どうも、パン職人Kenです。
パン作りにおいて「焼成(焼き)」の工程は非常に重要なものの一つです。
どれだけ気を遣って発酵させても、どれだけ丁寧に成形したとしても、焼き具合を失敗してしまえばそれまでです。
せっかく長い時間をかけてパン作りをしてきたのに、焼成を失敗してしまえば今までの苦労が水の泡なわけで…
裏を返せば焼成はそれほど重要な工程だということですね。
そんな重要な焼成工程ですが、焼成に使うオーブンにコンベクションオーブンというものがあるのをあなたは知っていますか?
私は今となっては慣れ親しんだ設備の一つですが、パン職人の世界に入ってすぐの頃、先輩から「これはコンベクションオーブンね」と言われて名前がなかなか覚えられず苦労した思い出があります(笑)。
コンベクションオーブンと普通のオーブンは全く違った構造になっていて、オーブン庫内の熱の伝わり方やパンへの火の入り方も全く異なります。
今回はコンベクションオーブンについて説明していきますね!
コンベクションオーブンって何?
コンベクションオーブンとは一言で言えば「熱風で焼くオーブン」です。
一般的な家庭用オーブンやプロが使う業務用のデッキオーブンの場合、オーブンの下部(もしくは上下)に熱源があって、そこから庫内全体が温まるような構造になっています。
それに対してコンベクションオーブンは庫内に扇風機のような羽がついていて、熱風を庫内全体に送ることで庫内全体が温まるような構造になっています。
この構造の違いによってパンへの火の入り方が異なってきます。それはどちらが良いということではなく、それぞれに適したパンがあります。
コンベクションオーブンの特徴(長所)
コンベクションオーブンは先ほど説明したように「熱風で焼く」という性質から、普通のオーブンとは異なった特徴(長所)があります。
その特徴を大まかに上げると、
- 焼きムラができにくい
- 水分をしっかり飛ばしたいパンに向いている
この2点があります。
焼きムラができにくい
普通のオーブンは熱源が下部(もしくは上下)についているので、庫内の温度は熱源に近いほど高く、熱源から離れるほど低いです。つまり庫内全体が一定の温度にはならないということですね。
それに対し、コンベクションオーブンは庫内に熱風を対流させて焼くため庫内温度が一定になりやすく、焼きムラができにくいという特徴があります。
水分をしっかり飛ばしたいパンに向いている
普通のデッキオーブンとコンベクションオーブンを同じ温度に設定し、同じパンを同じ数だけ焼いたとするとおそらくデッキオーブンの方が早く焼き上がるはずです。
これはデッキオーブンの方が部分的に火力が強くなるためパンに一気に火が入るからです。
これを逆に捉えると、コンベクションオーブンの方が同じパンでも長時間かけて焼くことができる(焦げにくい)ため、水分をしっかりと飛ばしたいパン、例えばメロンパンやクロワッサンなどにはコンベクションオーブンの方が向いています。
コンベクションオーブンの短所
コンベクションオーブンは優れた点もありますが、短所もあります(もちろんデッキオーブンもですが)。
コンベクションオーブン最大の短所は火力が弱いところだと思います。
これは優れている点の裏返しでもあるのですが、コンベクションオーブンは熱風で焼くという性質上、熱源の熱が直にパンに伝わる構造ではありません。
つまり先ほども書きましたが同じパンを同じ数だけ焼くと、デッキオーブンよりもコンベクションオーブンの方が時間がかかります。
長時間しっかり焼き込んで水分を飛ばしたいパンの場合はそれでいいのですが、短時間で一気に火を入れたいパンには向いていないということなんですね。
例えばコッペパンやバターロールなどの比較的小さなパンは長時間焼き込むとカチカチになってしまいます。
もちろん上手く調整すれば焼けないこともないですが、普通のオーブンの方がきれいに焼き上がると思います。
まとめ
今回はコンベクションオーブンと普通のオーブンとの違いや特徴、長所短所を説明してきました。
コンベクションオーブンとは熱風で焼くオーブンで、熱源からの熱で焼く普通のオーブンとは構造が違います。
熱風の対流で焼くという性質上焼きムラができにくく、水分をしっかりと飛ばすことができる反面、瞬間的な火力が普通のオーブンよりも弱いためパンによってはカチカチに焼き上がってしまうという短所があります。
こういった特徴をしっかりと知ってから焼くパンを選べば非常に心強い相棒になってくれるはずです。
特にパン作りはたまにする程度で、お菓子作りやお料理にも使えるオーブンが欲しいという方にはコンベクションオーブンは合っていると思いますよ!