パン作り初心者に知って欲しい基本の「時間」のお話

どうも、パン職人Kenです。

今回はパン作り初心者に知って欲しい基本の「時間」のお話をしていきます。

前回、前々回の記事ではパン作り初心者に知って欲しい「温度」と「計量」の基本的なお話をしてきました。

パン作り初心者に知って欲しい基本の「温度」のお話

2020年1月27日

これらの記事でも触れていますが、美味しいパンを作るために欠かせないポイントとして、

  1. 温度
  2. 計量
  3. 時間
  4. 設備

この4つがあります。

今回はこの中からパン作りにおける「時間」の基本的な事を説明していきますね。

 

パン作りにおける「時間」とは

パン作りにおける「時間」とは、主に発酵時間と焼成時間のことを言います。

発酵時間の基本

パン作りの工程を一度見てみましょう。

パン作りは基本的にはこの工程に沿って進んでいきますが、管理するべき発酵時間とは

  1. 一次発酵
  2. 二次発酵
  3. 最終発酵

この3つの工程における発酵時間です。

一次発酵

一次発酵はパン生地を仕込み終わった後にパン生地を寝かせておく工程です。別名フロアタイムとも言います。

一次発酵はパン生地を熟成させ、パンに発酵の風味や香り、旨みをつける大切な工程ですが、発酵時間が適切でないと味が落ちたり、上手く膨らまなかったりします。

まず発酵時間が短いとどうなるかというと、パン生地の熟成が足りないので風味や香りが足りず、味が落ちてしまいます。

また、イーストの働きも足りないのでその後の工程でパン生地が膨らむのに時間がかかるようになってしまうんですね。

反対に発酵時間が長いと熟成し過ぎによりアルコール臭や酸味がするようになってしまいます。

また、発酵し過ぎた生地は酸の力でブリブリになり、生地の扱いが難しくなってしまいます。

ですからレシピで定められた通りの時間で一次発酵を行う必要があります。

二次発酵

一次発酵の後にパン生地の分割・まるめを行い、締まった生地が緩むのを待つ時間のことを二次発酵と言います。別名ベンチタイムとも言います。

二次発酵はその後の工程である成形をきれいに行うための重要な工程です。

二次発酵が短いとまるめた生地が緩んでいないので、生地を成形しようとしても上手く生地が伸びてくれません。

その状態の生地を無理やり成形しようとすると形が悪くなったり、生地を傷めてしまったり、生地のガスがしっかり抜けないことで焼き上がったパンの表面に気泡が出てきてしまったりします。

反対に二次発酵が長すぎると生地が緩み過ぎてボリュームが出にくくなったり、成形する際に生地が緩いことでガスが抜け過ぎてしまい発酵に長く時間がかかったりします。

きれいなパンを作るためには二次発酵の時間もきっちりと守る必要があります。

最終発酵

最終発酵は成形したパンを膨らませるための工程であり、その後の焼成と並んでパンの最終的な出来に大きく関わる工程です。

最終発酵が短ければパンは小さく焼き上がってしまいます。

小さく焼き上がったパンは中身が詰まっているので食感が硬く、何かを包んだり巻いたりするような成形をしたパンだと生地が強いことで弾けてしまいます。

最終発酵が長いとパンは大きく焼き上がります。

大きく焼き上がるというと何となくお得に感じてしまうかもしれませんが実はそうではありません。

生地の量が同じで大きく焼き上がるということは、その分中身がスカスカになっているということです。

こういったパンは焼き上がり直後はふわっふわで美味しく食べられますが、乾燥が速くすぐにカチカチになってしまいます。

また発酵が進み過ぎることで「発酵臭」と呼ばれるアルコール臭や酸臭が強くなり、味も落ちてしまいます。

せっかくここまで上手にパンを作ってきても、最終発酵を失敗すると今までの苦労が水の泡になってしまいますから、慎重に時間管理をする必要があるんですね。

焼成時間の基本

ここまでは発酵に関する時間でしたが、焼成時間は字の通り焼成する時間、つまり何分焼くかという話です。

実は美味しいパンを作るためには何分焼くかというのは重要で、たとえ見た目が美味しそうに焼けていても適温でレシピ通りの時間で焼いたパンと低温で長時間焼いたパン、高温で短時間焼いたパンは味が違います。

低温で長時間焼くと長時間焼いたことで必要以上に水分が飛び過ぎてしまい、硬いパンになってしまいますし、高温で短時間焼くと水分が飛びきる前に焼き色がついてしまうので最悪の場合生焼けになってしまいます。

パンのレシピを見ると焼成温度と焼成時間が書いてあるはずです。

この焼成条件は温度を基準に時間を決めているのではなく、実は時間を基準に温度が決まっているんです。

「この配合でこの大きさのパンだから何分で焼き上げたい。だから温度は何度にしよう。」という考え方で決めているんですね。

ですから焼成時間は美味しいパンを作るためにとても重要なポイントなんです。

ただし、パンを焼くオーブンによって火力の強さが違いますから、たとえレシピ通りの温度に設定したとしてもレシピ通りの時間で焼き上がるとは限りません。

プロの使うオーブンと家庭用オーブンでは火力は段違いに違いますし、家庭用オーブン同士であってもメーカーや機種によって微妙に異なります。オーブンのクセ(火力が均一でなく、場所によって強いところと弱いところがある)もありますからね。

ですからレシピ通りの時間で焼けるように何度か試行錯誤して適温を見つけてやる必要があります。ここは要注意ですね。

 

レシピ通りの時間で上手くいかないことも…

美味しいパンを作るためには発酵時間も焼成時間もレシピをきっちり守ることが基本です。

基本なんですが、実は発酵時間に関してはレシピ通りにやっても上手くいかない可能性があります。これこそがパン作りを難しくしている原因の一つでもあります。

ではなぜレシピ通りの時間でやっても上手くいかないということが起こるかというと、発酵の要である発酵種(イースト)が生き物だからなんです。

どういう事かというと、発酵種が生き物である以上周りの環境の影響を受けます。具体的には温度の影響です。

これはこちらの記事でも解説していますが、発酵種は室温が高かったり生地の温度が高かったりすると発酵スピードが上がり、反対に低いと発酵スピードが下がります。

パン作り初心者に知って欲しい基本の「温度」のお話

2020年1月27日

なので冬場と夏場ではレシピ通りの時間では発酵状態に差が出ますし、生地の捏ね上げ温度が高い時と低い時では同じように差が出ます。

つまりレシピ通りの時間発酵させたのに発酵不足になったり発酵過多になる可能性があるんです。

ではどうすればいいかというと、発酵状態を見ながら時間を調整する必要が出てきます。発酵不足なら発酵時間を追加したり、発酵が速そうなら過多になる前に発酵時間を短くするといった調整です。

これこそがパン作りを難しくしている原因です。正直プロのパン職人であってもこの発酵状態の見極めは相当気を遣うんですよね。

 

最後に

今回はパン作り初心者に知って欲しい基本の「時間」のお話をしてきました。

まとめると、

  1. 美味しいパンを作るためには発酵時間と焼成時間をきっちりと管理する必要がある
  2. 管理すべき発酵時間は一次発酵、二次発酵、最終発酵の3工程
  3. 発酵は足りなくても過ぎても良くない
  4. 焼成時間はきっちり守る、レシピ通りの時間で焼けるような温度設定を行う
  5. レシピの発酵時間は基準であり、その他の条件によってはその通りに行かないこともある

この5つのポイントがあります。

発酵を上手く見極めるためには時間を基準にしつつも経験を積んで目を養っていく必要があります。

とはいっても多少発酵がズレたくらいで食べられなくなるものでもありませんし、正解を探っていく楽しみもありますから、あまり難しく考え過ぎずに気軽にパン作りにチャレンジしてみて欲しいなと思います。