パンは砂糖なしでも甘くなる!? 甘さを引き出す「オーバーナイト法」で パンを作る際のポイントと注意点とは

どうも、パン職人Kenです。

朝食パン派の方は毎朝パンを食べると思うのですが、パンは加工食品なので素材そのものを食べるお米よりも糖質は高くなりがちです。

特に朝食で食べる機会の多い食パンやバターロールなどの日本人好みの「ふわふわしっとりなパン」は砂糖を多く配合しているので、知らず知らずのうちに糖分の摂取量が多くなってしまうんですよね。

最近は健康に対する意識の高い方も多いので、パンの糖分を気にする方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

そういった事から、自分で砂糖なしのパンを作ってみたい方もいると思います。

実はパンは砂糖なしでも甘くなるんですよ!これから説明する「オーバーナイト法」でパンを作る際のポイントと注意点を知っていただき、砂糖なしでも美味しいパン作りにチャレンジしてみてください!

 

パンだからこそできる「砂糖なしでも甘い」パン

実は砂糖を配合しないパンというのはたくさんあります。

主にフランスパンなどのハード系のパンは砂糖が入っていないことが多いです。

パン好きで色んなベーカリーのフランスパンを食べたことのある方は「フランスパンがほんのりと甘い」と感じた経験はありませんか?

砂糖のような直接的な甘さではなく、ほんのりと感じる小麦粉の甘さです。

菓子パンの様に大量に砂糖を入れるパンと比べれば甘くないのは事実なのですが、小麦粉の甘さを引き立てるようなパンの作り方をしてあげれば砂糖なしでも甘いパンというのは作れるんです。

これはパンだからこそできることなんですね。

どういう意味かというと、パンが発酵食品だからこそ出せる甘味なんです。

パンはイースト菌や天然酵母などの発酵種の力で生地を膨らませて焼くわけですが、発酵種が発酵する際に小麦粉を分解し、甘さの元となる成分を作り出してくれるんですね。

なので小麦粉の甘さを引き立てるようなパンの作り方=発酵種にたくさん甘さの元となる成分を作り出してくれるような作り方をすれば、砂糖なしでもほのかに甘さを感じられるパンは作れます。

この方法をこれから説明していきますね。

 

砂糖なしでも甘さを感じるパンのポイントは「熟成」にあり

砂糖なしでもほんのりと甘さを感じるパンを作るための最大のポイントは「熟成」です。

熟成とは発酵種が発酵する際に小麦粉を分解し、甘さの元となる成分を作り出してくれることを指します。

ちなみに熟成と発酵は違います。

発酵は発酵種の力で炭酸ガスが作られ、パンが膨らむことを言いますからね。

ちょっとややこしいですが、発酵はしていても熟成が不十分ということもあります。

例えばパンの製法の一つに速成法というものがあります。

これは捏ね上げ温度や発酵温度を高くすることで一次発酵の時間を短縮し、短時間でパンを焼き上げる製法です。

この製法だと発酵はしているのでパンの形にはなりますが、熟成は不十分なので小麦粉由来の甘みや香り、風味などが控えめになってしまいます。

ですから長時間熟成をとれるような製法でパン作りをしてあげることで、砂糖なしでもほんのり甘く、熟成の旨味や香り、風味を感じられるパンを作ることが出来ます。

 

オーバーナイト法を使いこなせば砂糖なしでも甘味が感じられるパンを作れる

それでは砂糖なしでもほんのり甘いパンを作るための具体的な方法を説明しますね。

熟成がポイントというお話をしましたが、熟成をしっかりと取るためには長時間熟成させてあげることがポイントです。

簡単に言えば、生地を一晩寝かせてあげればいいわけですね。

この「生地を一晩寝かせてあげる製法」のことをオーバーナイト法と言います。

オーバーナイト法でパンを作ることで一晩生地が熟成し続け、翌日パンを作るころには生地の中にしっかりと甘み成分や旨み成分が閉じ込められた状態になっています。

 

オーバーナイト法でパンを作る時のポイント

オーバーナイト法でパン作りをする時には、通常の方法(ストレート法)でパンを作る時とは違ったポイントがいくつかあるのでそれを説明していきますね。

オーバーナイト法でパン作りをする時のポイントは、

  1. 配合
  2. 捏ね上げの生地状態
  3. 冷蔵温度
  4. 乾燥対策
  5. 復温

この5つです。

 

配合

オーバーナイト法では生地を捏ね上げた後に少しだけ一次発酵を取り、その後冷蔵庫に入れて一晩寝かせます。

ここがストレート法との大きな違いであり、この違いがあるからこそストレート法と同じレシピでオーバーナイト法をやろうとすると上手くいかないこともあります。

ですからオーバーナイト法でパン作りをするのであればそれに適したレシピでパン作りをする必要があります。

ではストレート法とオーバーナイト法でレシピのどこが違ってくるかというと、発酵種の量と生地改良剤の有無です。

捏ね上がったパン生地はたとえ冷蔵庫に入れたとしてもすぐに発酵が止まるわけではありません。

パンは冷蔵庫に入れると発酵しない?上手な冷蔵庫の活用法とは

2019年5月6日

パン生地を冷蔵庫で一晩寝かせている間もパン生地は一晩中緩やかに発酵し続けていますから、発酵種の量を少し減らしてあげないと寝かせている間に過発酵になってしまう可能性があります。

例えばフランスパンの場合、ストレート法ならインスタントドライイーストを0.4%配合しているところをオーバーナイト法で作る場合は0.3%にします。

この様に発酵種の量を0.1~0.2%程度減らすことが多いです。

その他の配合や熟成の環境、発酵条件によっても変わってきますが、オーバーナイト法で作る時は発酵種の量を少し減らすということを知っておいて下さいね。

また、パン生地を冷蔵庫で一晩寝かすというのは発酵種にしてみれば過酷な状況なんです。

ですから冷蔵状態でも上手く熟成が進むように、生地改良剤を配合すると失敗が少ないです。

生地改良剤という言葉にあまり良いイメージが無いかもしれませんが、こちらのBBJは非常にメジャーな生地改良剤で健康への影響もありませんのでおすすめです。私も頻繁に使っていますよ。


BBJは小麦粉100グラムあたり0.3%程度配合します。

0.1グラム単位で量れるスケールが必要になりますが、それを差し引いてもおすすめできます。

 

捏ね上げの生地状態

普通ストレート法でパンを作る場合、パン生地はしっかりとグルテン膜が見えるくらいまで捏ねますよね。

ですがオーバーナイト法でパンを作る場合、捏ね具合は少し控えめでOKなんです。

なぜかというと、生地を一晩寝かせている間に自然とグルテンが繋がってくるからなんですね。

生地を冷蔵庫で一晩寝かせている間も緩やかに発酵が進むということを先ほど説明しましたが、発酵することで炭酸ガスが発生し、この炭酸ガスが生地を引き伸ばすことで生地を捏ねているのと同じような状態になるんです。

ですからオーバーナイト法でパンを作る場合の捏ね具合は、ストレート法で作る時よりも控えめでOKです。

 

冷蔵温度

オーバーナイト法でのパン作りは捏ね上げ→一次発酵→冷蔵という流れになります。

この時の冷蔵温度は5℃前後であればOKです。つまり家にある冷蔵庫でOKということですね。

間違っても冷凍庫には入れないように!生地が凍ってしまいます。

 

乾燥対策

生地を一晩寝かせている間に注意しないといけないのは乾燥です。

生地を裸のままで冷蔵庫に入れるとあっという間にカッピカピになってしまいます。

ですから十分な乾燥対策をした上で冷蔵庫に入れる必要があるんですね。

おすすめは生地の入っているバットごとビニール袋に入れる方法です。

ラップでも良いのですが、気を付けないと冷蔵中に生地が膨らみ、ラップを押しのけてしまう可能性があります。

ラップからはみ出た部分はカッピカピでもう使えないので、バットごとビニール袋に入れてしまった方がそういった失敗がなくていいと思います。

 

復温

復温とは冷えたパン生地の温度を戻すことを言うのですが、この復温は非常に重要です。

冷蔵庫で一晩寝かせた生地は7~8℃まで冷えていますから、事前に冷蔵庫から出しておき、10~15℃まで温度を上げておく必要があります。

これをしないで冷えたままパンを作ると発酵が鈍くなったり、発酵に時間が長くかかったり、焼き上がったパンが硬くなったりします。

地味なんですが非常に重要な工程なので、必ず復温してからパン作りをして下さい。

 

まとめ

今回は砂糖なしでも甘味が感じられるパン作りということで、オーバーナイト法を使ったパン作りについて説明してきました。

オーバーナイト法でパン作りをすることでしっかりと生地を熟成させることが出来ます。

熟成によってパン生地の中に甘み成分や旨み成分、風味や香りが閉じ込められて砂糖なしでもほんのりと小麦粉の甘味を感じられるパンを作ることが出来るんですね。

おさらいですが、オーバーナイト法でパン作りをする場合は

生地を仕込む→一次発酵(ストレート法で作る場合よりも短い)→冷蔵(一晩)→復温→分割・まるめ→二次発酵→成形→最終発酵→焼成

という流れになります。

もっと具体的な工程はパンごとに違うのですが、大まかな流れとしてはこんな感じですね。

ぜひオーバーナイト法にチャレンジし、砂糖なしでも甘いパンの美味しさを味わってみて下さい!

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