どうも、パン職人のけん(@pansyokunin_ken)です。
ついに…ついにこの日が来てしまった。18年間の長い付き合いだった東芝製のオーブンレンジが壊れました。
社会人になって一人暮らしを始める際に、実家にあって使っていなかったこのオーブンレンジをもらってきて、ずっと使っていました(だいたいの歳がわかるね)。
さすがに18年前のオーブンレンジだと修理は難しかろうということで、さっそく買い替え。
次のオーブンレンジに求める条件としては、まずはスチームが出せること。ハード系のパンを焼くのでスチームは必須です。
更には、できれば2段で焼ける機種であることです。おうちピザパーティーをする時に、一枚ずつ焼いていると間に合わない時がありますからね。
予算は3~4万円としました。上位機種は普通に10万円を超えるのとかあるけれど、レンジが使えてパンが焼ければいいので、私には必要ないかな。
それらをふまえてネットで調べまくったり、家電量販店をうろついた結果、最終的に2機種に絞りました。
一つは東芝の石窯ドームのエントリー機種。もう一つが今回購入したシャープのRE-WF264という機種です。
石窯ドームの方はモデルにもよりますが3~4万円で予算的には丁度良い感じ。石窯ドームはパンを焼く人には評価が高いみたいですね。
ただし2段での焼成には対応していません(上位機種は対応)。また、比較的壊れやすいという口コミもちらほら(事実かどうかは分かりません)。
それに対しシャープの方はお値段が4万円を少し切るくらいで予算内。そして2段での焼成に対応しています。更に、これの一世代前の機種が結構評判が良かったみたいですね。
これらの内容を比較検討した結果、シャープのRE-WF264の購入に至りました。
このオーブンレンジで何度かパンを焼いたので、今回はこのオーブンレンジの特徴や良いところ、悪いところをレビューしていきます(あくまでもパン作りに限った内容になります)。
目次
石窯ドームとの一番の違いはコンベクションオーブンであること
シャープのオーブンレンジと、もう一つの選択肢だった石窯ドームとの一番の違いは、シャープのオーブンレンジが「コンベクションオーブン」であることだと思っています。これが一番の特徴かな。
コンベクションオーブンというのは庫内に熱風を循環させ、その熱で焼く方式のオーブンです。
それに対し、石窯ドームは上下ヒーター式で、庫内の上下に熱源があってその熱で焼く方式ですね。
パン作りでは、この二つの違いは結構大きいんですよ。プロの工房でも、作るパンによってこの二つの方式のオーブンを使い分けています。どちらが優れているというわけではなく、向き不向きの問題ですね。
コンベクションオーブンは大体のパンは焼けますが、ハード系のパンを焼くのはちょっと苦手です。ハード系のパンは下火が重要なので、まんべんなく火が入るコンベクションよりも、下火がしっかり入る上下ヒーター式の方が上手に焼けるんですよ。
そういう意味では、「私はほとんどハード系のパンしか焼きません!」という人には石窯ドーム(上下ヒーター式のオーブンレンジ)の方が向いているのかも。
ただ、ハード系のパンは苦手なだけで焼けないわけではありません。工夫次第で十分美味しいハード系のパンを焼くことができます。
パンもお菓子も作るよって人はコンベクションオーブンがいいかもしれません。試しにクッキーを焼いてみたところ焼きムラはほとんどなく、良い感じでした。
シャープのオーブンレンジ【RE-WF264】の良いところ
シャープのオーブンレンジ【RE-WF264】でパンを焼いてみて、良いと感じたところを紹介していきます。
とはいえ、比較対象が冒頭で紹介した18年前のオーブンレンジなので基本的には良いところだらけなんですが、まぁご参考までに。
火力が強い
良いところの一つ目は、火力が強いところです。
例えばハード系のパンを焼く場合、昔のオーブンレンジでは250℃で焼き始めて途中で240℃に落として焼いていましたが、このオーブンレンジでは240℃で焼き始めて途中で220℃に落とすと大体同じくらいの焼き時間になりました。
先ほどコンベクションオーブンはハード系のパンが苦手と説明しましたが、意外と火力が強いのでちゃんと焼けるようです。
ただし、ハード系のパンを焼く際にはちょっと注意しなければならないところもあります。それはまた後ほど。
予熱が早い
良いところの二つ目は、予熱が早いところです。
もしかしたら最近の機種ならみんな早いのかもしれませんが、昔のオーブンレンジは250℃の予熱が完了するまでに約30分かかっていました。まぁ、そのつもりで発酵時間を調整すれば問題なく焼けていましたけど、今や約20分で予熱完了です。早い!
コッペパンやロールパンを焼くような温度帯(200℃前後)なら10分程度です。これは感動しました。
オーブンレンジ本体が熱くなりすぎない
良いところの三つ目は、オーブンレンジ本体が熱くなりすぎないところです。
我が家ではオーブンレンジの上に物を置いています。パンを焼くときはオーブンレンジが熱くなるので物をどけて、冷めたら元に戻していました。
昔のオーブンレンジは250℃までガッツリ温度を上げてハード系のパンを焼いた後は、本体上部の温度がなかなか下がらなかったんですよ。そうするとどけた物を元に戻せなくて、キッチンが狭くなる問題が起きていたんです(オーブンレンジの上に物を置かなければいいんですけどね)。
それに対し、このオーブンレンジは本体が熱くなりすぎず(もちろん熱くはなりますよ)、オーブンレンジ上部や庫内が冷めるのが比較的早いです。これは上下ヒーター式でなく、コンベクションだからなのかもしれませんね。
2段で焼ける
良いところの四つ目は、2段で焼けるところです。
一度にたくさんパンを焼きたい場合は、やはり2段で焼けると便利ですね。
今のところ生地量40gのコッペパンを9個のせ2段で合計18個は一度に焼けることを確認しました。
ただし、2段で焼くと高さの余裕があまりないので、大きくて高さの出るパンを2段で焼くと上部がくっついてしまうかもしれません。そこは要注意です。
庫内の汚れが目立ちにくい
良いところの五つ目は、庫内の汚れが目立ちにくいところです。
このオーブンレンジは庫内底面が黒っぽい色になっていて、汚れが目立ちにくいです。
これ、地味だけど結構うれしかったポイントなんですよね。
というのも、昔のオーブンは庫内底面が白っぽい(クリーム色っぽい)色をしていたんですが、焦げ付いたような汚れがめちゃくちゃ目立っていました。
使う前にきれいに拭いてから使っても汚れが付くし、熱いうちにゴシゴシ拭き取らないとなかなか落ちないし、ちょっとした悩みどころだったんです。
その点このオーブンレンジは今のところそういったことはないですし、汚れも目立たないのでいい感じ。
シャープのオーブンレンジ【RE-WF264】の悪いところ
今度はシャープのオーブンレンジ【RE-WF264】の悪い(というか不満を感じる)ところを紹介していきます。
コンベクションオーブンであるが故に不満を感じる部分が多いですね。
大きいパンを焼くと焼きムラができる
不満を感じるところの一つ目は、大きいパンを焼くと焼きムラができるところです。
あれ?コンベクションオーブンって焼きムラができにくいんじゃないの?って思いましたよね。基本的にはそうなんです。コッペパンやロールパンなどの比較的小さいパンを焼く場合なら。
ではなぜ大きいパンを焼くと焼きムラができてしまうのかというと、おそらく熱風が循環する前に直接パンの一部に当たり続けてしまうからだと思います。
このオーブンレンジは先ほどの画像でも分かる通り、庫内奥面にファンがあります。カンパーニュや食パンなどの比較的大きいパンを焼くと奥面だけ早く色がつくため、おそらく熱風が当たり続けているんだと思うんですよね。
均等な焼き色にするためには、数分おきにパンを動かして熱風が当たる面を変えてやる必要があります(これを切り返しと言います)。
ちなみに先ほどの画像のカンパーニュは10分焼いた時点で奥面はしっかり色がつき、そこから約4分おきに熱風が当たる面を変えることで均等な焼き色を付けています。
まぁ、面倒っちゃ面倒ですね。昔のオーブンは上下ヒーター式でしたが、カンパーニュや食パンを焼いてもここまで焼きムラは出ませんでした。
家庭用コンベクションオーブンは庫内が小さいので熱風が循環する前にパンに直接当たってしまうのかもしれませんね。業務用コンベクションオーブンは大きいので、ここまで焼きムラは出ません。
下火が入りづらい
不満を感じるところの二つ目は、下火が入りづらい(底面の焼き色が付きづらい)ところです。
先ほど紹介した「このオーブンレンジの良いところ」の「火力が強い」という項目で最後に触れた「ハード系のパンを焼く際にはちょっと注意しなければならないところ」というのはこれのことです。
これはコンベクションオーブンの宿命的なところではあります。熱風で焼くオーブンなので、上下ヒーター式のように庫内下部の熱源で直接焼くようなオーブンに比べると下火が弱くなってしまいます。
ハード系以外のパンなら不満を感じませんが、ハード系の場合は不満を感じるポイントですね。バゲットやカンパーニュを焼いた際に、焼き色はしっかり付いているのに底面を見たら白っぽくて残念な気持ちになりました。
幸い火力があるのでボリュームはしっかり出ますし、クープも割れます。なのでハード系のパンを焼けないわけではありません。ただし、底面が白っぽいという。
これを改善するにはピザストーンや厚めの鉄板、銅板など蓄熱性のいい物を天板の上に置いて予熱し、これらをしっかりと熱した状態でパンを乗せて焼けばOKです。
銅板は特に良いみたいですね。ただし、お高いです。
ホワイトラインができない
不満を感じるところの三つ目は、ホワイトラインができにくいところです。
ホワイトラインというのは、焼きあがった食パンの上部の角やコッペパン下部の側面などに部分的に残る白っぽい部分のことを言います。
適度にホワイトラインがあるパンというのは、食感が柔らかいです。ホワイトラインがあるということは、焼きすぎていない、適度な焼き具合であるという証明のようなものなんです。
このホワイトライン、上下ヒーター式のオーブンレンジで焼くとできるのですが、コンベクションオーブンだとできにくいんです。その理由は、熱風によってまんべんなく焼けてしまうから。ムラなく焼けるのは良いことなんですけどね。
コンベクションオーブンはまんべんなく火が入るので、焼く温度と時間に注意しないとパンの表面が全体的にカッチリと焼きあがってしまい、食感の硬いパンになってしまいます。
ちょっと高めの温度設定にして、短時間でパッと焼き上げるような工夫が必要ですね。特に2段使ってたくさんパンを焼く場合は、焼成温度が低いと焼成時間が延び、表面がカチカチのパンになりやすいので要注意です。
スチームがカップ式
不満を感じるところの四つ目は、スチームがカップ式というところです。
スチームに対応したオーブンレンジはスチームの出し方で2種類に分かれています。一つはタンク式、もう一つはカップ式です。
タンク式はオーブンレンジにスチーム用の水を入れたタンクをセットし、その水を使って焼成時に庫内にスチームを発生させる方式です。業務用の製パン用オーブンも似たような方式(タンクではありませんが、水道を直接つなげてあって、ボタン一つで庫内にスチームを出せる)ですし、昔のオーブンレンジもこの方式でした。
それに対しカップ式は、庫内に水を入れたスチームカップを入れ、その水を蒸発させることでスチームを発生させる方式です。
カップ式の場合はどのタイミングでどれだけのスチームが発生しているか分からないため、パン作りでは正直扱いづらいです。
また、ハード系のパンを焼く場合、付属のスチームカップでは水の量が足りません。付属のレシピブックにフランスパンの焼き方が載っているのですが、「天板を2枚使い、2枚入れた状態で予熱し、予熱が済んだら上段にパン、下段の天板に熱湯を注いで焼く」と説明されています。
このやり方だと熱々に熱せられた天板に熱湯を注ぐので少々やけどの危険がありますし、パンを入れたり熱湯を注いでいる間はオーブンの扉を開けっぱなしにしなければならないため、手早くやらないとせっかく予熱したオーブンの庫内温度が下がってしまいます。
そういったことを気にして焦ってやると余計やけどの危険は高まるでしょうし、ちょっと不満なポイントですね。
ただし、「カップ式だから上手に焼けない」ということはありません。何度かハード系のパンを焼いていますが、付属のレシピブックを参考に焼いたところ、そこそこ上手く焼くことができました。
発酵機能を使うとパン生地が乾燥する
不満を感じるところの五つ目は、発酵機能を使うとパン生地が乾燥するところです。
このオーブンレンジには発酵機能があって、30℃、35℃、40℃の温度設定ができます。パンを発酵させる温度帯ですね。
発酵機能を使ってみて分かったんですが、どうやら発酵設定で起動している間も、ファンが回っているっぽいんです(ファンが回っている音がする)。
そうすると風が循環するため、あっという間にパン生地が乾燥してしまいます。
その対策として、このオーブンレンジには予熱ならぬ「予湿」という機能があります。先ほどのスチームカップに水を入れて予湿を行うと、水が熱せられてスチームが発生します。
付属のレシピブックによれば、これで庫内の湿度を高めた後にパンを入れて発酵機能を使うように書かれているんですが、それでも30分を越えたあたりからパン生地が乾燥し始めてしまうんですよね。
これはちょっと残念なポイントでした。30分経ったら一度パンを取り出して改めて予湿機能を使うか、霧吹きで水分を補ってやる必要があります。
【結論】価格と機能のバランスが良い
ここまでシャープのオーブンレンジ【RE-WF264】の特徴と良いところ・悪いところを紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
個人的な感想としては、価格と機能を考えるとバランスがとれていて良いオーブンレンジだなと思います。
4万円でお釣りがくるくらいで買えて、火力は十分。2段焼成に対応しているので一度にたくさんパンを焼けますし、コンベクションオーブンなので小さめのパンやお菓子を焼く分にはムラなく焼けていい感じです。
一方大型のパンを焼く場合はちょっと気を遣う必要があります。スチームもカップ式なのでハード系のパンを焼く場合はちょっと一手間かかってしまいますね。
ただ価格を考えれば十分かな、とも思います。工夫次第でうまく焼けますし、うまく焼ける方法を考えながらチャレンジするのもパン作りの楽しみ方の一つですね。
以上、実際に使ってみてのレビューでした。購入を検討されている方は、参考にしていただければと思います。