美味しいパン作りのために身に付けておきたい「成形の基本」とは

どうも、パン職人Ken(@pansyokunin_ken)です。

今回はパンの見た目や出来に大きく関わる工程である「成形」について、基本的な4種類の成形方法と注意点を説明していきます。

成形はパン作りの花形的な工程であると同時に、パンの種類によっては他の工程よりも比較的難易度が高い工程でもあります。

4種類の成形方法をポイントと共に紹介していきますね!

4種類の「成形の基本」

まずは成形の基本となる4種類の成形方法とはどんなものなのか紹介していきますね。

それは、

  1. まるめる
  2. 伸ばす
  3. 巻く
  4. 包む(包餡)

この4種類です。

まるめる

まるめる成形というのは、その名の通りパン生地をまん丸にまるめる成形です。テーブルロールや食パン、メロンパンなどを作る際に使う成形方法です。

シンプルなテーブルロールでまん丸な形をしているものがありますよね。あのような形のパンの成形は生地をまるめるだけなんです。

食パンはいくつか成形のやり方がありますが、まるめるだけというのが一番簡単でシンプルな成形方法ですね。

伸ばす

「伸ばす」には2種類の意味があります。一つ目は生地を「棒状に伸ばす」という意味で、二つ目は生地を「薄く伸ばす」という意味です。

フランスパンやベーグル、ウインナーに生地を巻き付けるタイプのウインナーパンなどを成形する際には生地を棒状に伸ばします。

あんぱんやクリームパン、ジャムパンやカレーパンなど、フィリング(具材)を中に包むタイプのパンを成形する際には生地を薄く伸ばします。

巻く

パンの中には、パン生地を巻く、もしくは巻きつける成形をするものもあります。

パン生地そのものをクルクルッと巻くタイプの成形方法で作るパンには、バターロールやコッペパン、クロワッサンなどがあります。

ウインナーパンの様に具材に生地を巻き付けるタイプの成形をするパンもあります。ウインナーパンは「伸ばす」のところでも出てきましたが、「伸ばす+巻く」の合わせ技ですね。

ちょっと珍しいところとしては、ちくわにパン生地を巻きつけたちくわパンなんてものもあります。一時流行ったのでご存知の方もいるのではないでしょうか?

包む(包餡)

中にフィリング(具材)が入っているパンを作る場合には、フィリングを生地で包む成形をします

フィリングを生地で包むためには生地を薄く伸ばす必要があるので、「包む」成形と「伸ばす」成形はセットみたいなものですね(生地や包むフィリングによっては、伸ばさなくても包める場合もあります)。

ちなみに、包む成形のことを「包餡(ほうあん)」と呼びます。

ここまでに紹介した4種類の成形ができれば、大抵のパンは成形することができます。そういった事から、今回はこの4種類を「成形の基本」として紹介しているというわけなんです。

「成形の基本」のポイント・注意点

ここからは4種類の成形に関して、上手にできるようになるためのポイントや注意点を紹介していきます。

「まるめる成形」のポイント・注意点

まるめる成形をする際に気を付けておきたいポイント・注意点は、

  • きれいに表面を張らせる
  • 生地が傷まないようにする
  • 裏側の閉じ目はしっかり閉じる

この3点です。

まるめる成形で作るパンはテーブルロールなどシンプルなパンが多く、まるめの上手さが直接焼き上がったパンのきれいさに直結します。そのため、きれいに表面を張らせておく必要があります。

特に生地の中の大きなガスがしっかり抜けきっていないと、焼き上がったパンの表面に気泡(火ぶくれと言います)が出てきてしまい、見た目が悪くなったり膨らんだ部分だけ焦げてしまうため注意が必要です。

ガスをしっかり抜くことを気にするあまり、まるめ過ぎると生地に力がかかり過ぎて表面の生地が裂けたり、側面の生地が傷んでしまうのでまるめ過ぎにも注意が必要です。

大きなガスは抜きつつ、まるめ過ぎない。何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」ですね!

まるめ終わったら生地の裏側の閉じ目(生地の端が集まっている部分)をつまんでしっかり閉じておきましょう。閉じ目が開いていると発酵中に生地の力が抜けて張りが無くなり、ダレてしまいます。

「伸ばす成形」のポイント・注意点

伸ばす成形には2種類ある(棒状に伸ばす・薄く伸ばす)と説明しましたが、ポイント・注意点は同じで、

  • 大きなガスが残らないようにする
  • 作るパンに合わせた太さ(厚さ)に伸ばす
  • 生地が傷まないようにする

この3点です。

まずは伸ばし終わった時に大きなガスが残らないように注意しましょう。これは先ほどのまるめと同じで、大きなガスが残っていると焼き上がったパンの表面に気泡ができてしまうからです。

生地を伸ばす際には、作るパンに合わせた伸ばしが必要になります。棒状に伸ばす場合はどれくらいの長さまで伸ばすのか、どれくらいの太さに伸ばすのか、全体的に均一な太さにするのか、それとも端は細くするのかなど、作るパンによって伸ばし方は様々です。

薄く伸ばす場合も同じで、作るパンによってどれくらいの大きさに伸ばすのか、どれくらいの厚さに伸ばすのかなどの違いが出てきます。

ただし、薄く伸ばした後にフィリングを包む場合は、均一な厚さになるように注意して伸ばしましょう。そうでないと、包み辛かったり、薄くなったところからフィリングが漏れ出てきてしまうことがあります。

生地を伸ばす際には生地が傷まないように注意しましょう。必要な長さ、大きさにならなくて何度も何度も生地を伸ばしているとその部分の生地が傷んだり、切れたりしてしまいます。

生地がすんなり伸びてくれない場合は、無理に伸ばさずに一度置いておきましょう。そうすることで生地が休まり、緩むことで伸びやすくなります。

「巻く成形」のポイント・注意点

巻く成形をする際に気を付けておきたいポイント・注意点は、

  • 生地が左右によらないように巻く
  • 巻き終わり(閉じ目)が真下に来るように並べる

この2点です。

バターロールやクロワッサンを成形する際には、生地が左右によらないようにきれいに巻きましょう。簡単なポイントですが、きっちり左右のバランスが取れていると、焼き上がりもキレイになります。

巻き終わったら巻き終わり(閉じ目)がきっちり真下にくるように天板に並べましょう。巻き終わりが横に来てしまうとそこから生地がはがれ、焼き上がった時に裂け目が見えてしまいます。

ウインナーパンなどの具材に生地を巻き付けるタイプの成形では、巻き始めと巻き終わりが同じ面に来るように成形し、その面が下になるように置くと焼き上がりがカッコいいですよ!

「包む成形(包餡)」のポイント・注意点

包む成形をする際に気を付けておきたいポイント・注意点は、

  • フィリング(具材)が生地の端に付かないようにする
  • フィリングを押し込まない
  • フィリングが柔らかい場合は軽く冷やす

この3点です。

フィリングは生地の端についてしまうと閉じしろの部分が無くなってしまい、生地と生地がくっつかなくなってしまいます。特に柔らかいフィリングを包む際には注意ですね。

フィリングを包む際に、グイグイとフィリングを押し込んではいけません。そうすると押し込まれた生地は部分的に薄くなってしまい、焼き上がった時にその部分だけ焼き色が上手くつかなかったり、フィリングが透けて見えたり漏れ出てきてしまいます。

生地の伸ばしが足りなくて上手く包めない場合は、無理に押し込むのではなくてもう一度生地を伸ばしましょう。

柔らかいフィリング(カスタードクリームやカレーなど)の場合は、生地をちゃんと伸ばしても包みづらいことがあります。その場合はフィリングを軽く冷やし、フィリングの方を固めるという工夫も必要です。

ただし、冷たいフィリングを包むと生地の発酵が遅くなるので、冷やし過ぎには注意が必要です。

まとめ

今回は「成形の基本」ということで、4種類の成形方法を説明してきましたがいかがだったでしょうか。

まとめると、

  • 基本の成形には「まるめる」「伸ばす(2種類)」「巻く」「包む(包餡)」の4種類がある。
  • この4種類の成形ができるようになれば、大抵のパンの成形はできる。
  • それぞれの成形にポイント・注意点がある。
  • 共通するポイント・注意点は、「大きなガスが残らないようにする」ことと「生地を傷めないこと」。
  • 巻く成形をする場合は、生地の左右のバランスや、巻き終わりの位置に注意する。
  • 包む成形(包餡)をする場合は、フィリングが生地の端につかないようにし、包む際に生地を押し込まないように注意する。
  • 柔らかいフィリングを包む場合は、少し冷やした方が固まって包みやすい。でも冷やし過ぎには注意する。

こんなところですね。

成形はパンの見た目に一番大きく影響しますし、何より難しいです。特にフランスパンの成形と、柔らかいフィリングの包餡はパン作りの中でも特に難しい部類に入るので、何度も練習しないとなかなか上手くいきません。

ですがそれもパン作りの楽しみの一つ!ぜひ楽しみながらチャレンジしてみて下さいね!

【参考記事】一つ前の工程(分割・まるめ):「成形前に生地を休める工程|きれいなパン作りのための「ベンチタイム」とは

【参考記事】次の工程(二次発酵):「二次発酵の基本と注意点とは【パン生地をふわふわに膨らませよう】
【参考記事】パン作り工程の全体像:「上手なパン作りのための第一歩|パン作りの工程を学ぼう!

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