どうも、パン職人Kenです。
パンは世界中で食べられ、数多くの種類がある食べ物です。その中から今回は「デニッシュ」について説明していきたいと思います。
サクサクとした食感やバターの香り、トッピングのクリームやフルーツが魅力的なデニッシュですが、もしかしたらあなたがイメージしているデニッシュと本当のデニッシュは違いがあるかもしれません。
今回はデニッシュの種類や製法、色々なデニッシュのバリエーションについて説明していきますね!
目次
デニッシュってどんなパン?
デニッシュは正確には「デニッシュ・ペストリー」という名前で、デンマークの代表的なパンです。
薄く伸ばしたパン生地で、同じく薄く伸ばしたバターを包み込み、伸ばして折りたたむ作業を繰り返すことで生地とバターの美しい層を持つパンになります。
「生地とバターの層を持つパン」と聞くとクロワッサンを思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが、実はクロワッサンも同じ製法で作ります。
ですがクロワッサンはデンマークではなく、フランスのパンなんですね。
元々「生地にバターを折り込む」という製法はオーストリアで生まれたものだと言われています。それがフランスに伝わって作られたパンがクロワッサン、デンマークに伝わって作られたパンがデニッシュ・ペストリーという訳なんです。
なんだか歴史を感じませんか?
ちなみに、生地に折り込むバターの量はクロワッサンよりもデニッシュ・ペストリーの方が多いという特徴もあります。
デニッシュってどうやって作るの?
デニッシュは先ほども少し触れましたが、薄く伸ばしたパン生地で、同じく薄く伸ばしたバターを包み込み、伸ばして折りたたむ作業を繰り返し行うことで作っていきます。
まずは伸ばしたパン生地の上に伸ばしたバターを置き、
バターを生地で包み込みます。
これを再び薄く伸ばします。この段階ではまだバターは層になっていないので断面はこんな感じですね。
薄く伸ばしたら再び生地を折りたたみます(図は90°回転しています)。
この段階でバターは3層になっているので、断面はこんな感じになります。
この工程をもう一度繰り返すと元々3層だった生地が再び3段重ねになるので3層×3段で9層になり、更にもう一度繰り返すと9層×3段で27層になります。
この27層というのが一般的なデニッシュの層の数なんですね。
他によくみられる層の数として16層のデニッシュがあります。これは最初に4層になるように生地を折りたたみ、再び4層になるように折りたたむことで4×4で16層のデニッシュが出来上がります。
16層のデニッシュは1層ごとのバターの厚みが厚くなるため、バターの香りが強く感じられます。また、生地の厚みも厚くなるため焼き上がったデニッシュの層がはっきりと分かるようになり、ザクザクとした食感になります。
27層のデニッシュは1層ごとのバターの厚みが薄くなるため、比較的バターの香りは感じづらくなります。また、生地の厚みも薄くなるためサクサクとした軽い食感になります。
多くのパンの場合、作業工程の途中で「冷やす」ということはしません(オーバーナイト法の場合を除く)。
【参考記事】「発酵時間は一晩中?忙しい人のパン作りを助けてくれる「オーバーナイト法」とは」
しかしデニッシュの場合は生地に折り込んだバターが溶けだしてしまうのを防ぐため、また生地を薄く伸びやすくするため生地を折りたたむごとにしっかりと冷やします。
これは他のパンではあまり見ない製法で、デニッシュやクロワッサンの持つ特徴的な部分の一つですね。
様々なデニッシュのバリエーション
一言で「デニッシュ」と言っても様々なバリエーションがあるのでいくつか紹介していきますね。
1.みんながイメージする「デニッシュ」
おそらく「デニッシュ」と言われて多くの人がイメージするのがこれだと思います。
これは「スパンダワー」という名前のデニッシュ・ペストリーですね。日本だとトッピングされたフルーツなどの名前をつけて「○○デニッシュ」みたいな名前で販売されているのをよく見かけると思います。
正確にはスパンダワーはマジパンペーストとカスタードクリームを使ったデニッシュです。
2.甘い具材をトッピングしないシンプルなデニッシュ「ティビアキス」
この「ティビアキス」は日本ではあまりなじみの無いデニッシュだと思います。
デニッシュ生地にバタークリームを塗って折りたたみ、表面をケシの実でびっちりと覆ったシンプルなデニッシュです。
日本のパン屋さんで見かけることはほとんどありませんが、デンマークではポピュラーなんだそうですよ。
3.デニッシュ版シナモンロール「スモー・スナイル」
「スモー・スナイル」のスモーはバター、スナイルは渦という意味。
デニッシュ生地にシナモンペーストを塗り、渦巻き状に成型してから焼いて、焼き上がったらアイシングをトッピングします。
シナモンロールは日本のパン屋さんでも見かけることはありますが、スモー・スナイルを見かけたことはありませんね。
4.ケーキの様に切り分けて食べるデニッシュ「スモー・ケーア」
「スモー・ケーア」とはバターケーキという意味。
たくさんのスモー・スナイルが集まって一つの大きなデニッシュになったような形をしていますが、スモー・スナイルとは違いシナモンは入りません。
そのかわりカスタードクリームとラムレーズンをデニッシュ生地に乗せて巻き、カットしたものを丸型にひとまとめに入れて焼き上げ、アイシングをトッピングします。
家族で仲良く切り分けて食べるのもいいですね!
5.デンマークには無い日本のデニッシュ「デニッシュ食パン」
「デニッシュ食パン」は本場デンマークには無い日本のデニッシュです。
デニッシュと同じようにバター(もしくはマーガリン)をパン生地に折り込みますが、パン生地そのものがデニッシュとは違いリッチな配合(砂糖や卵、油脂がたくさん入る)の物が多いです。
デニッシュ食パンはバターやマーガリンを折り込んだ生地をカットして編み込み、食パン型に入れて焼き上げます。
普通の食パンとは違った甘さや香り、食感が楽しめるリッチな食パンですね。
番外編:実はデニッシュじゃない?「チョコデニッシュ」
日本ではデニッシュのバリエーションの一つとして人気のあるチョコデニッシュですが、実はこれ、デニッシュ・ペストリーというよりフランスの「パン・オ・ショコラ」に近いんです。
パン・オ・ショコラとはクロワッサン生地に棒状のチョコを包み、焼き上げたフランスのパンです。
なので厳密にはデニッシュではありませんが、日本ではデニッシュの一つとして捉えていますよね。
まとめ
今回はデニッシュの種類や製法、色々なデニッシュのバリエーションについて説明してきましたがいかがでしたでしょうか?
デニッシュは正確には「デニッシュ・ペストリー」という名前で、デンマークの代表的なパンでしたね。
薄く伸ばした生地でバターを包み込み、薄く伸ばして折りたたむことできれいな層を作り、それによって味わえるサクサクとした食感やバターの香りが魅力的なパンです。
製法としてはフランスのパン「クロワッサン」と同じなので日本ではクロワッサンとデニッシュは同じようなものとして捉えている方が多いと思いますが、実は違うパンなんですよ!
本場デンマークのデニッシュ・ペストリーは日本では見かけないようなものもたくさんあります。
それらのデニッシュを日本で味わえる機会はあまりないので残念ですが、もし見かけたらラッキーだと思って本場のデニッシュ・ペストリーを味わってみるのもいいかもしれませんね!
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