パン生地を冷凍してもっと気軽にパン作りを!正しいパン生地の冷凍方法と解凍方法とは

どうも、パン職人Kenです。

家庭でのパン作りを楽しむ上で気になることの一つに「時間の確保」があると思います。

通常の方法(ストレート法)でパンを作る場合、生地の仕込みから始まって焼成が終わるまで途中でストップすることが出来ません。

ですから3~4時間まとまった時間が取れないとなかなかパン作りをするのが難しくなってしまいます。

でも実際はそこまでまとまった時間は取れない方も多いのではないでしょうか。

主婦の方であればお子さんのお世話やお迎えなどでゆったりできる時間がなかなか取れないということもあるでしょう。

そんな時に、こんなことを考えたことってあると思うんです。

「工程を途中でストップできたらいいのに」

「ストップさせたところから再開できたらいいのに」

って。

実はできるんです。

工程を途中でストップさせて、別の日に途中から再開させることが出来るんです。

それは何かというと、「生地玉冷凍法」と呼ばれる製法です。

他にもパン作りの工程を途中でストップさせる方法はありますが、今回は生地玉冷凍法とその注意点を説明していきますね!

 

パン生地を冷凍させる「生地玉冷凍法」とはこんな製法です

生地玉冷凍法とはその名の通り生地を玉にした状態で冷凍させるパン作りの製法です。

実は焼きたてを売りにしているベーカリーのほとんどがこの生地玉冷凍法でパン作りをしているはずです。

ベーカリー側からしてみると、次々に焼きたてパンを提供していきたいのにその度にパン生地を仕込んでいたのでは手間がかかり過ぎますし、お店の状況を見てタイムリーに対応することが出来ません。

生地玉の状態でパン作りの工程をストップさせておいて、パンの売れ行きを見ながら随時追加することで焼きたてパンを絶え間なく提供することが出来るんですね。

ここで一度パン作りの全工程を見てみましょう。

生地玉冷凍法とは「④分割・まるめ」が終了した時点で生地を冷凍庫に入れて冷やし固めてしまうことで発酵をストップさせています。

パン生地はまるめが終了すると玉の状態になりますよね。その後にパン生地を冷凍させるので生地玉冷凍法という名前なんです。

 

パンを生地玉冷凍法で作る際の注意点

生地玉冷凍法で生地をストックしておけば、仕込み~分割・まるめの工程をすっ飛ばしてパン作りができるので、短時間でパン作りを楽しむことが出来ます。

ただし、この生地玉冷凍法は注意点をしっかりと守ってやらないと美味しいパンを作ることが出来ません。

実際にやってみる前に、注意点をしっかりと学んでから実践してみて下さい。

 

生地玉冷凍法に適したパンと適さないパンがある

まず最初に知っておいて欲しい注意点は、生地玉冷凍法に適したパンと適さないパンがあるということです。

残念ながらすべてのパンで生地玉冷凍法が使える訳ではありません。

生地玉冷凍法に適したパンとは配合がリッチ(砂糖や油脂の配合量が多い)で、生地玉の重量が~45グラムくらいまでのパンです。

具体的にはコッペパン生地や菓子パン生地などですね。

コッペパン生地と菓子パン生地があればかなりの応用が効くので、生地玉冷凍法が活用できる範囲は広いといえると思います。

例えばコッペパン生地があればウインナーロールなどの総菜パンは一通り作れますし、菓子パン生地があればテーブルロールなどの食事パンやあんぱん、クリームパンなどの菓子パンまで色々と作ることが出来ます。

反対に生地玉冷凍法に適さないパンとは配合がリーン(砂糖や油脂の配合量が少ないもしくは入らない)なものや、パン生地の量が多いパンです。

フランスパンなどのリーンな配合のパンは残念ながら冷凍することが出来ません。

リーンな配合のパン生地を冷凍することで発酵が鈍くなったり、上手く生地が伸びなくなったり、焼き上がった表面に細かなブツブツ(梨肌と言います)が出る等の冷凍障害と呼ばれるものが発生してしまいます。

またパン生地の量が多い食パンなども生地玉冷凍法には適しません。

生地量が多いパン生地を冷凍すると冷凍するにも解凍するにも生地全体の温度が一定になりづらいため、安定した生地状態でパン生地を扱うのが難しくなります。

 

パン生地の温度や一次発酵の時間を調整する必要がある

生地玉冷凍法でパンを作る場合は、パン生地の捏ね上げ温度や一次発酵の時間を調整する必要があります。

具体的にはストレート法で作る時よりも捏ね上げ温度を低くし、一次発酵を短くする必要があります。

なぜそうする必要があるのかというと、パン生地が芯まで完全に冷凍されるまでに少しずつ発酵が進んでいくからです。

例えばコッペパンをストレート法で作る場合に生地を26℃で捏ね上げ、一次発酵を1時間取っていたとします。

もし同じコッペパンを生地玉冷凍法で作る場合は生地を24℃で捏ね上げ、一次発酵を30分取ってから分割し、まるめて冷凍します。

これはあくまでも目安ですが、生地は冷凍庫に入っても一晩かけてゆっくり発酵するためそれを見越した調整が必要になることを知っておきましょう。

 

パン生地はできるだけ短時間で冷凍できるように工夫する

生地玉冷凍法ではまるめた生地を冷凍庫に入れるわけですが、できるだけ短時間で芯まで凍ってくれた方が品質は良くなります。

パン生地は完全に冷凍されてしまえば水分がパン生地に閉じ込められるので乾燥しないのですが、冷蔵庫の温度帯(5~10℃)ではすぐに乾燥してしまいます。

ですからできるだけ短時間で生地が冷えて冷凍されるような工夫をする必要があります。

例えば生地玉はバットに等間隔で離して並べて冷えやすくするとか、冷凍庫の中を整理しておくとか、生地が凍るまではラップ等で覆わずに裸で入れておき、凍ってからラップをしたりビニール袋に入れる等の工夫をすることで良い状態でパン生地を扱うことが出来ます。

 

生地改良剤を配合する

基本的なパン生地のレシピは冷凍することを見越した配合になっていないため、先ほど紹介した生地玉冷凍法に適したパンであっても冷凍障害が出てきてしまう場合があります。

そういった時には生地改良剤を配合すると安心して生地玉冷凍法でパン作りをすることが出来ます。

「生地改良剤」と聞くともしかしたらあまり良いイメージを持たないかもしれません。イーストフードを連想するかもしれませんね。

ですがよく使われる生地改良剤の一つである「BBJ」はイーストや酵素、ビタミンCなどを使った生地改良剤なので健康への心配はありません。

私も頻繁にBBJを使っていますので、生地玉冷凍法のパン作りにチャレンジしてみる際にはぜひこれを配合してみて下さい。かなり生地状態が安定します。

実際には小麦粉100グラムに対してBBJは0.2~0.3グラム配合します。

めっちゃ微量なので0.1グラム単位で計量できるスケールが必要になってしまいますが、おすすめです。

 

冷凍した生地玉は4日程度で使い切る

生地玉冷凍法は非常に便利な製法ですが、先ほど紹介した生地改良剤を配合したとしても冷凍保存しておけるのは4日が限度です。

これは配合次第で期限を延ばすことも出来るのですが、あまり長期にわたって冷凍保存しない方が品質は安定します。

冷凍保存するのは長くても4日、できれば2~3日で使い切る方が美味しいパンが安定して作れると思います。

 

実は冷凍よりも重要な「解凍」

生地玉冷凍法と聞くと「冷凍」の方にフォーカスしがちですが、実は生地玉冷凍法で美味しいパンを作るためには冷凍よりもむしろ解凍の方が重要なんです。

具体的には解凍の仕方というよりは、解凍した時の生地温度が重要です。

冷たい生地はべたつかず、すっと伸びるので扱いやすいのですが、生地が冷たい状態では成形してはいけません。

成形する際には必ず生地温度が10~15℃まで上がったのを温度計で確認してから成形するようにしましょう。

生地が冷たい状態で成形してしまうと生地温度がなかなか上がらず発酵が鈍くなったり、外側は温度が上がっているのに芯はまだ冷えたままという状態になることで中心が詰まったようなパンになっていしまします。

生地玉冷凍法では解凍が重要だということをしっかりと覚えておいて下さいね。

 

最後に

今回はパン作りを途中でストップし、もっと気軽にパン作りを楽しむ方法として生地玉冷凍法について説明してきました。

生地玉冷凍法は適したパンと適さないパンがあったり、生地改良剤が必要だったり、解凍に気を遣う必要があったりと普段以上に注意して生地を扱う必要がありますが、使いこなせればストレート法よりも気兼ねなくパン作りを楽しむことが出来ます。

ストレート法での基本のパン作りができるようになったら、ぜひ生地玉冷凍法にもチャレンジしてみて下さいね!

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