パンをきれいに焼き上げるための一手間|パン作りの「仕上げ」とは

どうも、パン職人Ken(@pansyokunin_ken)です。

今回はパン作りにおける「仕上げ」という作業について説明していきますね。

仕上げは二次発酵が終わった後、パンをオーブンに入れる前に行う作業になります。

二次発酵が終わればパンの発酵具合は丁度良くなり、焼ける状態ではあるんですが、パンをきれいに焼き上げるためにはもう一手間必要になります。
→【参考記事】二次発酵の基本と注意点とは【パン生地をふわふわに膨らませよう】

この一手間で焼き上がったパンの見栄えが大きく変わるので、ぜひ覚えておきましょう。

3種類の仕上げ

パン作りにおける「仕上げ」は大きく分けて3種類あります。それは、

  • 塗り卵
  • クープ(カット)
  • トッピング

この3種類です。

塗り卵

塗り卵(ぬりたま)とは、二次発酵が終わったパンの表面に溶き卵を塗る作業です。

卵をパンの表面に塗って焼くことで、ツヤのあるきれいな焼き色が付くようになります。

あんぱんやクリームパン、バターロールやクロワッサンなど、表面にきれいな焼き色とツヤを出したいパンの場合に塗り卵をします。

塗り卵用の卵は基本的には全卵、もしくは全卵に少量の水を加えたものを使います。洋菓子では卵黄のみを使うことがありますが、粘度が高いためパン作りには適していません。

こだわりのある方の中には卵黄に水を加えて塗り卵をする方もいる様ですが、特別なこだわりが無ければ全卵(もしくは全卵に少量の水を加えたもの)を使うのが良いと思います。

卵の代用としてサラダ油を塗ることもありますが、サラダ油の場合は焼き上がった後に塗ります。

卵を使いたくない場合や一度に大量のパンに塗り卵をしないといけない場合は、サラダ油を使うこともありますね。

サラダ油を塗るとパンの表面にツヤを出すことができますが、塗り卵をしたものと比べて焼き色が付きにくく、表面がカサッとした触感になり、少しの油感を感じます。

クープ(カット)

クープは二次発酵が終わったパンの表面にカットを入れる作業です。

主にフランスパンを作る際に行う作業ですね。

パンの表面にカットを入れることで模様がつくだけでなく、焼いた際に出る水蒸気の逃げ道を作ることで火通りが良くなり、ボリュームもでます。

シンプルに十字にカットを入れることもあれば、斜めに数本入れたり、美しい模様になるようにカットを入れることもあります。

カットを入れるだけと言われると簡単な作業のように思えますが、カットを入れる角度や深さが焼き上がりに大きく影響するため、なかなか難易度の高い作業なんですよ!

クープとは違いますが、具材を中に包み込むタイプの総菜パンなどで、具材を見せるためにハサミでカットを入れる場合もあります。

トッピング

トッピングはチーズやマヨネーズ等の具材をパン生地に乗せる作業です。これはそのまんまですね。

トッピングは焼く前にする場合と焼いた後にする場合があります。パン生地と一緒に焼き込みたい具材は焼く前にトッピングすることになりますね。

総菜系の具材は火を通したいものが多いので、総菜パンは焼く前にトッピングすることが多いと思います。スイーツ系のパンは後乗せが多いですね(デニッシュ等)。

仕上げの注意点

仕上げ作業を行う際にはいくつか注意点があるので覚えておきましょう。

塗り卵の注意点

塗り卵をする際の注意点は、

  • 卵はよく溶き、必要ならば水を加えて漉しておく。
  • 優しく丁寧に塗る。
  • シリコン製の刷毛は使わない。

この3点です。

塗り卵に使う卵は全卵で、粘度が高い場合は水を少量加えることは先ほど説明しましたが、一度漉しておくとよりきれいに塗ることができます。ただしこれは細かくこだわらないのならやらなくても構いません。

卵を塗る際には慎重に優しく塗る必要があります。二次発酵が終わったパンはとても繊細で、衝撃を与えてしまうとガスが抜けて膨らまなくなってしまいます。刷毛で突っつかないように優しく塗りましょう。

使う刷毛はシリコン製の物はおすすめしません。シリコン製の物は毛にあたる部分が太く、硬いためどうしても生地にダメージを与えてしまいます。

上手くやれば大丈夫なのかもしれませんが、個人的には細くやわらかい毛の刷毛をおすすめします。

クープ(カット)の注意点

クープ(カット)を入れる際の注意点は、

  • 専用のクープナイフを使う。
  • 少しだけ生地を乾かす。
  • クープの深さ、角度、大きさに気を遣う。

この3点です。

フランスパン用のクープナイフは専用のものがあるので、そちらを使うときれいにクープを入れることができます。

クープナイフは刃が少し反っていて、薄皮を1枚剥ぐように薄いカットを入れることができます。これにより、焼き上がったパンのカット面がきれいに開きます。

べたついた生地にはきれいにクープを入れることができません。切ろうとしてもクープナイフに生地がくっついて、生地を引っ張ってしまいスパッと切ることができません。

その場合は少しだけパン生地を乾かすときれいにクープを入れることができます。とはいえ、パン生地にとって乾燥は大敵!乾かし過ぎには注意が必要です。

特にフランスパンにとって、クープの開き具合は「顔」のようなもので、きれいにカット面が開いたフランスパンはとても美しいです。

きれいにクープを入れるためにはカットの深さや角度、大きさに気を遣って入れてやる必要があります。

ただし、これは一朝一夕で身につくものではありません。何度も練習して身に付けていきましょう。

トッピングの注意点

トッピングは具材を乗せるだけなので特別な注意点はありませんが、強いて言うならば冷蔵庫から出したての冷たい具材はトッピングしないようにしましょう。

少量なら問題ありませんが、冷たい具材をたくさんトッピングすると生地が冷えたり、火通りが悪くなることがあるので前もって冷蔵庫から出しておいた方が無難です。

まとめ

今回はパン作りにおける「仕上げ」について説明してきましたがいかがだったでしょうか。

まとめると、

  • 仕上げには大きく分けて①塗り卵 ②クープ(カット) ③トッピングの3種類がある。
  • 塗り卵用の卵は全卵を使い、粘度が高い場合は少量の水を加える。
  • 二次発酵後のパン生地はとてもデリケートなので、刷毛で突っつかないように優しく丁寧に塗る(刷毛は細くてやわらかい毛の物がおすすめ)。
  • フランスパンのクープは専用のクープナイフを使うときれいに切れる。
  • クープを入れる時に生地がべたつく場合は少しだけ乾かすときれいに切れる。
  • フランスパンのクープはパン作りの中で難易度が高い部類に入る作業なので、習得するには練習が必要。

こんなところですね。

仕上げが終われば次はいよいよ焼成です。オーブンに入れる前の最後の作業。油断せずにきれいに仕上げていきましょう!

【参考記事】一つ前の工程(二次発酵):「二次発酵の基本と注意点とは【パン生地をふわふわに膨らませよう
【参考記事】パン作り工程の全体像:「上手なパン作りのための第一歩|パン作りの工程を学ぼう!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です