どうも、パン職人Kenです。
今回はパン作りによく使う材料の一つである「スキムミルク」についてのお話をしていきます。
実はパン生地にスキムミルクを入れるのは「あること」を抑えるため
スキムミルクをパン生地に配合すると何となくいい風味がしたり優しい味になるようなイメージってありませんか?
私自身昔はそう思っていたんですが、実はパン生地にスキムミルクを入れる一番の目的は味や風味のためではないんです。
日本においてスキムミルクとは脱脂粉乳を意味します。脱脂粉乳はその名の通り生乳や牛乳から乳脂肪分と水分を取り除いたものですが、味や風味のために入れるのであれば乳脂肪分は残っていた方が良いので牛乳をそのまま使った方が良いわけです。
では一体何のためにパン生地にスキムミルクを入れるのか。それはパン生地が発酵によって締まり過ぎるのを抑えるためなんです。
パン生地はスキムミルクを入れないと加速度的にブリブリになっていく
パン生地は捏ね上がった直後は力が強く、締まっています。そこから一次発酵をとることで生地がゆるみ、適度な滑らかさを持ちます。そこから更に生地を発酵させるとどうなるかと言うと、再び生地に力がつきブリブリに締まっていくんですね。
もしあなたにパン生地を発酵させすぎてしまった経験があればイメージできると思います。実はこれってイースト菌が作り出した酸の仕業なんですね。
イースト菌は発酵するとガスを作り出しパン生地を膨らませますが、ガスと同時にアルコールや酸も作り出しています。
この酸がパン生地の中で増えすぎるとグルテンに働きかけ、グルテン同士のつながりをより強固にしてしまうんです。そうなると生地はブリブリになってしまって全然伸びなくなり、うまくパン作りができなくなってしまうんですね。
そういった状態になるのを抑えるために入れるのがスキムミルクなんです。スキムミルクを入れることでパン生地の中の酸が急激に増えるのを抑えることができます。
特に食パン、コッペパン、菓子パンなど砂糖の配合量が多く、発酵時間も長いパンは急激にパン生地が締まることがあるのでスキムミルクを入れる場合が多いです。
スキムミルクをパン生地に配合する場合の注意点
スキムミルクをパン生地に配合する場合の注意点は主に2つあります。それは
- スキムミルクの配合量は小麦粉の2~3%程度
- ダマにならないように注意する
この2つです。
パン生地にスキムミルクを入れる場合の量は小麦粉の2~3%程度が多いです。例えば小麦粉100グラムでパンを作るとしたら100グラムの3%なので3グラム入れるということですね。配合量に関してはレシピの通りに入れてもらえればいいと思います。
スキムミルクの元になっている脱脂粉乳は水と触れるとダマになる性質を持っています。プロのパン職人が使うのはスキムミルクではなくて脱脂粉乳なので、ダマにならないように色々な工夫をしています。
例えば脱脂粉乳は砂糖とよく混ぜておくことでダマになるのを抑えることができますし、更に混ぜたものを小麦粉とよく混ぜておけばダマになるのをより抑えることができます。
スキムミルクは脱脂粉乳と比べて溶けやすいように顆粒状になっているため脱脂粉乳ほどダマに気を遣う必要はありませんが、開封してから使い切るまでの期間が長いと水分を吸ってダマになることもあるので注意が必要です。
もしあなたが普段からスキムミルクを料理等に使わないのであれば、このような小分けタイプの方がダマ対策になっていいと思います。