くとスムーズにパン作りをスタートできると思いますよ。
【参考記事】パン屋さんが教える基本のテーブルロールの作り方・レシピ

そちらをご覧いただいた上で、そちらでは紹介していなかったくるみパン作りに必要な道具・材料が2つあるので紹介していきます。

その2つとは、

  • キッチンバサミ
  • くるみ

この2つです。

キッチンバサミ

キッチンバサミは、くるみパンを成型する際に、記事冒頭でも触れたくるみパン独特の形を作るために必要になります。

キッチンバサミは100円ショップでも販売されているようなので、あまり使う機会がなければそちらでもいいでしょう。

くるみ

当たり前ですが、くるみが入らなきゃくるみパンじゃないですよね!というわけで、くるみを用意しましょう。

パン作りに使うくるみは無塩タイプのものが適しています。

後ほど作り方の所でも説明しますが、生くるみの場合はローストが必要です。

くるみパンレシピ

必要な道具と材料をそろえたら、早速くるみパン作りを始めていきましょう!

まずはくるみパンレシピを紹介します。

材料(くるみパン6個分)

  • 強力粉・・・200g
  • 砂糖・・・20g
  • 塩・・・3g
  • インスタントドライイースト・・・4g
  • 全卵・・・20g
  • バターもしくはマーガリン・・・20g
  • 水・・・108g
  • くるみ・・・30g

工程(作り方)

  1. くるみをローストし、冷ましておく。
    電子レンジを使う場合は耐熱容器にくるみを入れ、600Wの電子レンジで1分加熱し一度取り出してかき混ぜ、もう一度600Wで1分加熱する。
    オーブンの場合はベーキングシートの上にくるみを並べ、160℃に予熱したオーブンで10分程度焼く。途中でかき混ぜて均一なロースト具合になるようにする。
    ※「フライパンでくるみを煎ると、コーティングの材質によっては加工が剥がれたり、有害物質が発生する恐れがある」という情報があるので、電子レンジかオーブンでのローストをおすすめします。
  2. ボウルにバターとくるみ以外の材料を全て入れ、滑らかになるまでこねる。
    バターを加え、再び滑らかになるまでこねる。その後、くるみを入れてくるみが粉々にならないように気を付けながら混ぜ込む(仕込み)。
    生地がこね上がったら生地温度をチェックする。目標こね上げ温度は27℃。
  3. 生地が乾燥しないようにボウルにラップや濡れ布巾をかけ、30℃で約60分間発酵させる(一次発酵)。
  4. 生地を作業台に出し、6等分する(1個あたり約67g)。分割した生地は断面や細切れになった生地を隠すように中に入れ、表面をきれいに張らせる(まるめ)。
  5. 生地が乾燥しないようにビニール袋や濡れ布巾を被せ、30分間生地を休ませる(ベンチタイム)。
  6. 手で軽く押さえるようにしてガスを抜き、まるめて表面をきれいに張らせる。裏側の閉じ目を手でつまんで閉じる。


    閉じ目を下にして軽く押さえ、キッチンバサミを使って均等に4か所縦に切り込みを入れる。


    続いて4か所に横に切り込みを入れる。カットする位置が高かったり低かったりするとバランスが崩れ、発酵後横に倒れてしまうので中心にカットを入れる。

    すべて切り込みを入れたらベーキングシートを敷いた天板に均等に並べる。
  7. 乾燥に注意しながら、38℃で約60分発酵させる(二次発酵)。
    およそ2倍近い大きさまで膨らめばOK。
  8. 刷毛を使って表面に溶き卵を塗る(塗り卵)。
    二次発酵が終わった生地はとてもデリケートで、刷毛で突っついたり潰したりしてしまうとガスが抜けて膨らまなくなってしまうので注意して優しく塗る。
  9. 170℃に予熱したオーブンで約12分焼成する。
  10. 焼き色を確認し、問題なければオーブンから取り出す。
    天板ごと10cmくらい持ち上げて木の板などの上に軽く落とす(ショック)。

くるみパン作りの注意点

ここまでくるみパン作りの工程をざっと紹介しましたが、上手にくるみパンを作るためにはおさえておいて欲しい注意点がいくつもあるので、工程についてもう少し詳しく説明しますね。

イーストと塩は直接触れないようにする

一番最初の生地作りの際に、ボウルにバターとくるみ以外の材料をすべて投入しますが、この時にイーストと塩が直接触れないようにしましょう。

イーストと塩が直接触れている状態が長い時間続くと、イーストが死んで発酵が鈍くなる可能性があります。

ちょっと触れる程度では問題ありませんが、長時間直接触れ続けないように注意しましょう。

くるみパン生地はしっかりこねる

パン作りの最初の工程である「仕込み」ですが、パンの美味しさの8割は仕込みで決まると言われるくらい、重要な工程です。

今回紹介しているくるみパンはふわっと膨らんだ柔らかいタイプですが(ハード系のくるみパンもある)、こういったくるみパンを作る場合、パン生地はしっかりこねる必要があります。

ミキサーやニーダー、ホームベーカリーを使ってこねる場合は機械の力を使えるので比較的楽ですが、手ごねの場合は十分すぎるほどこねないとふわっとしたくるみパンにはなりません。

さらに、上記の工程1で説明した通り、まずはバターを入れずにしっかりこねて、そこからバターを入れて再びしっかりこねる必要があります。2段階になっているわけですね。

バターを入れると一度まとまった生地が一旦バラバラになります。心配になるかもしれませんが、更にしっかりこねると、バターを入れる前よりも滑らかな生地になるのでそこまで頑張ってこねましょう。

特にくるみパンのように生地に具材を混ぜ込むタイプのパンは、そうでないパンと比べて膨らみづらいため、なおさらしっかりこねる必要があります。

理想のこね具合は、生地の一部をちぎってゆっくり伸ばしたときに、薄い膜状になって反対側の指の指紋が透けて見えるくらい滑らかに伸びる状態です。

ただ実のところ、ここまでの状態にするには、業務用の力の強いミキサーを使わないと難しいんですよね。

私はくるみパンを作る時はホームベーカリーのこね機能を使いますが、それでも理想のこね具合にはなりません。

さすがに自宅に業務用機材は設置できませんし、多少こねが足りなくても美味しいくるみパンは作れるので、生地が滑らかになりツヤが出てくればOKです!

くるみ投入後は混ぜすぎ注意

生地がしっかりとこねあがったら最後にくるみを投入し、生地に混ぜ込みますが、混ぜすぎには注意しましょう。

なぜかというと、混ぜすぎるとくるみが砕けて粉々になってしまうからです。

混ぜ込む際には生地に力がかかるのでどうしてもくるみは砕けますが、粉々にならないように均一に混ざったところでストップしましょう。

特に機械を使って生地を仕込む場合は、生地が出来上がった時点で機械から取り出し、手でくるみを混ぜ込むことをおすすめします。

できるかぎり目標こね上げ温度に近づける

工程2で「目標こね上げ温度は27℃」と書きましたが、生地がこね上がった時の温度(こね上げ温度)は非常に重要で、パンの品質に大きく影響します。

できるかぎり目標こね上げ温度の27℃に近づけられるように生地を仕込みしましょう。

具体的には、水の温度を調整してこね上げ温度をコントロールします。

ここで難しいのは、一概に「〇〇℃の水で仕込めばOK」と言えないところです。

こね上げ温度は水の温度の他に、室温や材料の温度、こねる時間やこね方(手ごねなのか機械ごねなのか)の影響を受けてしまうので、誰がいつどこでやっても同じ、とはならないんです。

なので実際には一度やってみて、その結果を記録しておいて次回に活かすと徐々に狙った温度で生地をこね上げることができます。

初めてくるみパン作りをする方は、目安として夏場は冷水(約5℃)、冬場はぬるま湯(約30℃)、春と秋は常温の水で仕込むと良いと思います。

この上げ温度がズレた時の対処法

できるだけこね上げ温度を目標に近づけたくても、上手くいかないことも多いと思います。

生地温度のコントロールは難易度が高めなので、特に初心者の場合は上手くいかなくて当たり前かもしれませんね。

では、こね上げ温度がズレてしまった場合はどうしたらいいかというと、その後の一次発酵と二次発酵の時間を調整することで対処します。

目安としては、こね上げ温度が目標よりも1℃高かったら一次発酵を10分短く、反対に1℃低かったら一次発酵を10分長くとります。

これはあくまでも目安なので、実際の生地状態を確認しながら調整することになります。

生地温度が高い、もしくは低いと、一次発酵で調整したとしても二次発酵にかかる時間が変わります。

生地の膨らみ具合を見ながら、焼くタイミングを調整しましょう。

乾燥対策をする

パン生地は非常に乾燥しやすく、裸で放置しておくとすぐに表面がカサカサになってしまいます。

パンは乾燥すると、その部分は上手く発酵せず、焼き上がったパンの表面に小さなブツブツが出てきてしまいます(これを専門用語で「梨肌」と言います)。

これを防ぐために、一次発酵、ベンチタイム、二次発酵の間は必ず乾燥対策をして下さい。

具体的にはラップや濡れ布巾、ビニール袋を被せます。この時生地にくっつかないように注意して下さいね。

季節や環境により、特に乾燥が激しい場合は霧吹きで水分を補ってあげると良いでしょう。

発酵時の温度管理は工夫で乗り切る

工程3の一次発酵と、工程7の二次発酵はちょうどいい温度が決まっています。一次発酵は30℃で、二次発酵は38℃ですね。

これはイーストが熟成する温度(30℃・一次発酵)と、発酵してどんどんガスを作り出す温度(38℃・二次発酵)に合わせた温度設定になっています。

ですから理想としては30℃の部屋と38℃の部屋を用意できればいいのですが、なかなか難しいですよね。

発酵機を買えば問題ないのですが、それなりに高価なので、できれば上手く工夫して乗り切りたいところです。

その工夫というのは、簡単に言えば「できるだけ温かいところを探したり、作り出したりして、そこに置いておく」というやり方になります。

一次発酵に適した温度は30℃なので、夏場は室温でも問題なく発酵します。エアコンをつけている場合は、冷気の当たらないところや、エアコンを使っていない部屋があればそこに置いておくのが良いでしょう。

それ以外の季節は、一番お手軽なのはオーブンレンジの発酵機能を使うことですね。

他には、お湯を沸かし、お湯を入れた容器と一緒にパンにビニール袋を被せて保温、保湿するという方法もあります。

暖房を使う季節なら、その近くでも良いかもしれませんね。

二次発酵に適した温度は38℃なので、予熱中のオーブンの上に置いておくのが一番簡単だと思います。

ただし予熱中のオーブンは熱くなるので、直置きはできません。

私はいつも予熱中のオーブンの上に金属製のケーキクーラーを置き、その上に木の板を乗せ、更にその上にパン生地をのせた天板を置いて二次発酵を行っています。

いずれにしても、発酵させる場所の温度を温度計で測っておいた方が良いですね。

適度に手粉(打ち粉)を使う

工程4以降は分割やまるめ、成形など、パン生地に手を加えていくことになります。

十分にこね、適度に一次発酵させたパン生地はこね上がり直後に比べてべたつきは収まります。

ですが、それでもパン生地は手やドレッジにくっつきやすいので、適度に手粉(打ち粉)を使って扱うようにしましょう。

手粉はパン生地仕込みに使った粉を使うのが基本ですが(今回は強力粉)、少量使う分にはどんな粉でもOKです。

私は某業務スーパーで売っている安い中力粉を使っています。高い粉だともったいないですからね!

手粉は使いすぎると粉が残ってしまうので要注意ですが、使わな過ぎて生地が傷むのも良くないです。

手粉の使用量は「生地が傷まない範囲でできるだけ少なく」と覚えておきましょう。

パン生地の分割時はデジタルスケールを使う

工程4で生地を6等分しますが、この時はデジタルスケールを使って正確に6等分して下さい。

レシピ通りに作ると生地全量で405gになるので、1個当たり約67gになるはずです。

「正確に」といっても、1~2gの誤差は問題ありません。ですが、量らずに目分量で分割して大きな差ができてしまうと、パンが均一な焼き色で焼けない可能性があります。

パン生地中のガスはしっかり抜く(生地が痛まないように注意)

工程6でくるみパンを成形していますが、パン生地のガス抜きをする時は、大きなガスが残らないようにしっかりガス抜きをして下さい。

ここで均一にしっかりとガスを抜くことで、焼き上がったパンの中身が目の細かいしっとりしたものになります。

ではガス抜きが足りないとどうなってしまうかというと、パンの中にガスの気泡が残り、「焼き上がったパンを切ってみたら中に穴が開いていた」ということが起こる可能性があります。

また、大きな気泡がパンの表面に残っていると、そのままの状態で焼き上がってしまいます。

それを防ぐためにもしっかりとガス抜きをして欲しいのですが、しっかりガスを抜こうとして生地を潰し過ぎてしまうと、生地が切れて傷んでしまいます。

そうすると傷んだ部分の生地が上手く膨らまず、その部分だけ硬くなったり、パンを切った時に膨らまなかった部分が模様のように残ってしまうことがあります。

やり過ぎても、やらな過ぎても良くないので難しいところですが、ガス抜き不足と生地の痛みを意識して成形していきましょう。

ショックのやり忘れに注意

工程10でくるみパンが焼き上がったら、天板ごと10㎝くらい持ち上げ、木の板などの上に落として下さい。この作業を「ショック」と言います。

これをすることでパンの中の熱い蒸気が外へ逃げ、代わりに外気が入るので、冷めた時にパンがしぼんでしまうのを防ぐことができます。

ショックは忘れずにやるようにして下さいね!

ショックは強い力をかける必要はありません。何度も強く衝撃を与えるとパンが潰れてしまうので気を付けましょう。

くるみパン作りにチャレンジしてみよう!

ここまでくるみパン作りについてレシピや作り方を紹介してきましたがいかがだったでしょうか?

パン作りは言葉や数字で説明しづらいことが多く(生地のこね具合や発酵具合、焼き色等)、作り方を読んだだけでは上手くいかないこともあるかもしれません。

ですが、何度かチャレンジしているうちに少しづつ上手に焼けるようになってくるので、どんどん楽しくなってくると思いますよ!

ぜひパン作りを楽しみ続けて欲しいと思います。