どうも、Kenです。
私Kenがお答えするパンのQ&Aコーナー第10回目、今回の質問はこちらです!

「パン作りをする時にバターもしくはマーガリンの代わりにオリーブオイルを使いたいと思っています。そちらの方がヘルシーなパンができるかなと思って…オリーブオイルを使ってパンを作る時の注意点はありますか?」
ヘルシーなパンって興味ある方は多いと思います。自分で作ったパンを家族だったりお友達だったり、自分の大切な人に食べてもらいたいなと思うとヘルシーなパンの方が良いなって思いますよね?
そう思った時にバターやマーガリンの代用としてオリーブオイルを使うのはどうかなっていう考えは自然と出てくると思います。今回はバターやマーガリンの代わりにオリーブオイルを使ってパン作りをするとどうなるのか、そしてオリーブオイルを使ったパンを作る時の注意点を説明していきますね!
まず知っておいてほしい「油脂」について
パン作りでは頻繁に使うことになるバターやマーガリン、そして今回のテーマであるオリーブオイル。こういったいわゆる油をまとめて「油脂」と呼んでいます。どちらも「あぶら」ですが「油」と「脂」の違いってなんだか分かりますか?
「油」は常温で液体の物。サラダ油やオリーブオイルなどのことを指しています。植物性油脂と呼ばれるものですね。それに対して「脂」は常温で固体のものを指します。バターやマーガリン、ショートニングなどがこれにあたります。
実はこの「油」と「脂」はパン生地の出来に大きく関わっています。そして「油」と「脂」は同じ「あぶら」でありながら全く違った働きをするんです。
細かい説明は難しいので省きますが(興味のある方はメールを頂ければ詳しく説明します)、簡単にそれぞれの違いを説明しますね。
脂の働き
バターやマーガリン、ショートニングなどの脂は常温で固体です。固体とはいっても指で押すと簡単に形が変わって粘土みたいですよね。実はこの特徴がパン作りに大きく関係しています。
バターやマーガリン、ショートニングをパン生地に練り込むと完全に均一に混ざり込むわけではなくて、グルテンの膜の隙間に入り込むんですね。これは先ほど説明した特徴があるからなんです。そうするとグルテンが伸びるのを助けて、パンがふわっと膨らむようになります。
食パンや菓子パンの様なふわっと柔らかく焼きあがって欲しいパンにバターやマーガリンを使うのはこういった理由があるからなんです。
油の働き
それではオリーブオイルやサラダ油の様な「油」はパン生地に練り込むとどうなるかと言うと、脂と違って生地に均一に混ざります。均一に混ざり込むことによってしっとりとした食感をパン生地に持たせることが出来ます。
ただし「油」は「脂」と違って生地に均一に混ざってしまうのでグルテンの膜の隙間に入り込むことはしません。それは脂のようにパン生地がふわっと膨らませる働きは無いということなんです。
オリーブオイルを使うとパンはどうなるの?
それではオリーブオイルを使ってパン作りをするとどんなパンが焼きあがるでしょうか。
先ほども説明したようにオリーブオイルにはパンをふわっと膨らませるような性質はありません。なので単純にバターやマーガリンをオリーブオイルに置き換えてパンを作るとあまり膨らまずボリュームの無いパンが焼きあがります。
これはこれでしっとりとした食感で美味しいかもしれませんが、パンの種類によってはあまりおいしく感じないかもしれません。例えばふわっと焼きあがって欲しいパン、食パンや菓子パンを作る時にオリーブオイル100%の配合にしてしまうとちょっと違和感があるかもしれません。もちろん最終的には好みの問題になるのですが…
オリーブオイルを使ってパン作りをする時の注意点
繰り返しになりますが、オリーブオイルにはパンをふわっと膨らませる力はないのでバターやマーガリンを100%オリーブオイルに置き換えると同じ出来上がりのパンを作ることはできません。
元々「油」を使わない配合のパンでどうしてもオリーブオイルを使いたい場合はどうしたらいいかというと、一つは100%オリーブオイルではなくて一部をオリーブオイルに置き換えると良いと思います。もちろんオリーブオイルに置き換えた分だけ膨らみは悪くなりますがその分しっとりとした食感やわずかにオリーブオイルの香りを感じることができるかもしれません。
もう一つの方法は、そういった食感になるということを分かった上でそういったパンだと思って味わいを楽しむのもいいと思います。もちろんふわっとした口どけの良い食感は望めませんが、その代わりにしっとりとした食感だったり、膨らんでいない分もちもちとした噛み応えのある食感を楽しむことができます。オリーブオイルの香りも楽しむことができるでしょう。