手作りフランスパンで上手にクープが開かない時にチェックすべき3つのポイントとは?

どうも、パン職人Kenです。

フランスパンはとてもシンプルで、毎日食べても食べ飽きないですよね。

フランスパンは基本的には「小麦粉・発酵種・塩・水」という4種類の材料から作られ、余計な材料を入れません(実際には発酵を安定させ、焼き色を良くするためにモルトシロップを入れることは多いですが)。

そういったシンプルな配合で作るフランスパンからは小麦粉本来の味や香り、発酵の風味や旨味をダイレクトに感じることが出来ます。

ただ、シンプルな配合であるがゆえにフランスパンを上手に作るのは難しいんですよね。

手作りフランスパンを作ったことのある方なら一度はぶつかったであろうフランスパン作りの壁。それがクープです。

クープというのはフランスパンの表面にある切りこみの模様のことを言います。

このクープは単に見た目を良くするために入れているわけではなく、きれいにクープが開いたフランスパンは味や食感も優れています。

ですからできるだけ上手にクープが開くようにフランスパンを作りたいのですが、実は結構難しいんです。

プロのパン職人にとっても難易度の高い作業であるクープですが、「なかなか上手くできない!」「どうしたらきれいにクープが開くの!?」とお悩みの方にぜひ知って欲しい「上手にクープが開かない時にチェックすべき3つのポイント」があるんです。

フランスパン作りでお悩みの方はぜひチェックしてくださいね!

 

上手にクープが開かない時にチェックすべき3つのポイント

お家でフランスパンを焼く際に上手にクープが開かない原因は主に3つあります。この原因の解決策が「チェックすべきポイント」になるわけですね。

その3つの原因とは

  1. 生地の状態が悪い
  2. クープの入れ方が悪い
  3. スチームの量が少ないor多い

この3つです。

 

1.生地の状態が悪い

生地の状態とは捏ね具合(グルテンのつながり具合)と発酵具合のことです。

フランスパン生地は食パン生地やコッペパン生地と比べてグルテンのつながりが弱い(捏ね具合が控えめな)生地です。

グルテンのつながりが「弱い」と言われるとなんだか良くない状態に感じてしまうかもしれませんがそうではありません。

フランスパンは適度に弱い生地のおかげでカリッとした皮の部分(クラスト)と口どけのよい中身(クラム)を作り出すことが出来ます。

このグルテンのつながり具合とクープの開き具合は関係があります。

もし普段作っているフランスパンのクープがバックリと大きく開き過ぎたり、破裂するように開いてしまう場合はグルテンのつながり具合が強すぎるかもしれません。

この場合は生地を捏ねる時間を短くしてグルテンのつながり具合を控えめにしてみましょう。

また、小麦粉の質も関係があります。強力粉でフランスパンを作ると生地が強くなってしまうので、中力粉や準強力粉を使うようにしましょう。

反対にグルテンのつながり具合が弱すぎるとクープが割れず、切りこみがただの模様の様に焼き上がります。

その場合はもう少ししっかり捏ねてグルテンをつなげてみるといいですね。

もう一つの生地状態である発酵具合もクープの出来に大きく関係します。

フランスパンの発酵が足りないと生地がプリプリと強く、力が適度に抜けていないため、捏ね過ぎた生地と同じようにクープがバックリと割れたり破裂するように割れてしまいます。

反対に発酵し過ぎていると生地の力が抜け過ぎてしまい、グルテンのつながりが弱い生地と同じようにクープが開かずに切りこみが模様の様に焼き上がります。

きれいにクープが開いたフランスパンを焼くためには、捏ね具合が適切で、発酵具合もちょうどいい状態にしないといけません。

 

2.クープの入れ方が悪い

フランスパンのクープは最終発酵が終わった後に、クープナイフと呼ばれるナイフを使って切りこみを入れます。

 

ちなみにクープナイフは替刃式のものとそうでないものがありますが、個人的には替刃式がおすすめです。

このクープの入れ方にはコツがあって、このコツをしっかりと知っていないとなかなか上手にクープを入れることが出来ません。

まずはクープを入れる「深さ」「角度」についてです。

パン職人は先輩職人から、クープの深さは「深すぎず表面の薄皮を切る程度」と教わることが多いです。確かにこれは間違いなく正解なんですが、「業務用のオーブンで焼く場合は」という前提が付きます。

業務用オーブンは火力が強いのでそれで良いのですが、家庭用オーブンの場合は業務用と比べて火力が劣ります。

火力が違うと何が違うのかというと、焼いている最中のフランスパンの「最後のひと伸び」が変わってくるんですね。

強い火力で焼くとしっかりと生地が伸びて膨らむので薄皮を切った程度のクープでもバッチリ開くんですが、家庭用オーブンだとそこまでしっかりとは伸びないんです。

なので「『薄皮を切る程度』よりももう少し深く」を意識してカットしてみて下さい。

また角度はクープナイフの刃を手前に45°寝かせてカットを入れるといい具合にカットが入りますよ!

次にクープを入れる「場所」です。

クープは好みで1本~3本程度入れますが、カットを入れる場所にもポイントがあります。

まずクープ1本の場合は、ど真ん中ですね。

クープ2本の場合はそれぞれのクープの始まりと終わりの位置を揃え、かつそれぞれの1/3程度を重ねます。

クープ3本の場合も同様で、それぞれのクープの始まりと終わりの位置を揃え、かつそれぞれの1/3程度を重ねます。

これがクープを入れる位置の基本なので覚えておいてくださいね!

クープの入れ方に関しては、「深さ」「角度」「位置」がポイントです。

 

3.スチームの量が多いor少ない

フランスパンをはじめとするハード系のパンにとって焼く際のスチーム(蒸気)の量はとても重要です。

食パンやコッペパンなどのパンは生地に砂糖や油脂をたっぷり配合するので、焼く際にスチームが無くても生地が伸びてくれますが、ハード系のパンには砂糖も油脂も入れないことが多いのでスチームがないと上手く伸びることが出来ません。

そしてスチームの量はクープが上手に開くかどうかにも大きく関わっています。

スチームの量が多すぎるとせっかく入れたカットがつぶれてしまい、切りこみが開いてきません。発酵させ過ぎた場合と同じくただ切りこみの後が模様として残るだけになってしまいます。

反対にスチームの量が少ないと生地が上手く伸びきれず、パツパツに弾けたようなクープになってしまいます。発酵が足らなかったときと同じですね。

最近の家庭用オーブンではスチームを出せる機種がたくさんあるのでフランスパンを焼く環境は整えやすくなっています。

ただ機種ごとにスチームの量が異なりますし、設定されたスチームの量だと足りなくて霧吹きで補うということもあります。

お使いのオーブンにスチーム機能がない場合は霧吹きを吹きかけたり、焼いた小石に水をかけてスチームを出すなどの工夫が必要になってきます。

個人的には、3つのポイントの中で一番見極めが難しいのがスチームの量かなと感じています。

これはやはり何度も試してみて、お使いのオーブンでちょうどいいスチームの量を見つける必要がありますね。

 

まとめ

まとめると、手作りフランスパンで上手にクープが開かない時にチェックすべき3つのポイントとは

  1. 生地状態(グルテンのつながり具合と発酵具合)は適正か?
  2. クープの入れ方は適正か?
  3. スチームの量は適正か?

この3点です。

普段ご家庭でフランスパン作りに取り組んでいて、なかなか上手にクープが開かないという方はぜひこの3つのポイントにフォーカスしてチェックしてみて下さいね!