どうも、パン職人Kenです。
今回はパンの仕込み工程でパン生地をこね過ぎるとどうなるのか、味や食感はどう変わるのかについて解説していきます。
目次
パン生地はこね過ぎるとこうなる!典型的な2つのパターン
これからパン生地をこね過ぎるとパンにどんな影響があるのかを説明していくのですが、実はパンによってはそれほど影響が出ないものもありますし、顕著に影響が出てしまうものもあります(もちろんこね過ぎの程度によりますが)。
この違いは「元々しっかりとパン生地をこねてグルテンを十分につなげるパンなのか、それともあまりグルテンをつなげないように作るパンなのか」によります。
1.しっかりこねてグルテンを十分につなげるパン生地をこね過ぎた場合
食パン、コッペパン、菓子パンなどのしっとりふわふわした柔らかいパンはパン生地をしっかりと捏ねて十分にグルテンをつなげる必要があります。
この様なパン生地は多少こね過ぎたくらいでは大きな影響は出てきません。むしろ食パンはこね過ぎなくらいこねてパン生地がトロっとした方がソフトな食パンが出来ると言う人もいるくらいです。
ただ食パンは型に入れて焼くのでトロっとするくらいまで生地をこねても大丈夫なのですが、コッペパンや菓子パンでそれをやってしまうと生地の力が無くなって(パン職人用語で「腰が抜ける」と言います)縦にボリュームが出ずにスライムの様に生地がダレて横に広がった形で焼き上がってしまいます。
また味の面ではこね過ぎたパンは香りが薄くなると言われています。これは香り成分が揮発性であるため、こねる時の温度上昇により香り成分が飛んでしまうためと言われています。
まとめると、
- 元々しっかりこねる必要がある生地は多少こね過ぎても影響は出にくい
- 生地がトロっとするまでこね過ぎてしまうと生地がダレて縦にボリュームが出にくくなる
- 生地をこね過ぎたパンは香りが薄くなる
ということです。
2.あまりグルテンをつなげないパンを生地をこね過ぎた場合
フランスパンなどの長時間生地を熟成させてグルテンをつないでいく製法のパンは仕込みの時点で生地をこね過ぎてしまうと焼き上がりにはっきりと影響が現れます。
フランスパンなどのゆっくり時間をかけてグルテンをつなげていくパンは、食パンや菓子パンなどとは違い仕込みの時点ではグルテンをしっかりとつなげません。
それによってフランスパンの中身(クラム)は気泡によって大小とりどりの穴が空き口どけのいい食感になります。また生地の力が適度に弱いことで耳の部分(クラスト)はパリパリっとした軽い食感になります。
そんなフランスパンをガッツリこね過ぎてしまうとどうなると思いますか?
まずは生地に力がつき過ぎたことで生地がブリブリになり、成形時に上手く伸びません。こういった生地を無理に成形するとガスが抜け過ぎてパンの中身がびっちりと目が詰まってしまい、口どけが悪く水分が無いと食べられないようなもそもそとしたフランスパンになります。
また生地が強いことで耳の部分が急激に伸び、フランスパンのきれいな切込みの模様(クープ)が出なくなってしまいます。
まとめると、
- フランスパンに代表されるグルテンをしっかりとつなげないパンの生地をこね過ぎてしまうと顕著に影響が現れる
- こね過ぎによってパンの中身がびっちりと目が詰まり、口どけの悪いパンになってしまう
- こね過ぎによって見た目も悪くなる
ということです。