成形前に生地を休める工程|きれいなパン作りのための「ベンチタイム」とは

どうも、パン職人Ken(@pansyokunin_ken)です。

今回は成形前に生地を休める工程である「ベンチタイム」について説明します。

ベンチタイムは一つ前の工程で生地を分割し、まるめた後の工程になります。
【関連記事】「きれいな成形の前準備|生地のグラムをそろえる「分割」と「まるめ」とは

ベンチタイムという工程は何か作業をするというわけではなく、置いておくだけです。

ただ、いくつか注意点があるのでベンチタイムとは何なのかということも併せて説明していきますね!

ベンチタイムとは

ベンチタイムとは先ほども触れた通り、成形前に生地を休める工程です。

一つ前の工程で生地を分割し、まるめると生地のガスが抜けて締まった状態になります。このように生地に力をかけることで生地が締まることを「加工硬化」といいます。

パンを成形する際には生地をめん棒で伸ばしたり手で伸ばしたりすることになりますが、加工硬化した生地は伸びず、無理やり伸ばそうとしても生地が傷むだけで上手く加工することが出来ません。

ではどうしたらいいかというと、生地が緩んでくるまで待てばいいわけですね。このように時間を置くことで生地が緩むことを「構造緩和」といいます。

その「構造緩和を待つ時間」がベンチタイムになります。加工硬化の程度にもよりますが、ベンチタイムは30℃に保った環境で大体30分程度かかります。

ベンチタイムの注意点

ベンチタイムははっきりいって「置いておくだけ」なんですが、注意点があるので説明しますね。

ベンチタイムの注意点は4点あって、

  1. 乾燥対策をしっかりと行う
  2. 生地が冷えないようする
  3. 時間を計る
  4. 生地状態を確認する

この4点になります。

1.乾燥対策をしっかりと行う

パン生地は非常に乾燥しやすく、何も対策をせずに置いておくとすぐにカサカサになってしまいます。

カサカサになってしまった部分は上手く発酵しなかったり、焼き上がった時に細かなブツブツが表面に出てきてしまうので乾燥には注意しましょう。

具体的な乾燥対策としては、濡れ布巾を被せておいたり、霧吹きで水分を補ってあげると良いでしょう。

2.生地が冷えないようにする

夏場は特に気にする必要はありませんが、それ以外の季節は生地が冷えないように注意する必要があります。

生地の発酵は生地温度に大きく影響を受けるため、生地の温度が下がってしまうとその後の発酵に影響が出る場合があります。

食パンなどの大型のパンは1個1個の生地量が大きく、冷えた生地の温度を上げるのに時間がかかるため、生地冷えの影響を大きく受けがちです。

コッペパンやバターロールなどの小型のパンは、たとえ生地が冷えてもその後の工程ですぐ生地温度を上げることが出来るので生地が冷えてしまっても対応することはできますが、出来るだけ冷やさない方が良いでしょう。

もし発酵機能の付いているオーブンレンジをお使いであれば、30℃に設定したオーブンレンジに入れておくのが簡単です。

そうでない場合は、熱湯を入れたコップと一緒にビニール袋で覆ったり、湯煎をするなどの工夫をして30℃に近い温度を作ってあげましょう。

3.時間を計る

ベンチタイムの時間はレシピに書かれていることが多いですが、大体どのパンでも30分前後になっていることが多いと思うので、30分をしっかり計っておきましょう。

ベンチタイムは一次発酵や二次発酵ほど時間に関してシビアではありませんが、目安として時間を計っておくと分かりやすいと思います。

4.生地状態を確認する

先ほど「時間を計る」ということをお伝えしましたが、ベンチタイムの終わりはしっかりと生地状態を確認して見極める必要があります。

レシピに書かれているベンチタイムの時間はあくまでも目安ということですね。

ベンチタイムは生地の構造緩和を待つ時間だということを説明しましたが、レシピの時間通りにベンチタイムをおいたとしても、構造緩和が不十分なことがあります。

例えばまるめが強くて生地が締まり過ぎている場合や、30℃を大きく下回る環境でベンチタイムをとった場合は構造緩和に余計に時間がかかります。

ベンチタイム終了の見極めは見た目だけでは分かりづらいので、「レシピ通りの時間ベンチタイムをおいて生地を加工してみて、生地の伸びが悪い場合はもう少し置いておく」といったように実際に生地を触ってみて見極めると良いと思います。

まとめ

今回は成形前に生地を休める工程ということで、きれいなパン作りのための「ベンチタイム」について説明してきましたがいかがだったでしょうか。

まとめると、

  • ベンチタイムは成形前に生地を休める工程
  • ベンチタイムをおくことで加工硬化した生地の構造緩和が起こり、生地を加工することが出来るようになる
  • ベンチタイム時には乾燥に注意する
  • ベンチタイム中に生地が冷えるとその後の発酵に影響が出るため、出来るだけ30℃前後の環境を用意する
  • ベンチタイムの時間はレシピを確認し、ベンチタイム中はしっかりと時間を計っておく。
  • ベンチタイム終了の見極めは実際に生地を触ってみて判断し、生地の伸びが悪ければ追加でベンチタイムをとる

このようになります。

ベンチタイムは実際の作業としては「置いておくだけ」の簡単な作業ですが、気を付けるべきポイントがいくつかあるので、ぜひ今回の内容を参考にしてみて下さいね!

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