パン作りの基本にして工程のスタート地点|パン生地の「仕込み」とは?

どうも、パン職人Ken(@pansyokunin_ken)です。

今回はパン作りの基本にして工程のスタート地点であるパン生地の「仕込み」について説明していきます。

仕込みというのはパン生地を作る作業のことですが、「パンの美味しさは仕込みで8割が決まる」と言われるほど、パンの美味しさに大きく関わる重要な作業でもあります。

この記事ではパン生地仕込みのやり方や注意点を説明していきますので、ぜひ覚えておいて下さいね。

ちなみに先ほどもお伝えした通り、仕込みはパン作りのスタート地点になります。この後の工程については別の記事「上手なパン作りのための第一歩|パン作りの工程を学ぼう!」で説明しているので、パン作りの全体像がいまいちよく分からないという方はそちらも確認してみて下さいね。

パン生地仕込みの基本のやり方とポイント

繰り返しになりますが、仕込みとはパン生地を作る作業です。

やることは材料を合わせてこねるだけなんですが、知っておいてほしいポイントがあるので順番に紹介していきますね。

1.材料を量る

まずはレシピをしっかりと確認しながら必要な材料を量っていきます。

デジタルスケールを用意し、きっちりと正確に材料を量りましょう。

レシピによっては「大さじ・小さじ」で表記されているものを見かけますが、できればグラム単位で表記されているレシピを使うことをおすすめします。

なぜかというと、出来るだけ材料を正確に量りたいからです。特にイーストに関しては少量のズレが発酵のズレにつながってしまうので注意しましょう。

2.ボウルに材料を合わせる

全ての材料を量り終えたらボウルに合わせます。

油脂(バターやマーガリン)を入れるレシピの場合、油脂に限り後入れ(こねてから油脂を入れて再びこねる)のことが多いのでしっかり確認しましょう。

材料をボウルに合わせる際には、イーストと塩が直接触れ合わないように注意します。理由は後述しますが、イーストと塩が直接触れ合っている状態はイーストにとって良くありません。

材料をボウルに入れたら、入れ忘れがないことをしっかりと確認しましょう。材料の入れ忘れは意外とやってしまうミスの一つです。

3.こねる

材料をボウルに合わせたらこねていきます。

最初はどうしてもべたつくので、ヘラ等で粉と水が合わさるまで混ぜ合わせ、そこから手でこねていくとやりやすいと思います。

こね続けることでグルテンができ、イーストが作り出すガスをグルテンが抱きかかえることでパン生地は膨らみますが、どこまでこねるかは作りたいパンによって異なります。

ふわっと柔らかいパンはしっかりこねる必要がありますし、フランスパンなど比較的ボリュームが控えめでバリっとした食感のパンはこね過ぎると良くありません。

ただし、手でパンをこねる場合はこね過ぎになることはまずありません。

むしろこねが足らずにふわっと膨らまない事の方が多いので、手でパンをこねる場合はそちらに注意しましょう。

4.油脂入れ

油脂を後入れするレシピの場合は、ある程度生地をこねてから油脂を混ぜ合わせます。

目安としては、できあがりの7~8割くらいまで生地をこねてから油脂を入れ、再びこねてパン生地を完成させます。

油脂を入れるとせっかくまとまった生地がバラバラになってしまいますが、そこから再びこね続けることでツヤのあるなめらかな生地になります。

5.こね上がったパン生地の温度を測る

パン生地がこね上がったら必ず生地温度を測るようにしましょう。

この時の生地温度を「こね上げ温度」と言いますが、こね上げ温度が適正かどうかでこの後の発酵具合が変わってきます。

適正なこね上げ温度はレシピに書かれているので、その温度を目指して生地を仕込む必要があります。

こね上げ温度を測ったら、仕込みの作業は終了です。

パン生地仕込み工程の注意点

ここまでは仕込みの基本のやり方とポイントを説明してきましたが、続けて仕込み工程の注意点を説明していきます。

1.計量はきっちりと正確に

パン作りに限らず料理や製菓でも同じだと思いますが、材料の計量はきっちりと正確に行いましょう。

特にイーストは量がそのまま発酵速度に影響するので、計量にずれがあるとレシピ通りの時間で発酵が進みません。

少ない分には発酵が遅くなるので調整が効きますが、多くて発酵が速くなるといつの間にか発酵過多になってしまい、取り返しがつかなくなってしまうこともあるので注意が必要です。

デジタルスケールを用意し、グラム単位で正確に材料を計量しましょう。

一部0.1グラム単位で計量する必要がある材料があるので、これからデジタルスケールを購入する場合は0.1グラム単位で計量できるものがおすすめです。

2.イーストと塩は直接触れないようにする

材料をボウルに合わせる際に、イーストと塩が直接触れないようにしましょう。

イーストと塩が直接触れている状態が長く続くとイースト菌が死んでしまい、発酵力が落ちる可能性があります。

ちょっと触れている分にはそこまで影響はありませんし、他の材料と混ぜてしまえば問題ないので神経質になる必要はありませんが、こういうことがあるということを知っておいて欲しいと思います。

3.水の温度を測っておく

先ほど「こね上げ温度」について少し説明しましたが、このこね上げ温度に大きく関わるのが材料の温度、特に水の温度です。

水の温度は調整しやすいので、水の温度でこね上げ温度を調整するようにしましょう。

「何℃の水で仕込むと捏ね上げ温度が何℃になるのか」というのは周りの環境(水以外の材料の温度、室温、こねる時間等)によって変わるので、一概に「この生地は何℃の水で仕込めばOK」とは言えません。

最初のうちは全く見当がつかないと思うので、まずは40℃前後のぬるま湯で一度仕込んでみてこね上げ温度を記録しておき、次回それを元に水の温度を調整するようにすると少しづつ精度が上がっていきます。

4.生地のこね不足・こね過ぎに注意する

生地をこねる際は生地のこね不足・こね過ぎに注意しましょう。

先ほども少し触れましたが、手でパン生地をこねる場合はこね過ぎになることはまずありません。どちらかというとこね不足にならないように注意する必要があります。

特に菓子パン系の生地は油脂をたくさん入れるため、たくさんこねてもなかなか十分なこね具合になりませんから、特に注意してこね具合を見極めて下さいね。

機械を使ってパン生地を仕込む場合はこね過ぎになることもあります。

ホームベーカリーの「こね機能」をマニュアルで使用する場合やスタンドミキサー、ニーダーを使用する場合は手でこねるのに比べてはるかにしっかりと生地をこねることができるので、こね続けるとこね過ぎになってしまいます。

特にスタンドミキサーはタイマー機能がついていないものが多いので、「こねている間に別のことをしていたらうっかりこね過ぎになっていた」なんてこともあり得るので注意が必要です。

5.油脂を入れるタイミングを先に確認しておく

一般的に、柔らかくふわっと膨らませたいパンは油脂を後入れします。

油脂はグルテンのつながりを阻害する働きがあるため、最初から油脂を入れてしまうとグルテンがつながりにくくなり、結果として油脂を後入れした生地と比べてボリュームが出にくくなります。

ただし、あえて最初から油脂を入れることで油脂の持つ「グルテンのつながりを阻害する」という特性を利用する場合もあります。

そのような製法を「オールイン法」と呼び、歯切れのいい食感のパンを作りたい場合に使用されます。

この様に油脂を入れるタイミングはパンによって違いますから、レシピを見てどのタイミングで油脂を入れるのか確認しておきましょう。

6.こね上げ温度が大きくズレた場合はその後の工程で調整が必要

仕込みの注意点というよりはその後の工程の注意点になりますが、実際のこね上げ温度が適正なこね上げ温度と大きくずれた場合はその後の工程で調整が必要になります。

例えば適正なこね上げ温度が26℃の生地で、実際のこね上げ温度が28℃だった場合はレシピよりも発酵が速く進むのでその後の一次発酵を短めにしたり、一次発酵を行う温度を低めにする等の調整が必要になります(反対に低かった場合は発酵が遅くなるので一次発酵を長めにしたり、一次発酵を行う温度を高めにします)。

まとめ

今回はパン生地仕込みの基本のやり方やポイント、注意点について説明してきましたがいかがだったでしょうか。

おさらいすると、パン生地仕込みは

  1. 材料を正確に計量する
  2. ボウルに材料を合わせる(油脂後入れの場合は油脂以外)
  3. 7~8割のこね具合になるまでこねる(オールイン法の場合は完成するまでこねる)
  4. 油脂を入れる(油脂後入れの場合)
  5. 生地が完成するまでこねる
  6. こね上げ温度を測る

このような流れになっています。

注意点は、

  1. 計量はデジタルスケールを使ってグラム単位で正確に量る
  2. イーストと塩は直接触れないようにする
  3. 水の温度を測り、水の温度でこね上げ温度を調節する
  4. 生地のこね不足・こね過ぎに注意する
  5. 油脂を入れるタイミングを先に確認しておく
  6. こね上げ温度が大きくズレた場合はその後の調整で調整が必要

この6点がありましたね。

適正なこね上げ温度にするための水温の設定や、十分なこね具合の見極めは何度もパン作りをしないと分かりませんし、難しく感じる部分でもあると思います。

いきなり上手にはできないと思いますが、それもまたパン作りの楽しさの一つだと思ってパン作りにチャレンジしてみて欲しいと思います。

上手にパン生地を仕込めるようになると、美味しいパンが作れるようになりますよ!

【参考記事】次の工程(一次発酵):「上手な一次発酵が美味しいパンの決め手!|一次発酵の意味や注意点とは?
【参考記事】パン作り工程の全体像:「上手なパン作りのための第一歩|パン作りの工程を学ぼう!

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