どうも、パン職人Ken(@pansyokunin_ken)です。
今回はパン屋さんが使っている、パンを作る上で役立つ機械の中から「ミキサー」を紹介していきます。
美味しいパンを作る上で、機械(設備)を用意して上手に活用するということはとても重要なことです。
パン職人というと、「職人」というイメージからか、経験に基づく勘を頼りに自分の手先の感覚で美味しいパンを作り上げていく姿を思い浮かべるかもしれません。
そういった時代はもちろんあったと思いますが、今の時代はパンを簡単に、安全に、そして安定した品質で作るための機械がたくさんあります。
ですから、今の職人は機械を上手に使いこなせなければいけません。これも技術の一つです。
パン屋業界の言葉の一つに、「パンの美味しさは温度、計量、時間、そして設備で決まる」というものがあります。それくらい設備(機械)を使いこなすということは大切なことなんですよ。
ミキサーに関しては、現実的に考えて、お店で販売する量のパンの生地を全て手でこねるのは無理がありますから、実際のところは機械を使わざるを得ないんですけどね。
というわけで、主にパン屋さんが使っているミキサーという機械の紹介していきますね!
目次
パンを生地を作る機械「ミキサー」
ミキサーというのはパン生地を作るのに使う機械です。
パン屋さんの規模にもよりますが、パン生地は一度に数キロから数十キロの小麦粉を使って仕込みます。そうなると、さすがに手でこねるわけにはいきません。機械を使います。
以前友達から、「パン屋さんってさ、パン生地こねるの超重労働じゃない?」と聞かれたことがありますが、一般のイメージだとそんな感じなんだなぁと思いました。
ミキサーにはいくつか種類があって、それぞれ得意な生地や特徴があります。今回は6種類のミキサーを紹介していきます。
パン生地を作る6種類のミキサーの違いや特徴
多くのパン屋さんにある「縦型ミキサー」
これは縦型ミキサーと呼ばれるミキサーです。
縦型ミキサーは日本では多くのパン屋さんに普及している一般的なミキサーです。
縦型ミキサーはフックがボウルの内側に生地を叩き付けるように動き、それによってパン生地が出来上がっていきます。
この「叩き付ける動き」が、食パン、菓子パン、コッペパンなどの日本で人気のあるパン生地を作るのに適しているため、多くのパン屋さんに普及しているんです。
フランスパン作りに適した「スパイラルミキサー」
これはスパイラルミキサーと呼ばれるミキサーです。
スパイラルミキサーはフックの部分が回転するとともに、銀色のボウルの部分も回転します。
スパイラルミキサーは縦型ミキサーとは違い、生地を叩き付けるような動きではなく、生地を練って、ちょっと休んで(ボウル自体が回転しているので生地がフックに当たっていない時間が発生する)、また生地を練っての繰り返しで生地を作っていきます。
この動きはフランスパンなどのこね過ぎない生地に向いているとされていて、フランスパンに力を入れているようなお店ではこのスパイラルミキサーを導入しているお店もあります。
また、スパイラルミキサーは縦型ミキサーと比べて騒音が小さいという特徴もあります。
縦型ミキサーは生地を叩き付ける動きをする都合上、バンバンという大きな音がします。住宅が近くにあるお店の場合はこの騒音がクレームになることもあります。
その点、スパイラルミキサーは縦型ミキサーほど騒音が大きくないので、そういった理由から導入するお店もあります。
あまり見ないレアなミキサー「スラントミキサー」「アートフェックスミキサー」
スラントミキサーは一見スパイラルミキサーに似ていますが、スパイラルミキサーとは違った特徴があります。
一番の違いはフックの形。スラントミキサーはスパイラルミキサーと違い、カニのハサミのような楕円形のフックがついてます。
そしてこちらはアートフェックスミキサー。これは他のミキサーとは大分違いがありますね。
他のミキサーはフックが回転するのに対し、アートフェックスミキサーは2本の腕のようなフックを持ち、これが上下に動いて手でこねるような動きをします。
私はアートフェックスミキサーは実際に見たことがありません。なかなかレアなミキサーです。
この2つのミキサーに共通する特徴は、縦型ミキサーやスパイラルミキサーと比べて生地ができるのに時間がかかる(グルテンができにくい)という点です。
スラントミキサーとアートフェックスミキサーは主にヨーロッパで使われていたミキサーです。
地域的にパンに使われる小麦粉は出来上がるグルテン量が少なめの中力粉なので、そもそも生地をしっかりこねる必要が無かったんですね(中力粉は強力粉に比べてたんぱく量が少ないため、たくさんこねても強力粉ほどグルテンができない)。
それに対し、日本ではふわふわのパンが好まれるため、強力粉を使ってしっかりとこねてグルテンをたくさん作り、十分膨らむような生地を作ります。
そういった違いから、日本ではよほどフランスパンやドイツパンに特化したお店でない限りこれらのミキサーにはお目にかかれません。
フィリングづくりやちょっとした試作で役立つ「卓上ミキサー」
この卓上ミキサーは小型で家庭用としても手が届く価格、そしてパンにもお菓子にも使えるので頻繁にお家でパンやお菓子を作る場合は持っている方もいらっしゃるかもしれません。
家庭用のイメージがあるかもしれませんが、パン屋さんでも使う場合があります。
それは試作等で少量の生地を仕込む場合、もしくはフィリング(パンの中に入れるクリーム)や仕上げに使う上掛け生地などを仕込む場合です。
比較的小さい規模のお店では頻繁に活躍するかもしれませんね。
お家でパンを作る場合、フランスパン等のそこまでしっかりこねなくても作れるパンの場合は手こねでも十分パンを作ることが出来ますが、食パンや菓子パン等のしっかりこねる必要のある生地を作る場合は卓上ミキサーがあると便利ですよ。
→【参考記事】家庭でパン作りを楽しむためのミキサーの選び方とは?
工場御用達の「横型ミキサー」
最後に紹介するのは横型ミキサーです。このミキサーはもしかしたら一番馴染みのない、聞いたことのないミキサーかもしれません。
横型ミキサーはおそらく一般的なパン屋さんには置いていません。横型ミキサーは一度にまとめて大量の生地を仕込む場合に使うミキサーで、主にパン工場で使われます。
写真のミキサーは10袋用と呼ばれる容量のミキサーで、最大で一度に10袋(業務用小麦粉1袋が25kgなので250kg)の小麦粉を使って生地を仕込むことが出来ます。
まとめ
さて、今回はパン屋さんが使っているパン生地を作る機械ということで、ミキサーを6種類紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。
今回紹介したミキサーは
- 縦型ミキサー
- スパイラルミキサー
- スラントミキサー
- アートフェックスミキサー
- 卓上ミキサー
- 横型ミキサー
この6種類でしたね。
卓上ミキサー以外は、パン職人でなければ実際に目にすることは無いものだと思います。まぁ、スラントミキサーとアートフェックスミキサーはパン職人である私も見たことがないほどレアなものではありますが。
パン屋さんはたパンを作るのにこういった機械を使っているということで、ちょっとしたパン屋さんの裏側紹介でした!
頻繁にパン作りやお菓子作りを楽しむ方は、卓上ミキサーはあっても損はしないかもしれません。そこそこお値段がしますので、余裕のある方は検討してみてもいいかもしれませんね!
→【参考記事】家庭でパン作りを楽しむためのミキサーの選び方とは?
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