どうも、パン職人Kenです。
パン作りの相談に乗っていると、よく聞かれることの一つに
「結局のところ美味しいパンを作るために一番大切なことって何ですか?」
という質問があります。
パンって様々な工程を経て焼き上がりますよね。
工程一つ一つに色んな意味があって、どの工程がおろそかになっても美味しいパンは焼き上がりません。
ですから「一番大切なこと」と言われると、正直なところ「全部大切です」となってしまうんですよね。
ですがあえて言うならば一つ重要なことがあります。
パン作りをする上では絶対に注意するべき大切なこと。これを上手くコントロールできなければ美味しいパンは絶対に作れない。
そんなポイントがあります。
これは本当に大切なことなので、ぜひ覚えておいて下さいね。
美味しいパンが作れるかどうかはこれで決まる
あなたはパン作りをする上であえて一つ「一番大切なこと」を挙げるとするなら何だと思いますか?
材料の質?仕込みの出来具合?成形の丁寧さ?オーブンの性能?
確かにどれも美味しいパンを作る上で大切なことは間違いありません。
ですが「一番大切なこと」と言われるとちょっと弱いんです。
では美味しいパンを作るために一番大切なことは何かというと、発酵のコントロールです。
発酵が上手にコントロール出来ているパンは美味しくなりますし、発酵のコントロールが上手くいっていないと美味しくなりません。
パンは発酵の力で美味しくなる食べ物です。発酵食品なんですよね。
お酒も、味噌も、醤油も、チーズも、ヨーグルトも全て発酵食品ですが、発酵が品質の肝になっているのは何となくイメージできると思います。
同じようにパンも発酵が品質(美味しさ)の肝になっています。
どんなに高級な食材を使っても、どんなに熟練の技術でグルテンの繋がり具合を見極めても、どんなに丁寧に成形しても、どんなに高性能のオーブンを使っても発酵がダメなら美味しいパンは作ることが出来ません。
これは本当に重要なことなので覚えておいて下さい。
発酵をコントロールして美味しいパンを作るための3つのポイント
上手に発酵のコントロールをするために重要なことは「温度・時間・計量」の3つです。
ちなみにこの3つに「設備」を加えた4つのポイントでパンの味は決まると言われています。
言い換えるとパンの味を決める4つのポイントのうち、3つが発酵に関わることを考えると発酵コントロールの重要さが分かってもらえるかなと思います。
温度
発酵コントロールにおける温度とは具体的には生地の捏ね上げ温度、一次発酵の温度、最終発酵の温度のことです。
生地の捏ね上げ温度は食パン生地や菓子パン生地、コッペパン生地で26~27℃、フランスパンで24℃が目安になります。
ですがこれは季節や室温に応じて調整していく必要があります。
例えば夏場で室温が30℃を超えて、発酵が早くなりすぎる様なら1℃下げてみるとか、冬場で部屋がすごく寒ければ1℃上げてみるとか、そういったコントロールが必要なんですね。
もし今まで温度計で生地温度を計っていないようであれば、温度計を用意して温度をしっかりと計ることをおすすめします。
一次発酵はほぼ全ての生地で28~30℃が目安になります。
家庭でのパン作りではプロが使うような発酵室は無いと思うので、夏場は涼しいところに置いたり、冬場は温かいところに置いたりと工夫が必要になります。
家庭でのパン作りが難しいなと感じるのは一次発酵のコントロールだと私は思いますが、ここを上手く乗り切れれば美味しいパンにグッと近づけますね。
一次発酵の温度管理が上手くできない場合は、レジャー用の温冷庫を買ってしまうというのも一つの方法です。
安い買い物ではないのですが、頻繁にパン作りをされる場合はあると重宝しますよ!
最終発酵は食パン生地や菓子パン生地、コッペパン生地で38℃、フランスパンで28℃が目安になります。
最終発酵は一次発酵ほど温度管理がシビアではないので、多少温度がずれても時間で調整することが出来ます。
時間
発酵を上手にコントロールするためには温度と共に時間をコントロールする必要があります。
具体的には一次発酵の時間と最終発酵の時間ですね。
もしパン生地の捏ね上げ温度、一次発酵の温度、最終発酵の温度がきっちりレシピ通りだとしたら時間もレシピ通りにきっちりと計っていれば上手に発酵するはずです。
ですが、残念ながらここまで上手くはいかないんですね。
プロのパン職人であっても、生地の捏ね上げ温度は毎回ピッタリ同じにすることはできません。室温や粉温が毎日少しずつ違うからです。
生地の捏ね上げ温度が変わってくると発酵のコントロールは時間で行うことになります。
捏ね上げ温度が1℃変わると一次発酵の時間は10分変わると言われています。
例えば27℃で捏ね上げたい食パン生地が26℃で捏ね上がってしまったら一次発酵を10分伸ばす。28℃で捏ね上がってしまったら10分短くするということです。
ただ1℃で10分というのは目安なので、最終発酵の時間は微調整が必要です。
最終的には自分でパンの膨らみ具合を見極めないといけないんですね。
計量
発酵のコントロールにおける計量とは発酵種の量という意味です。
季節によって室温が変わると、たとえ生地の捏ね上げ温度が一定でもその後の工程で生地温度が下がったり上がったりすることがあります。
例えば夏場で室温が30℃の日と、冬場で室温が15℃の日では、生地の捏ね上げ温度が同じ27℃でも夏場は生地温度は上がっていきますし、冬場は生地温度が下がっていきます。
生地温度が変わると発酵のスピードが変わるので、まずは温度や時間で調整するのですが、そこで調整しきれない場合には発酵種の量を調整します。
夏場はレシピよりもイーストの量を0.1%減らしたり、冬場はレシピよりもイーストの量を0.1%増やしたりといった具合ですね。
まとめ
最後のまとめです。
今回のタイトルであるパン屋さんが教える美味しいパンを作るために「一番大切なこと」とは発酵のコントロールでしたね。
パンは発酵食品であり、発酵の良し悪しがそのままパンの良し悪しとなって現れます。
それくらいパンにとって発酵とは重要なものなんですね。
発酵をコントロールして美味しいパンを作るためには3つのポイントがありました。それは
- 温度
- 時間
- 計量
です。
これらのコントロールはなかなか難しく、ここが難しいからこそパン作りは難しいんですが、パン作りの奥深さを感じるポイントでもあります。
色々と説明してきましたが、まず最初はレシピ通りにパン作りをしてみて下さい。
そこで上手くいかなかったら色々と調整してく方がやりやすいと思います。
難しいポイントではあるんですが、あまり難しく考え過ぎずにパン作りにチャレンジしてみて下さい!
繰り返しパンを作り続けていると、ちょっとずつレベルが上がって美味しいパンを作れるようになっていきますよ!