どうも、パン職人Ken(@pansyokunin_ken)です。
今回はパンをきれいに成形するための前準備にあたる「分割」と「まるめ」の工程に関して説明をしていきます。
仕込んだパン生地全量を丸ごと使って作るような大型のパンの場合は分割をする必要はありませんが、小型のパンの場合は生地を必要なグラムに切り分ける「分割」という作業が必要になります。
切り分けたパン生地は断面が丸見えですし、生地が細切れになってしまった場合はそのままでは使えないので、「まるめ」という作業が必要になります。
今回はそんな「分割」と「まるめ」のやり方や注意点について説明していきますね。
目次
生地のグラムをそろえる「分割」のやり方
例えば小麦粉200gで菓子パンの生地を仕込むと、大体400gくらいの生地が出来上がります。
この生地を使ってバターロールを作るとしたら、30~40gくらいに生地を切り分ける必要があります。
この時のパン生地を切り分ける工程が「分割」になるわけですね。
分割のやり方は特別難しいことは無く、ただスケッパー(もしくはドレッジ)とデジタルスケールを使ってパン生地を切り分けていけばいいだけです。
分割の注意点
作業自体は簡単な「分割」ですが、いくつか注意点があるので説明しますね。
分割時の注意点は3点あって、
- 生地がくっつかないように手粉(打ち粉)を使う
- デジタルスケールを使って正確に量る
- 出来るだけ細切れにしない
この3点です。
1.生地がくっつかないように手粉(打ち粉)を使う
一次発酵時に適度に加湿が出来ていれば、パン生地の表面はべたついているはずです。
これをそのまま作業台に出し、分割を始めてしまうと生地がベタベタにくっついてしまって作業がしにくく、更にパン生地を傷めてしまいます。
分割時は適度に手粉(打ち粉)を使い、パン生地が作業台や手、スケッパー(ドレッジ)にくっつかないようにしましょう。
とはいえ、手粉は使いすぎると余計な粉が生地に練り込まれてしまったり、表面に粉がつき過ぎると生地が乾燥してしまうので、使う手粉の量は「べたつかない範囲で最小限」が基本です。
2.デジタルスケールを使って正確に量る
パン生地を分割する時はデジタルスケールを使って正確に量るようにしましょう。
レシピによっては「○○gに分割する」という表記ではなく、「〇等分する」と表記されているものがあります。
この書き方だとグラムを量って分割するのではなく、「目分量で大体〇等分すればいいのかな?」と思ってしまうかもしれませんが、それはあまりおすすめしません。
生地に大小がある状態で作業を進めてしまうと、大きさにバラつきがあるので二次発酵の終わりを見極めるのが難しかったり、焼成した時に焼き色にバラつきが出てしまいます。
そういった事を避けるために、デジタルスケールを用意し、正確に計量しながら分割しましょう。
3.出来るだけ細切れにしない
パン生地を分割する際には出来るだけ細切れにしないように注意しましょう。
パン生地を細切れにしてしまうと生地が伸びにくくなったり、生地が傷んでふわっと膨らみづらくなる可能性があります。
とはいえ、例えば40gに分割したい生地を全てピッタリ40gで分割するのはかなり難しいですよね。
なので多少であればパン生地が細切れになってしまっても問題ありません。仕方ない部分もありますし、そこまで影響も大きくありませんからね。
ただ、なかなかグラムが合わずにズタズタにした生地をまとめて40gに合わせたりするとあまりよくないので、出来るだけ注意しましょう。
成形の前準備にあたる「まるめ」のやり方
分割した生地は断面が見えている状態で、さらには細切れになった生地がくっついている状態です。
このままでは成形が出来ないので、成形しやすいようにきれいな状態にしておく必要がありますよね。
そのために生地の断面を隠し、細切れの生地を内側に入れて表面をきれいに張らせ、次の工程である「成形」をやりやすいようにするための作業が「まるめ」になります。
まるめのやり方は、生地のガスを軽く抜いて断面を隠すように生地の端を一カ所にまとめてつまみ、表面を張らせます。
この時に細切れの生地があれば生地の中に入れてしまいましょう。
手慣れてくると、作業台に置いた生地を手で覆う様にしてくるくると手を動かすことで手早くまるめることが出来るようになります。
まるめの注意点
まるめの注意点は4点あって、
- 適度に手粉(打ち粉)を使う
- 断面や細切れ生地は中に隠して表面をきれいにする
- まるめすぎて傷まないように気を付ける
- パンによってはまるめがそのまま成形になる
この4点です。
1.適度に手粉(打ち粉)を使う
まるめをする際には適度に手粉(打ち粉)を使いましょう。
分割した生地は断面が見えている状態なのでべたついています。べたついている生地を無理やりまるめると生地が手や作業台にくっついて傷んでしまうため、適度に手粉を使いながらまるめます。
手粉を使いすぎると生地がすべってしまい、まるめづらくなるため使いすぎにも注意が必要です。
2.断面や細切れ生地は中に隠して表面をきれいにする
まるめのやり方の所でも説明しましたが、生地の断面や細切れ生地はまるめをする際に生地の中に入れて、表面から見えないようにしましょう。
断面や細切れ生地が表面に出ていると成形した時にそれらがパンの表面に出てしまい、きれいに焼き上がらなかったりきれいに膨らまなかったりします。
3.まるめすぎて傷まないように気を付ける
パン生地の表面をきれいにしようとするあまり、何度も何度もまるめをやり続けてしまうとパン生地の表面が破れ、生地が傷んでしまいます。
生地断面と細切れ生地が隠れ、大きなガスが抜けていればそれでOKなので、まるめすぎには注意が必要です。
4.パンによってはまるめがそのまま成形になる
まるめは成形前の準備作業ですが、パンによってはまるめがそのまま成形になるので、そういったパンの場合は特別きれいにまるめる必要があります。
まるめがそのまま成形になるパンは、
- 丸い形のまま焼き上げるロールパン
- まるめた生地にクッキー生地を被せて焼き上げるメロンパン
- まるめて発酵させた生地にカットを入れて焼き上げる小さなフランスパン
などがあります。
まとめ
今回はパンをきれいに成形するための前準備にあたる「分割」と「まるめ」の工程に関して説明をしてきましたがいかがだったでしょうか。
分割についてまとめると、
- 分割はパン生地を必要な大きさに切りそろえる作業
- 分割時は生地がくっつかないように手粉(打ち粉)を使う
- 分割時はデジタルスケールを用意しグラム単位で正確に量る
- 出来る限り細切れにしないようにする(多少はOK)
このようになります。
次にまるめについてまとめると、
- まるめは生地の断面を隠し、細切れの生地を内側に入れて表面をきれいに張らせ、次の工程である「成形」をやりやすいようにするための作業
- まるめ時は生地が傷まないように適度に手粉(打ち粉)を使う
- まるめ時は断面や細切れ生地は中に隠して表面をきれいにする
- きれいにまるめようとするあまり、まるめすぎて傷まないように気を付ける
- パンによってはまるめがそのまま成形になる
このようになります。
分割やまるめはこの後に控える「成形」の工程がきれいに出来るようにするための大切な工程です。
ぜひ今回説明したやり方や注意点を参考にしてみて下さいね!
【参考記事】一つ前の工程(パンチ):「ガス抜き&発酵促進!|ふわふわのパン作りに必要な工程「パンチ」とは」
【参考記事】次の工程(ベンチタイム):「成形前に生地を休める工程|きれいなパン作りのための「ベンチタイム」とは」
【参考記事】パン作り工程の全体像:「上手なパン作りのための第一歩|パン作りの工程を学ぼう!」
コメントを残す