初種?かえり種?元種?仕上げ種?ややこしいサワー種の名前について

どうも、パン職人のけんです。今回はちょっとややこしいサワー種の名前についてざっくり解説していきます。

サワー種は状態(段階)によって呼び名が変わります。

これ、最初よく分からなくて「なんでこんなややこしいんじゃ~!」ってなりました。

というのも、私はサラリーマンパン職人なので普段はパン工場でパンを作っていますが、そちらではサワー種は全く使いません。

そのため、昔はちゃんとサワー種を扱った経験もなければ、知識もありませんでした。

初種、かえり種、元種、仕上げ種という考え方は、自分でサワー種を使ったパン作りをするようになって初めて知ったことの一つでした。

きっと私と同じくややこしく感じている方もいらっしゃるかもしれないので、ざっくりと説明していきます。

まず知っておきたい「3段階法」

それぞれの種について説明する前に、まずは「3段階法」についてざっくり説明します。

この3段階法とは何ぞやというと、サワー種の起こし方の名前です。

サワー種の起こし方にはいろんな流儀があって、それぞれメリット・デメリットがありますが、3段階法というのは伝統的なサワー種の起こし方です。

元になるサワー種(初種)があって、そこから3回種を継いでサワー種を活性化させるため3段階法と呼ばれます。

具体的な例を挙げると

  1. 元になるサワー種【a】に水と粉を混ぜて6時間熟成・・・【b】
  2. 【b】に水と粉を混ぜて8時間熟成・・・【c】
  3. 【c】に水と粉を混ぜて3時間熟成・・・【d】

こんな流れでサワー種を作ります。

サワー種のそれぞれの段階と名称

さて、先ほど3段階法の具体例を挙げましたが、上記【a】~【d】のそれぞれの段階についている名前が初種・かえり種・元種・仕上げ種です。

初種

初種(アンシュテルグート)は上記の例の【a】に相当するサワー種です。

粉と水を使ってゼロから作ったサワー種か、もしくはゼロから作ったサワー種をリフレッシュして使い続けているサワー種です。

かえり種

かえり種(アンフリッシュザワー)は上記の例の【b】に相当するサワー種です。

初種に粉と水を混ぜ合わせて熟成させることで完成するサワー種で、酵母の数が増えることでより強い発酵力を持つようになります。

元種

元種(グルントザワー)は上記の例の【c】に相当するサワー種です。

かえり種に粉と水を混ぜ合わせて熟成させることで完成するサワー種で、酸味や風味が作り出されていきます。

仕上げ種

仕上げ種(フォルザワー)は上記の例の【d】に相当するサワー種です。

元種に粉と水、場合によっては塩を混ぜ合わせて熟成させることで完成するサワー種で、この時点でパン仕込みに使える完成されたサワー種になります。

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1段階法、2段階法の場合

ここまでは、伝統的な3段階法でサワー種を起こした場合の各段階の名前について説明してきました。

ただ、先ほど「サワー種の起こし方にはいろんな流儀がある」と説明したように、3段階法以外の起こし方があります。

微妙な違いにより、サワー種の起こし方にはいろんな名前が付けられていますが、ざっくり分けると1段階法、2段階法があります。

名前の通り、1回しか種を継がない方法、2回種を継ぐ方法です。

では、1段階法、2段階法の場合は各段階のサワー種は何と呼ばれるでしょうか。

1段階法

1段階法の場合、最初の種は初種です。これは3段階法と同じです。

では、初種に粉と水を混ぜ合わせて熟成させたものはどう呼ばれるかというと、仕上げ種になります。

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2段階法

2段階法の場合も、最初の種が初種です。

では、初種に粉と水を混ぜ合わせて熟成させたものはどう呼ばれるかというと、元種になります(かえり種と書かれている資料もあり)。

そして、元種に粉と水を混ぜ合わせて熟成させたものは仕上げ種です。

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ここでわかるのは、種の起こし方がどの方法であれ、一番最初に使うサワー種が初種で、最終的に完成したサワー種が仕上げ種になるということです。

問題なのは2段階法の1回目の種継ぎ後のサワー種の名前で、ドイツパン系の資料を調べると元種(グルントザワー)と書かれているのですが、フランスパン系の資料を調べるとかえり種(ラフレイシ)と書かれていることが多いのです。

なんでやねん。

これは国が違うと呼び方が変わるということなのか、著者の理解の違いによるものなのか、それとも私が何か勘違いしているのか。

これについては今のところ私もよくわかっていないので、詳しい方いたら教えてくれると嬉しいです。

最後に

今回はサワー種の様々な呼び方について説明してきましたが、なんとなくおわかりいただけたでしょうか?

特に終盤については「お前もよくわかってないんかい」とツッコミをいただきそうな部分もありましたが…

それが完全に理解できていなくても、おいしいパンは焼けますので大丈夫でしょう(前向き)!

以上、サワー種の呼び方についてでした。それではまた。