家庭でのお菓子作りをする際にベーキングパウダーを使った経験はあるでしょうか?私もたまに家でパウンドケーキなどを焼いたりすることがありますが、ベーキングパウダーを使います。
ベーキングパウダーは手軽に使える膨張剤の一つで「生地を膨らませる」という機能だけを見るとイーストと同じように思えるかもしれません。
ではパン作りにベーキングパウダーを使うことってあるんでしょうか?今回はパン作りにおけるベーキングパウダーの役割を説明していきますね。
パン作りではベーキングパウダーを使う機会は少ない
パン作りにおいてはパン生地を膨らませる役割はイースト菌などの発酵種が担いますよね。なのでパン作りではベーキングパウダーを配合するレシピはそれほど多くはありません。
シンプルに「パンを膨らませる」という働きだけを見ればベーキングパウダーでも良いように思えるかもしれませんが、実は発酵種とベーキングパウダーの働きは全然違うんです。
ベーキングパウダーの働きは「生地を膨らませる」ということのみであるのに対し、イースト菌を代表とする発酵種はその名の通り「発酵」します。発酵することで炭酸ガスが発生し、それによってパン生地は膨らむのですが発酵によって発生するのは炭酸ガスだけではないんです。
発酵種が作り出す炭酸ガス以外の物の働きによってパンは美味しくなるんですね。私はベーキングパウダーだけで膨らませたパンを食べたことはありませんが、おそらくそんなパンを作ったとしたら味も風味も劣る形だけのパンになっているはずです。
更に言えばパンの定義は「穀物の粉と水、塩、発酵種を練り合わせ、発酵種が出す炭酸ガスによって膨らませて焼いたもの」なので、発酵種が入っていないものは厳密に言えばパンではないということになります。
ベーキングパウダーにはない発酵種の働き
それでは「発酵種が作り出す炭酸ガス以外の物」とは何かというと、アルコールと酸です。
詳しい説明をすると化学の授業になってしまうので詳細は省きますが、発酵種が作り出すアルコールによってパンに独特の風味や味、香りがつき、酸によってパン生地が引き締まるので生地がだれずにプリっとした状態を保つことができます。過発酵のパンが臭かったり、酸っぱくなるのはこれが原因なんですね。
ベーキングパウダーだけでパン作りをすることがないのはこういった理由があるからなんです。
ベーキングパウダーを配合するレシピもあります
多くはありませんがパンのレシピの中にはベーキングパウダーを配合するレシピも存在します。といっても完全に発酵種の代用としてではなく、生地を膨らませる補助剤としての役割になります。
例えばピザパンの様な長時間発酵させる必要は無いけれど多少のふわふわ感を出したい場合などにベーキングパウダーを配合する場合があります。とはいえ普段パンを作る場合にはベーキングパウダーが登場する機会は少ないでしょう。