パン生地にオリーブオイルを配合するのは何のため?パン生地にオリーブオイルを入れる効果とは

どうも、パン職人Kenです。

今の時代、パンのレシピはネットで検索すればいくらでも手に入りますよね。

色々とレシピを見ているとオリーブオイルを配合したレシピを見かけます。

パンは味も見た目も香りも楽しめる素敵な食品ですが、多くのパンには油脂(バターやマーガリン、ショートニングなど)を配合するため、カロリーや脂質の面で気にする方も多いのかなと思います。

そんな中で「オリーブオイルを配合したパン」と言われると、なんだか健康的で魅力的に思えますよね。

そんなオリーブオイルですが、使い方を理解しておかないと「レシピ通りに作ったのにあまりおいしくない…」「なんだか思っていたのと違った…」ということになりかねません。

今回はそういったことのないように、パン生地にオリーブオイルを配合するのは何のためなのか、パン生地にオリーブオイルを入れるとどんな効果があるのかを説明していきますね。

 

パン生地にオリーブオイルを配合する2つのパターン

パンのレシピにオリーブオイルが入っている場合、考えられるのは2つのパターンがあります。それは、

  • バターやマーガリンの代わりとしてオリーブオイルを配合している場合
  • そもそもオリーブオイルを配合するレシピだった場合

この2つです。

どちらの意図なのかによって、オリーブオイルを配合する狙いが異なってきます。

代替油脂としてのオリーブオイル

パンに油脂を配合する場合、入れる油脂はほとんどがバターやマーガリン、ショートニングなどの固形油脂です。

冒頭でもお伝えしましたがパンは固形油脂を配合するレシピが多く、特に日本人が好むふわふわで柔らかいパンには必ず固形油脂が入っています。

そういった事情から、カロリーや脂質、健康面を気にする方でも気兼ねなくパンを食べられるように、固形油脂の代わりとしてオリーブオイルを入れるレシピを見かけることがあります。

元々オリーブオイルを配合しているレシピもある

食パンやコッペパン、菓子パンなどのパンは先ほどお伝えしたように固形油脂を配合して作ります。日本で好まれるパンに使われる油脂はほとんどが固形油脂でしょう。

ですがフォカッチャやピザなどの一部のパンは元々のレシピがオリーブオイル配合の場合があります。

こういったパンにオリーブオイルを入れるのは健康面の問題ではなく、歯切れのいい食感を狙って入れる場合が多いです。

 

オリーブオイルはバターの代わりにはなれない

オリーブオイルをバターやマーガリンの代わりとして入れる場合に覚えておいて欲しいことがあります。

それは、オリーブオイルはバターの代わりにはなれないということです。

もう少し正確に言うと、オリーブオイルやサラダ油などの「液状油脂」はバターやマーガリンなどの「固形油脂」の代わりにはなれないんです。

液状油脂と固形油脂の働きについてはこちらの記事でも説明していますのでぜひご覧ください。

固形油脂を入れる目的はいくつかありますが、主なものの一つに「パン生地の伸びを良くして膨らみやすくする」という働きがあります。

これは適度にもどったバターを指で押したときのスッと沈み込むような感触が大きく影響しています。難しい言葉で「可塑性(かそせい)」と言いますが、固形油脂は可塑性があるからこそパン生地の伸びを良くすることが出来ます。

それに対し液状油脂はその名の通り「液状」ですから、可塑性はありません。つまり液状油脂にはパン生地の伸びを良くする働きはあまりないんですね。

健康に良さそうだから…と言って本来バターを使って作るパンを液状油脂で作ってしまうと、全然別物のパンが焼き上がります。

そのパンを美味しいと感じるかは人それぞれですが、「全然別物になる」ということは知っておいてもらいたいなと思います。

 

パン屋さんの現場では…

もしかしたらあなたは「健康的なパンの方が良いんだから、パン屋さんもオリーブオイルを使って作ったパンをもっと売ればいいのに」と思うことがあるかもしれません。

確かに食と健康は大きく関わっていますから、自分が作ったパンを食べてくれるお客さんの健康に対して多少なりとも関心を持っている職人さんはいると思います。

ですが固形油脂の代わりにオリーブオイルを使ったパンを積極的に販売しているパン屋さんは少ないんじゃないかなと私は思います。

なぜかというと、ストレートに言えば「美味しさで劣るから」です。

オリーブオイルはバターの代わりにはなれませんから、食パンに入れるバターを完全にオリーブオイルに置き換えて作ると、バターで作ったものと比べてボリュームが出ず、口どけが悪く、硬い食感になってしまいます。

このオリーブオイル食パンを「健康的だから味は二の次」といって買ってくれるお客さんがたくさんいればパン屋さんも積極的に作っていけるのですが、実際は「美味しいパン」を求めているお客さんの方が多いんですね。

そういった事情から、パン屋さんでは固形油脂の代わりにオリーブオイルを使ってパンを作ることは(私の知っている限りでは)ほとんどありません。

 

オリーブオイルの効果を知った上で上手く使おう

今回はパンにオリーブオイルを配合する目的や効果について説明してきました。

おさらいですが、オリーブオイルは健康面を考慮して固形油脂の代わりに使うパターンと、フォカッチャやピザの様に元々オリーブオイルを配合だから使うという2つのパターンがあります。

オリーブオイルは固形油脂の様に生地の伸びを良くする効果はあまりないものの、オリーブオイルを入れる代わりに固形油脂の量を減らすことで、カロリーや脂質を減らすことが出来ます。

その分ボリュームが出づらくなったり、食感が硬めにはなってしまいますが健康面を意識している方にとっては魅力的でしょうし、乳成分にアレルギーがある方にとっても魅力的なはずです。

ぜひそういった効果を知った上で、オリーブオイルを上手に活用して下さいね!