どうも、パン職人Kenです。
今回は小麦粉の中でも中力粉にフォーカスして説明をしていきますね。
小麦粉の中でも料理やお菓子で使うことの多い薄力粉や、パン作りで使うことの多い強力粉はメジャーですが、中力粉は存在すら知らない人もいると思います。
私自身もパン職人になるまでは中力粉の存在を知らなかったですしね。
中力粉は実は日本人に馴染みの深いある食品を作る際によく使われる小麦粉なんですが、パン作りにもそれなりに使うことの多い小麦粉です。
中力粉の特徴や、どんなパンに向いているのかを知っておくとパン作りの幅が広がると思うので、ぜひ知っておいていただきたいと思います。
目次
中力粉は「日本人に馴染みの深いある食品」を作るのによく使われる
先ほど「日本人に馴染みの深いある食品を作る際によく使われる」とお伝えしましたが、その食品とは「うどん」です。
うどん作りには中力粉が適していると言われています。
薄力粉では柔らかくなってしまいうどんのコシが出ませんし、強力粉では生地が強すぎて硬くなってしまうためです。
このことからも分かる通り、中力粉というのは薄力粉と強力粉の中間の性質を持った小麦粉なんですね。
もう少し詳しく説明すると、小麦粉中のたんぱく質量によって薄力粉、中力粉、強力粉の分類がされます。
薄力粉はたんぱく質が少なく、強力粉はたんぱく質が多く含まれています。
このたんぱく質含量がうどんの質に影響を与えるわけですが、もちろんパンを作る際にも大きく影響してきます。
中力粉で作ったパンは強力粉で作ったパンほど膨らまない
小麦粉に含まれるたんぱく質が多いほど、パンが膨らむのに必要なグルテンも多く作ることが出来ます。
パン作りに強力粉を使うことが多いのはそのためですね。
日本人はふわふわでしっとりした食感のパンを好みますが、そういったパンを作るためには強力粉を使ってしっかりと捏ねて生地を作り、ふわふわに膨らむようにグルテンをたくさん作る必要があります。
では中力粉を使って同じようにパン作りをするとどうなるかというと、強力粉で作ったパンよりもボリュームが出ず、食感も少し詰まったように感じになります。
これは中力粉のたんぱく質含量が強力粉よりも少ないからです。
ここまでの説明だけだと「中力粉はパン作りでは強力粉よりも劣る小麦粉」という印象を持ってしまうかもしれませんが、そんなことは全くありません。
パンによっては「強力粉よりもグルテンができず膨らまない」という中力粉の特徴が活きてくることもあるんですよ。
ハード系のパンを作る場合は中力粉を使う
中力粉の特徴が活きるのはハード系のパンを作る場合です。
ハード系のパンというのはフランスパンやカンパーニュといったような硬めのパンのことです。
パン職人はフランスパンやカンパーニュを作る時は中力粉を使います。
美味しいフランスパンのポイントは皮の部分(クラストと言います)の香ばしい香りとパリパリッとした食感、そして中身の部分(クラムと言います)のしっとり感と口どけです。
こういったハード系ならではの美味しさを引き出すためには中力粉が合っているんですね。
ではなぜハード系のパンを作るのに強力粉は適さないのでしょうか。
それはハード系のパンを作るにはたんぱく質含量が多すぎてしまうからです。
強力粉をしっかりと捏ねるとグルテンがたくさんできるということは先ほど説明しましたね。
ふわふわしっとりのパンを作る場合はこれでOKなんです。なぜならそういったパンは大抵砂糖と油脂を配合するからです。
砂糖と油脂を配合することで生地はソフトになり、伸びやすくなります。これによりたくさん作られたグルテンが十分に伸びてパンが膨らんでくれます。
ですがハード系のパンは通常砂糖も油脂も入れません。
強力粉を使ってしっかりと捏ね、かつ砂糖も油脂も入れないとなると生地が強くなりすぎてしまいます。
そんな生地でハード系のパンを作るとカッチカチで口どけの悪いパンになってしまうんです。
ですからフランスパンなどのハード系のパンを作る場合は中力粉を使うようにしましょう。
おすすめの中力粉
中力粉を買う際にどれが良いのか迷ったら、とりあえずこれを選べばOKと言えるメジャーな2つの中力粉を紹介します。
1.日清製粉「リスドォル」
日清製粉のリスドォルという小麦粉です。
ザ・王道な中力粉で、リスドォルを使って伝統的な製法で作ったバゲットは本当に美味しいです!
リスドォルは厳密には「準強力粉」という分類の小麦粉ですが、特徴的には中力粉と同じように扱って問題ありません。
2.日本製粉「Fナポレオン」
日本製粉のFナポレオンという小麦粉です。
個人的にはこのFナポレオンと先ほどのリスドォルは双璧をなす小麦粉だと思っています。
こちらもリスドォル同様厳密には準強力粉の分類にはなりますが、中力粉と同じように扱ってOKです。
ぜひ中力粉を使ったパン作りにもチャレンジしてみて下さいね!