どうも、パン職人Ken(@pansyokunin_ken)です。
今回は二次発酵の基本と注意点について説明していきます。
二次発酵はパンを焼く前に行う発酵です。この後で発酵具合を調整する工程がないため、二次発酵が上手に出来たかどうかがパンの焼き上がりに直接影響します。結構重要な工程ですね。
「二次」発酵という名前から分かる通り、パン作りの工程には一次発酵もあります。違いがよく分からない!という方は別の記事で説明していますのでそちらをどうぞ。
→【参考記事】上手な一次発酵が美味しいパンの決め手!|一次発酵の基本的なやり方と注意点
二次発酵の基本
二次発酵の基本とは何かというと、
- 温度
- 時間
この2つの要素をしっかりとコントロールすることです。
2つの「温度」
まず1つ目の要素である「温度」ですが、二次発酵をする際に気を付けるべき温度は2種類あって、
- 発酵室の温度
- 生地の温度
この2種類の温度をしっかりとコントロールしましょう。
発酵室の温度というのは、二次発酵を行う場所の温度のことです。
発酵「室」と表記していますが、実際に家庭でパン作りをする場合、二次発酵を行う場合はオーブンの発酵機能を使うかそのまま室温で発酵させると思うので、オーブン内の温度もしくは部屋の温度に気を付けるということになりますね。
パンのレシピには、二次発酵を行う際の温度が書かれているはずです。できる限りこの温度に近づけましょう。
食パンやコッペパンなど比較的短時間でふわっと膨らませるパンは38℃で二次発酵を行うことが多く、フランスパンなど少量のイーストでじっくり膨らませるパンは30℃で二次発酵を行うことが多いです。
さて、発酵室の温度が一定でも生地の膨らむスピードが速かったり遅かったりすることがあります。これはなぜかというと、生地の温度が影響しているからです。
イースト菌などの発酵種は、パン生地の温度が高ければ速く発酵し、低ければゆっくりと発酵します。
そのため、同じ温度の発酵室で二次発酵を行ったとしても、生地温度が違えば膨らみ具合が変わってくるので注意が必要です。
時間はレシピ通りにいかないのが当たり前
2つ目の要素である「時間」ですが、先ほど説明した通り、温度と時間は非常に密接な関係にあります。
温度が一定であれば時間は概ねレシピ通りに進みますが、実際にはレシピ通りにいかないのが当たり前くらいに思っておいた方が良いでしょう。
なぜかというと、温度のコントロールはとても難しいからです。
例えば生地温度。生地温度はパン生地がこね上がった時の「こね上げ温度」が重要になりますが、レシピ通りに毎回ピッタリの温度でこね上げるのはとても難しく、プロのパン職人であってもかなり気を遣います。
→【参考記事】パン作りの基本にして工程のスタート地点|パン生地の「仕込み」とは?
他にも室温も影響します。夏場や冬場は工程の間でパン生地が温まったり、冷えたりするので季節に合わせた調整が必要になります。
パン工場は室温が一定になるようにエアコンを一日中動かしますが、家庭ではそこまでやるのはなかなか難しいですよね。
このように温度のコントロールは難しいため、実際には時間をコントロールして二次発酵を調整することになります。
生地温度や室温が高ければ二次発酵は短めに、低ければ長めにといった具合に調整してあげましょう。
二次発酵の注意点
二次発酵を行う際の注意点は2点あります。それは、
- 二次発酵の終わりは自分の目で判断する
- 乾燥対策をする
この2点です。
1つ目の「二次発酵の終わりは自分の目で判断する」とはどういうことかというと、先ほどの時間の所でも触れましたが「レシピに書かれている時間通りに二次発酵を行ったからOK」とせずに、必ず自分の目で見て判断するということです。
たとえレシピに二次発酵の時間が書かれていたとしても、それはあくまでも目安として捉えましょう。
実際には温度の影響でレシピ通りにはならないことがほとんどです。特に生地温度や室温が高い場合はレシピに書かれた時間よりも早く二次発酵が終わる場合が多いので、時間になるまで放っておくと発酵過多になってしまいます。
必ず早めにチェックするようにしましょう。
2つ目の「乾燥対策」は文字通りなんですが、一次発酵の時と違い生地に直接濡れ布巾を被せたりラップをかけたりできないと思うので、霧吹きで水分を補ってやるのが良いですね。
焼き上がりから二次発酵の具合を判断して次回に活かそう
二次発酵の終わりは、慣れていないとなかなか見極めるのが難しいですよね。
パンごとに配合や生地重量が違いますし、その時の環境(温度等)は毎回違うため、実際にはレシピの時間を目安にしつつ「これくらい膨らんだら二次発酵はおしまい」という丁度いい状態を目で覚えていくしかありません。
実際には「一度焼いてみて、焼き上がったパンの状態を見て発酵具合がどうだったのか確認し、次回に活かす」ということになるかと思います。
もし焼き上がったパンが
- 思ったよりも小さい(ボリュームが出ていない)
- 冷めたら硬い
- 焼き色がつくのが早い
- (大型のパンの場合)側面にへこみができる
こういった場合は二次発酵が短かったのかもしれません。
また、
- 思ったよりも大きい(ボリュームが出過ぎている)
- 食感がふわふわを通り越してスカスカになっている
- 焼き色がつきにくい
- 冷めたらカサカサに乾燥してしまう
こういった場合は反対に二次発酵が長かったかもしれません。
他に原因がある場合もあるので確定ではありませんが、焼き上がったパンから、二次発酵が短かったのか長かったのかを推定することができます。
まとめ
今回は二次発酵の基本について説明してきましたがいかがだったでしょうか。
まとめると、
- 二次発酵の基本とは、温度と時間を上手にコントロールすること。
- コントロールすべき温度には①発酵室の温度と、②生地の温度の2種類がある。
- 温度のコントロールは難しいため、時間をコントロールすることで丁度いい発酵具合にする。
- 二次発酵の時間はレシピ通りにいかないのが当たり前なので、二次発酵の終わりはしっかりと目で見て判断する。
- 霧吹きを上手く使って乾燥対策をする。
- 適切な二次発酵の終わりを見極めるのは難しいため、焼き上がったパンを見て二次発酵が短かったのか長かったのかを推定し、次回に活かす。
こんな感じになります。
二次発酵の見極めは難しく感じるかもしれませんが、これができるようになると「私レベルアップしたな」と感じられると思います。
一度では上手くいかないかもしれませんが、ぜひ何度もチャレンジしてみて下さいね!
【参考記事】一つ前の工程(成形):「美味しいパン作りのために身に付けておきたい『成形の基本』とは」
【参考記事】次の工程(仕上げ):「パンをきれいに焼き上げるための一手間|パン作りの『仕上げ』とは」
【参考記事】パン作り工程の全体像:「上手なパン作りのための第一歩|パン作りの工程を学ぼう!」
コメントを残す