サワードゥブレッド(パン・オ・ルヴァン)【ストレート法・サワー種使用】

どうも、パン職人のけんです。今回はサワードゥブレッドを焼きました。

サワードゥブレッドはサワー種を使って焼く大型のパンですが、SNSを見ていると外国の方がおしゃれなサワードゥブレッドの写真や動画をたくさん投稿していて、外国でのこのパンの人気が伺えます。

日本ではそれほど浸透していない気がしますが、どうでしょうか。パン屋さんで見かける機会はあまり無いように思います(ハード系の専門店とかならあるのかな?)。

サワードゥブレッドは成形後に冷蔵庫で一晩熟成させ、翌日焼成する製法(オーバーナイト法)が一般的なようですが、今回はストレート法で作りました。

ストレート法で作るメリットは、

  • ボリュームが出やすい
  • 酸味が出にくい
  • 比較的難易度が低い
  • 梨肌が出ない

この4点です。

ストレート法では途中で生地を冷やす工程が無いため、しっかりとボリュームが出ます。また、低温での熟成時間が無いため、酸味が強くなる心配がありません。

オーバーナイト法で作る場合は冷蔵庫から出したらすぐに焼くため、一晩経って冷蔵庫を開けた時に丁度良い発酵状態になっている必要があります。

そのため、冷蔵庫に入れる前の発酵状態をしっかりと見極めなければならず、管理が比較的難しいですが、ストレート法であればそれを気にする必要がありません。

オーバーナイト法で焼いたサワードゥブレッドをよく見ると、表面に細かなブツブツがあることに気が付くはずです。

オーバーナイト法で焼いたサワードゥブレッド。よく見ると表面に細かなブツブツ(梨肌)がある。

このブツブツは業界用語で梨肌と呼ばれる現象です。生地を長時間冷蔵すると発生しやすく、日本では「あまりよくないもの」とされる傾向があります(海外ではおいしく焼けた証とされているんだとか…)。

ストレート法であれば梨肌はまず出ません。

ここまでストレート法でサワードゥブレッドを焼くメリットを紹介しましたが、だからといって「ストレート法が優れている」というわけではなく、それぞれ一長一短です。

サワードゥブレッドをはじめとするハード系のパンでは、ふわっとボリュームのあるパンよりも、噛み応えのある詰まったパンの方が好まれることもあります。

また、酸味に関しては完全に好みなので、「サワードゥブレッドは酸味がないと!」という方もいるでしょう。

難易度に関して言えば個人的にはオーバーナイト法の方が高いと思います。梨肌は、気にするかどうかなので気にならなければそれでいいでしょう。

こういった要素を踏まえて、どういったパンを作りたいかによってどちらの製法にするかを選べばいいと思います。

参考までに、オーバーナイト法で作るサワードゥブレッドの作り方はこちら。
サワードゥブレッド【オーバーナイト法・成形後冷蔵・小麦サワー種使用】

「パン作りを始める前に」をお読みでない場合は、先にそちらをご一読ください。このブログのレシピを使ってパン作りに挑戦する前に、知っておいてほしい注意事項を説明しています。

分からない用語があれば、「専門用語集」をご覧ください。

サワードゥブレッドの使用材料

パン1個分のレシピ。生地量合計約510g(170.3%)。

サワー種

  • 中力粉:120g(40%)
  • 水:120g(40%)
  • 初種(小麦粉、TA200):18g(6%)

※中力粉は準強力粉(フランスパン用粉)に置き換え可。

本生地

  • サワー種全量
  • 強力粉:171g(57%)
  • 水:75g(25%)
  • 塩:6g(2%)
  • モルトシロップ:0.9(0.3%)

※カッコ内はベーカーズパーセント。

※サワー種仕込みで準強力粉(フランスパン用粉)を使用した場合は、本生地の強力粉も準強力粉(フランスパン用粉)に置き換える。

サワードゥブレッドの作業工程

  1. サワー種を作る(7時間)
  2. 材料を用意しオートリーズする(40分)
  3. 生地を作る(10分)
  4. 一次発酵を行う(30分)
  5. 生地を折りたたむ(5分)
  6. 一次発酵の続きを行う(30分)
  7. 生地を折りたたむ(5分)
  8. 一次発酵の続きを行う(30分)
  9. 成形する(5分)
  10. 二次発酵を行う(150分)
  11. カットを入れる(5分)
  12. 焼成する(45分)

合計作業時間:約12時間55分

サワードゥブレッドの作り方

  1. サワー種の材料を全て計量し、ボウルに入れて混ぜ合わせます。20~22℃で7時間熟成させます。


  2. 材料を全て計量し、塩以外(サワー種全量を含む)をボウルに入れ、粉っぽさがなくなるまで混ぜます。
  3. 30分間オートリーズを行います。
  4. 塩を加え、滑らかになるまで生地をこねます。目標こね上げ温度27℃。
  5. 28℃で90分間一次発酵を行います。30分ごとに計2回生地を折りたたみます。



  6. 生地を成形します。生地に溜まったガスを手のひらを使って優しく抜き、丸く整えます。
  7. ボウルに薄手の布を敷き、粉を振りかけます。閉じ目を上にしてボウルに入れます。
  8. 28℃で約150分間二次発酵を行います。
  9. 生地の上にベーキングシートを乗せ、ひっくり返して生地を取り出します。
  10. クープナイフ(もしくはナイフやカミソリ)でカットします。
  11. 板に乗せてベーキングシートごと滑らせるようにオーブン(250℃に予熱済み)に入れ、すぐにスチームを入れます。5分焼いたら230℃に落として約40分焼きます。