どうも、パン職人けん(@pansyokunin_ken)です。
しばらく前に米化オートミールというものが流行ったと思うんですが、ご存知でしょうか?
オートミールと水を合わせてレンジでチンするだけで、お米のような食感の米化オートミールを簡単に作ることができます。
そこでちょっとひらめいたんですよね。パンに米化オートミールを混ぜ込めばしっとり&もちもち食感にできるんじゃないかって。
パン作りの製法の一つに「湯種」というものがあります。小麦粉と水を合わせて煮ることで小麦粉をα化(糊化)させ、それをパンに混ぜ込むことでもっちり食感にするという製法です。
米化オートミールって簡単に湯種の代わりになるんじゃないかって思ったんですよね。
もし米化オートミールを混ぜ込むことでしっとり&もちもちのパンを作ることが出来るなら、そういった食感のカンパーニュが食べたい!
というわけでやってみたんですが、結論から言うと上手くいきました!それがこちら↓
米化オートミールを混ぜ込むことで超しっとり&もちもちのカンパーニュを作ることができたので、作り方や注意点を紹介していきます。
目次
米化オートミール入りカンパーニュのレシピ・材料
まずは米化オートミール入りカンパーニュのレシピ・材料を紹介していきます。必要な材料をそろえ、計量しましょう。
- 準強力粉もしくは中力粉:175g
- 全粒粉:50g
- ライ麦粉:25g
- インスタントドライイースト:0.6g
- モルトシロップ:1g
- 塩:5g
- 水:173g
- オートミール:60g
- 水(オートミール米化用):100g
これで合計約580gのパン生地ができあがります。大型のカンパーニュ1個分です。
今回使用した小麦粉は準強力粉のリスドォルという粉です。準強力粉や中力粉であれば他の物でも構いません。
全粒粉はAmazonで買った安い粉で、ライ麦粉はアーレファインという粉を使いました。
全粒粉やライ麦粉の風味を味わいたかったので配合していますが、全て準強力粉(もしくは中力粉)に置き換えても構いません。
インスタントドライイーストはド定番のサフインスタントドライイースト赤を使っています。
モルトシロップはあまり聞きなれない材料かもしれませんが、砂糖の入らない生地(主にフランスパン)に配合します。これを入れることで発酵促進、焼き色がきれいにつきやすくなる等の効果があります。
米化オートミール入りカンパーニュの作り方
1.オートミールを米化する
最初にオートミールの米化を済ませておきましょう。やり方は簡単で、オートミール60gと水100gを耐熱容器に入れ、レンジ(500W)で1分間チンするだけです。
レンジから出したらかき混ぜて状態を均一にします。
米化を最初に済ましておくのは理由が二つあって、一つ目はレンジにかけたことで熱々になったオートミールを冷ますため、二つ目は米化後にかき混ぜてしばらく置いておくことでオートミールにしっかり水分を吸わせるためです。
2.オートリーズ
粉類(準強力粉or中力粉、全粒粉、ライ麦粉)、水、モルトシロップ(水に溶かしておく)をボウルに入れ、粉っぽさが無くなるまでこねていきます。
今回は手ごねで作りましたが、ミキサーやニーダー、ホームベーカリーをお持ちの方はそれらを使って頂いてもOKです。
こねたらインスタントドライイーストを振りかけ、混ぜずに30分間生地を休ませます。
この時点では塩、米化オートミールは入れません。また、インスタントドライイーストは振りかけるだけで生地には混ぜ込みません。この工程をオートリーズといい、これをすることで粉がしっかりと水分を吸い、伸びの良い生地になります。
オートリーズ中はボウルにフタを被せたり濡れ布巾を被せるなどして生地が乾燥しないように注意しましょう。
3.こねる
30分経ったらイーストがしっかり混ざるまでこねます。続いて塩を投入して更にこねましょう。
充分こねたら米化オートミールを投入します。しっかり混ざるまでこねましょう。
米化オートミールを入れるとまとまった生地がまたべたつくようになりますがそれでOKです。再びまとまるまでこねましょう。
出来上がりの生地はこんな感じ。
生地が出来上がったら温度を測っておきましょう。今回は35℃の水で仕込んで、こね上がりの生地温度が23.0℃でした。だいたいこれくらいの温度ならOK。
4.一次発酵&パンチ
生地が出来上がったら一次発酵を行いますが、間で2回パンチをしていきます。
今回は20分経ったら一回目のパンチ、更に20分経ったら二回目のパンチを行い、その後60分間一次発酵させます(計100分)。
一次発酵は室温でOKですが、冬場はできるだけ温かいところにおきましょう。
20分経った状態ではほとんどガスは溜まっていないので、軽く生地を押さえて正方形に伸ばし、生地が三段重ねになるように左右から折りたたみます。
その後、90°向きを変えて同じ様に三段重ねになるように左右から折りたたみます。
一回目のパンチ終了後20分経ったら先ほどと同じようにパンチをします。
二回目のパンチが終わったら60分間一次発酵を行います。
今回は手ごねで生地を作っていて、更にライ麦粉と米化オートミールを入れているのでグルテンのつながりが弱い生地になっています。そのため少しでもボリュームが出るように2回パンチをいれています。
5.成形
一次発酵が終わったら成形をします。
生地にたまった大きなガスを抜き、パンチと同じように生地を折りたたみ、軽くまるめて表面を張らせます。
その後、ベーキングシートを敷いたボウルに入れます。
これで成形は完了です!
6.二次発酵(冷蔵発酵)
成形が終わったら二次発酵を行います。
今回は冷蔵庫で一晩じっくり二次発酵を行う「オーバーナイト法」という製法で作っています。
この製法なら前日に準備をしておけば翌日ある程度好きな時間にパンを焼くことができ、じっくり発酵させることで香りや旨味の強いパンを作ることができます。
「一晩じっくり」とは具体的には12時間から20時間程度です。結構幅があるので時間の融通が利いて便利ですね。
先ほど成形した生地入りのボウルにラップをかけ、冷蔵庫に入れましょう。お使いの冷蔵庫に野菜室がある場合はそちらに入れます。
7.復温
冷蔵発酵が済んだら、まずは冷えた生地の温度を上げる(復温する)必要があります。
冷たい生地をすぐに焼くと焼き上がるまでの時間が長くかかるため皮(クラスト)が厚くなり、さらにボリュームの小さいパンに焼き上がってしまうので要注意!
冷蔵庫から出して1時間室温に置いておきます。冬場はできるだけ温かいところにおきましょう。
復温後は仕上げをしてすぐに焼成になります。復温中にオーブンを250℃に予熱しておいてくださいね。
ちなみに今回は鉄鍋を使って焼成しているので、フタをした鉄鍋を入れた状態で予熱を開始します。鉄鍋がない場合は裏返しにした天板をオーブンに入れた状態で予熱を開始して下さい。
8.仕上げ
復温が済んだら最後に仕上げを行います。やることは簡単で、表面に粉を振りかけて十字に切りこみ(クープ)を入れます。
切りこみは専用のクープナイフを使うときれいに出来ますが、お安く済ませたい場合は片刃のカミソリでも十分です。100円ショップでも売っていますね。
9.焼成
仕上げが終わったら焼いていきましょう。
先ほども書いた通り今回は鉄鍋を使って焼成します。鉄鍋を使うことで高い温度を保ちながらパンを焼くことができるからです。
熱々に予熱された鉄鍋をオーブンから出して手早くパンをベーキングシートごと鉄鍋に移し、フタをして240℃で30分間焼成します。
その後フタを外し、230℃で5分間焼成すれば焼き上がりです!
鉄鍋を使わない場合はボウルからパンをベーキングシートごと取り出し、予熱の済んだオーブン(裏返した天板入り)に滑らすように入れて焼きます。
その場合はスチームが必要になるのでオーブンにスチーム機能があればそれを使いましょう。無ければ霧吹きを使って水分を補ってから焼きます。
230℃で35分間程度焼成します。鉄鍋を使って焼く場合と比べて焼き色が付きやすいので注意して下さい。
水分の多い生地なので焼き時間が短いとねちょっとした食感になってしまいます。焼き色が早くついて焼き時間が短くなってしまいそうな場合は、温度を落としたりアルミホイルを被せるなどしてしっかりと焼けるようにしましょう。
米化オートミール入りカンパーニュの焼き上がり!
というわけで米化オートミール入りカンパーニュの焼き上がりです!
今回は全粒粉とライ麦粉を入れているので断面は灰色っぽくなっています。ちょっと平べったい焼き上がりで、あまり高さは出ていませんね。
これはライ麦粉と米化オートミールの影響が大きいと思います。どちらもグルテンができない食材なので、入れれば入れるほど生地が膨らみづらくなっていきます。
その代わり、食感は超しっとりでもちもち!時々オートミールの粒々食感も楽しめます。
断面もツヤがあってみずみずしいです。そこそこ上手くできたんじゃないでしょうか!
スライスしてトーストし、バターやマーガリンを塗って食べると最高に美味しいです。表面はカリカリですが中は超しっとりもちもちでたまりません!サンドイッチもいいですね。
個人的におすすめのパンです。ぜひチャレンジしてみて下さいね!!
補足&注意点
ディレクト法で作りたい場合
今回はオーバーナイト法で作りましたが、一晩寝かせない普通の製法(=ディレクト法)で作りたい場合は、二次発酵を温かいところで約60分間とってください。できれば30℃に近い環境を作れるとベストです。
もしかしたらディレクト法の方が生地を冷やさない分、ボリュームはしっかり出るかもしれません。
ただし香りや旨味、しっとりもちもち食感は少し薄れるかもしれません。
全体を通して乾燥対策をしっかりと
パン生地は非常に乾燥しやすく、カバーをかけないで放っておくとすぐに表面がカサカサになってしまいます。
これはパン生地にとっては良くない状態なので、生地は裸のまま長時間置かないように気を付けましょう。発酵させる際には必ずビニールを被せるなどの乾燥対策をしましょうね!
温度・時間は目安程度に
パン生地の発酵状態は周りの温度に大きく左右されるため、環境が変わると発酵速度も変わってしまいます。
夏なのか冬なのか、こね上がった生地の温度は高いのか低いのか、こういった要素によってパンの発酵は変わってくるので、一概に「○○分発酵させれば間違いなく美味しく焼けます」ということが言えません。
そういった事から、今回お伝えした発酵時間はあくまでも目安程度に捉えて下さい。最終的にはパン生地を自分の目で見て判断しましょう。
オーブンの焼成温度は同じ温度に設定しても機種によって違いが出てきます。こちらも目安程度に捉えて頂ければと思います。
焼成時間を基準にしてそれよりも早く焦げてしまうようなら温度を落とし、反対に全然焼き色が付かないようなら温度を上げて調整して下さいね。